認知症
読み:にんちしょう
外語:dementia
脳細胞が死滅するなどの脳の変異疾患により、正常に発育した知能が後天的に低下した症状。
かつては痴呆症と呼ばれたが、差別用語認定を受け、この名称となった。
分類
脳の変異には様々あり、もって認知症(痴呆)にも様々なものがある。
医学的には「精神及び行動の障害」のうち「症状性を含む器質性精神障害」のうちの一分類である。ICD-10コードがあるものには併記する。
- F00 アルツハイマー病の認知症 (Dementia in Alzheimer's disease)
- F00.0 アルツハイマー病の認知症,早発性 (Dementia in Alzheimer's disease with early onset)
- F00.1 アルツハイマー病の認知症,晩発性 (Dementia in Alzheimer's disease with late onset)
- F00.2 アルツハイマー病の認知症,非定型又は混合型 (Dementia in Alzheimer's disease, atypical or mixed type)
- F00.9 アルツハイマー病の認知症,詳細不明 (Dementia in Alzheimer's disease, unspecified)
- F01 血管性認知症 (Vascular dementia)
- F01.0 急性発症の血管性認知症 (Vascular dementia of acute onset)
- F01.1 多発梗塞性認知症 (Multi-infarct dementia)
- F01.2 皮質下血管性認知症 (Subcortical vascular dementia)
- F01.3 皮質及び皮質下混合性血管性認知症
- F01.8 その他の血管性認知症 (Other vascular dementia)
- F01.9 血管性認知症,詳細不明 (Vascular dementia, unspecified)
- F02 他に分類されるその他の疾患の認知症 (Dementia in other disease classified elsewhere)
- F02.0 ピック病の認知症 (Dementia in Pick's disease)
- 前頭側頭型認知症 (FTD, Frontotempral dementia)
- 意味性認知症 (Semantic dementia)
- F02.1 クロイツフェルト・ヤコブ病の認知症 (Dementia in Creutzfeldt-Jakob disease)
- F02.2 ハンチントン病の認知症 (Dementia in Huntington's disease)
- F02.3 パーキンソン病の認知症 (Dementia in Parkinson's disease)
- レビー小体型認知症 (DLB, Dementia with Lewy bodies)
- F02.4 ヒト免疫不全ウイルス[HIV]病の認知症 (Dementia in human immunodeficiency virus [HIV] disease)
- F02.8 他に分類されるその他の明示された疾患の認知症 (Dementia in other specified disease classified elsewhere)
- F03 詳細不明の認知症 (Unspecified dementia)
名称の問題
差別用語
厚生労働省が「痴呆」は「差別用語」なのだとして、学会の反対を無視し、強引に作った痴呆症に代わる新名称が「認知症」であった。
なぜ「差別」とされたかといえば、痴呆の「痴」「呆」のいずれも、愚か、馬鹿、と言う意味の文字だからである。
しかし、「認知」というのは非常に幅の広い概念である上に、この名称では認知に何らかの変調を来した状況が説明されていない。痴呆という現状を全く説明しきれていないため賛否両論の議論となった。
学会の動向
社団法人日本心理学会、日本基礎心理学会、日本認知科学会、日本認知心理学会は連名で、この認知症という名称に対し反対の表明をした。
しかし2005(平成17)年10月1日、日本痴呆学会は第24回学術集会の総会において、日本認知症学会に改名の旨、発表した。また翌年2006(平成18)年の第25回総会では学術用語としての「痴呆」も「認知症」に置き換えることが決定したとされる。
2006(平成18)年9月16日には、日本早期痴呆学会は釧路市観光国際交流センター開催の総会において、学会名称を「日本早期認知症学会」に改定した。
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