白血病
読み:はっけつびょう
外語:leukemia
造血幹細胞
が
腫瘍
化して無制限な増殖をし、それが血液中に検出される疾患。
目次
概要
発見
特徴
病因
種類
治療方法
治療
化学療法
造血幹細胞移植
手術方法
リスク
予後
概要
血液
の
がん
とも言われる疾病。より正確には、血液そのもののがんではなく、血球を作る
細胞
、つまり造血幹細胞が
骨髄
中で
がん細胞
と化して、無制限に自律性の増殖をする
病気
である。
白血病という名の通り、造血幹細胞が冒された結果白血球が増殖する。しかしそれだけではなく、赤血球や血小板などが増殖することもあり、これらも区別せず白血病と呼ばれる。
しかも生産される
白血球
などは異常型で役に立たないため、
免疫力
の低下に伴う感染症の罹患、赤血球減少に伴う
貧血
、血小板減少に伴う出血症状などが見られる。
発見
このような病気があることは古代ギリシャの時代から知られていたとされる。
最初に白血病を発見し、白血病という名を使ったのは、
19世紀
後半のドイツの病理学者ルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョー(Rudolf Ludwig Karl Virchow)だとされる。当時は治療法がなく、白血病細胞が増殖しつづけて血液が白くなるため白血病と命名された。
特徴
病因
原因はまだ明確ではないが、例えば、慢性骨髄性白血病では22番染色体と9番染色体の間での
転座
がみられることがある。
また放射線被曝により
遺伝子
が損傷したり、
ベンゼン
などの
物質
は、白血病を招くことが知られる。
他に、ある種のウイルスが白血病を招くことも知られる。俗に腫瘍ウイルス又はがんウイルスと呼ばれるウイルスの一部、例えばEpstein Barrウイルス(EBV)やヒトTリンパ好性ウイルスI型(HTLV-I)などが造血幹細胞をがん化し、白血病を招くことが知られる。
種類
あるとき突然罹患する急性白血病と、生まれながらにして罹患する遺伝性の慢性白血病がある。またそれぞれに骨髄性とリンパ性がある。
急性骨髄性白血病 (AML: acute myelogenous leukemia)
急性リンパ性白血病 (ALL: acute lymphoid leukemia)
慢性骨髄性白血病 (CML: chronic myelogenous leukemia)
慢性リンパ性白血病 (CLL: chronic lymphoid leukemia)
治療方法
化学療法
造血幹細胞移植
骨髄移植(BMT)
末梢血幹細胞移植(PBSCT)
臍帯血移植(CBT)
分化誘導療法
治療
腫瘍
を消失させ正常な血液細胞が作られるようにすることが治療の最終目標と言えるが、現実には極めて困難である。
化学療法
抗がん剤の投与により、白血病細胞の減少を目指す治療法である。
白血病治療では、ほぼ例外なくこの療法が行なわれている。
しかし、薬物のみで腫瘍を消失させることは、現在の医学では不可能である。
造血幹細胞移植
手術方法
より積極的な治療法としてあるのが、骨髄移植をはじめとした造血幹細胞移植である。
「移植」という響きから、手術室に入り麻酔をかけて骨髄を切ったり縫ったり、といった外科的な
手術
をすると誤解されることが多い。実はそうではない。
患者はあらかじめ大量の抗がん剤投与と全身放射線照射により、腫瘍であるなし問わず全ての造血幹細胞を壊滅させる(ここで腫瘍の完全な消失が期待されている)。その後無菌室に入り、提供された造血幹細胞(
骨髄
や
臍帯血
など)を点滴で入れる。
そしてその骨髄も、提供者の腸骨(ちょうこつ)という骨盤の一部から
注射器
で採取される。
基本的に
メス
は使われない。
リスク
この方法は、今ある全ての造血幹細胞を壊滅させる必要があるため、有毒な抗がん剤を大量に用い、さらに
致死量
を超える放射線を全身に浴びなければならない。当然ながら非常に大きな後遺症が残る上に、その改善も難しいのが現状である。
しかも、移植された細胞の定着率は50%程度と言われている。骨髄は提供者が少ないこともあり、骨髄バンクは初回優先として骨髄の提供をしているため、二度目はあまり期待できない(これは症状再燃の場合も同様である)。ゆえに、失敗すればそのままこの世を去らねばならない、リスクの高い療法でもある。
大きな賭けをしてまで長生きを望むのでなければ、多剤併用療法で問題先送りの方が、QOLは高い可能性がある。
予後
仮に治療効果があり症状が改善したとしても、腫瘍がすべて消失したかどうかを確認できるわけではない。このため再発の可能性は高く存在する。
白血病の場合は治癒という言葉を避け、
寛解
(かんかい)と表現することが多い。白血病の症状が完全に見られなくなった状態を完全寛解といい、これが5年間維持されれば再発の可能性が低いとみなされ、一応の治癒とされる。
とはいえ腫瘍が完全に消滅していないことも考えられる以上、10年、20年という長期的視野で見た場合には再発/再燃の可能性はある。
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