中性子捕獲
読み:ちゅうせいしほかく
外語:neutron capture
原子核が1個以上の中性子と衝突して合体し、重い原子核に変化する反応。
概要
中性子は電荷を持たないことから、陽子などの荷電粒子と比べて反発が少なく、比較的容易に反応する。
恒星内部ではs過程、恒星の末期などにはp過程、rp過程、r過程などの元素合成の過程があり、熱核融合で限界となる質量数56より大きな原子核を作っている。
特徴
例えば、核融合で作られる最大の原子核ニッケル56(56Ni)が中性子捕獲すると、ニッケル57(57Ni)になる。
更に中性子捕獲するとニッケル58(58Ni)、ニッケル59(59Ni)、などと質量数が増えていくことになる。質量数58から64までのニッケルは半減期が長いまたは安定核種なので、原子核が崩壊する前に中性子捕獲できる可能性が高い。質量数63以上のニッケルがβ崩壊すれば、ついにニッケルより原子番号が大きい元素、銅が作られることになる。これが続き、更に質量数や原子番号の大きな原子核が作られていく。
こうして作られ、半減期的に長寿命なのは原子番号92のウランが上限である。
超新星爆発の際のr過程では、それ以上の原子核も作られると推定されるが、超新星爆発→その残骸から太陽系が生まれる→現在、という順序で、少なくとも太陽と地球誕生から現在まで約46億年間の時の流れがある。このために半減期の短い原子番号93(ネプツニウム)以上の元素は、地球誕生当時にはあったとしても、今では現存していない。
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