脳
読み:のう
外語:brain
動物の頭部にある、神経活動の中枢となる器官で、思考、記憶、生体統御などの働きを司る。
目次
概要
構造
発生学上の構造
見た目での構造
脳細胞
細胞数
神経新生
一生で使う脳の量
大食漢の脳
血液とエネルギー
瑞々しい脳
脳の栄養
疾病、疾患
概要
ヒトほか脊椎動物のものをいうが、無脊椎動物の頭部にある神経節を含めていうこともある。
脳と
脊髄
で
中枢神経
をなし、生命維持のほか、思考、感情・
情動
といった様々な神経活動を担う。
主として
神経細胞
と膠細胞(グリア細胞)からなる器官で、そのほかに脳脊髄液の通り道となる
脳室
、ホルモンなどを分泌する
内分泌腺
などの機能を有する。
ヒトの脳の色は
血液
のためピンク色に見え、硬さは
豆腐
並である。
以下はヒトの脳について説明する。
構造
発生学上の構造
発生学では、発生の初期段階となる
胚
の段階より大きく前脳、中脳、後脳(菱脳)の三つに分かれる。
ここから更に分化し、ヒトの場合は前脳と後脳は次のように分かれる。
前脳
終脳
大脳
間脳
視床下部
視床
中脳
後脳
(菱脳)
延髄
橋
小脳
見た目での構造
脳は大きく、大脳、小脳、脳幹の三つに分けられ、表面は被膜に覆われている。
それらは、次のように分けられている。
大脳
(構造上の名称)
左脳
右脳
交連
脳梁
前交連
後交連
(機能上の名称)
大脳皮質
大脳新皮質
辺縁皮質
大脳旧皮質
大脳古皮質
(部位による名称)(参考)
前頭葉
頭頂葉
後頭葉
側頭葉
大脳髄質
大脳核
尾状核
レンズ核
前障
扁桃体
大脳辺縁系
帯状回
海馬
(海馬体)
歯状回
アンモン角(CA3、CA1)
海馬台
側座核
(
扁桃体
)(大脳髄質と重複)
(
辺縁皮質
)(大脳皮質と重複)
(
大脳旧皮質
)
(
大脳古皮質
)
(
視床下部
)(
間脳
と重複)
(乳頭体)
大脳基底核
線条体
尾状核
被殻
淡蒼球
外節
内節
黒質
緻密部
網様部
視床下核
小脳
脳幹
間脳
視床下部
乳頭体
広義の
視床
視床上部
松果体
手綱
手綱三角
手綱核
狭義の視床(背側視床)
腹側視床
中脳
第三脳神経核
第四脳神経核
大脳脚
網様体
中脳被蓋
赤核
黒質
中脳蓋
(四丘体)
橋
第五神経核
第六神経核
第七神経核
第八神経核
延髄
第九神経核
第十神経核
第十一神経核
第十二神経核
三叉神経脊髄路核
孤束核
被膜
脳硬膜
蜘蛛膜
脳軟膜
脳細胞
細胞数
大脳の神経細胞数は約140億個とされるが、大脳の深い部分の細胞や小脳の細胞を含めると、その数は1000〜2000億と推定されている。
この脳細胞は胎児期および幼児期に形成されるが、脳細胞数は生後1〜2か月から後は大きく変化しない。
新生児
の脳重量は約400gで、成人の脳重量が1300g前後と3倍以上に増えるが、これはつまり細胞の数が増えるのではなく、細胞自体が大きくなり脳細胞間のネットワークが増すようになるためである。
脳細胞は年齢と共に死滅し、その数は減少するとされる。毎日平均で10万個が減ると言われるが、それでも80年生きて全体の5%が減る程度である。
神経新生
大人になると神経細胞が生成されなくなり、減る一方だと考えられてきた。しかし実際には成人でも脳内で新たな神経細胞が誕生することが知られるようになった。これはNeurogenesis(神経新生)と呼ばれている。
一説によると、人間は1日あたり700個の新しい神経細胞を
海馬
で生成されている、とされる。
鬱病
や
抗がん剤
投与などで神経新生が低下するとされる。
一生で使う脳の量
脳に関してはまだまだ研究の段階であり不明なことも多々あるが、脳細胞は全ては使われていないようである。
一説では通常その10%〜30%程度しか使われていないと言われており、また最近の説では実は65%以上使われているという説もある。
普段未使用の脳細胞は、使われていた脳細胞が障害(障礙)を受けた時に、その機能の代理を務めるように働くと考えられている。すなわちこの使われていない脳には無限の能力や可能性が秘められていると考えられていて、それが潜在能力であると考えられている。
大食漢の脳
血液とエネルギー
脳の重量は約1.5kgと
体重
の2〜2.5%に過ぎないが、脳には心臓から拍出される血液の15%〜20%が供給されている。
つまり、それだけ
酸素
や栄養を贅沢に使っているということであり、体重の半分を占める
皮膚
・
筋肉
と殆ど変わらないエネルギーを消費している。
瑞々しい脳
そしてこの脳は75〜85%程度が
水分
であり、全身で最も水分の多い瑞々しい部位である。
少なくとも1L少々の
水
が脳に蓄えられている計算になるため、
膀胱
や
心臓
などよりも水分が多いことになる。
脳の栄養
脳は主として
葡萄糖
を栄養分とする。脳では
葡萄糖
+
酸素
→
二酸化炭素
+
水
という反応からエネルギーを得る。筋肉などでは葡萄糖から
乳酸
を作る再利用の経路があるが、脳にはそれがないため、葡萄糖をそのまま使い切ってしまう。非常に贅沢な使い方であるといえる。
かつては葡萄糖だけが脳のエネルギー源と考えられていたが、近年の研究により乳酸も脳のエネルギー源となることが分かっている。激しい運動の際には脳内の糖消費は減少し、代わりに乳酸でエネルギーを補う。
疾病、疾患
脳は様々な機能を持つため様々な疾病がある。そのうちの代表的なものを紹介する。
脳腫瘍
髄膜炎
脳血管障害
(脳血管障礙)
脳梗塞
内頚動脈閉塞による脳梗塞
脳血栓症による脳梗塞
塞栓性脳梗塞
脳血管発作
脳卒中
頭蓋内出血
脳出血
脳内出血
蜘蛛膜下出血
神経変性疾患
パーキンソン病
脳皮質基底核神経節変成症 (CBGD)
進行性核上性麻痺 (PSP)
認知症
(
痴呆症
)
アルツハイマー型認知症
知的障害(知的障礙)
学習障害
(学習障礙)
エイリアンハンド症候群
プリオン病
クロイツフェルト・ヤコブ病
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
牛海綿状脳症
スクレイピー
慢性消耗性疾患
半側空間無視
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