ロケット・ミサイルの液体燃料の一つ。
- 分子式: N2H4
- 構造式: H2N‐NH2
- 分子量: 32.1
- 比重: 1.01 (水=1)
- 融点: 2℃
- 沸点: 114℃
- CAS番号: 302-01-2
- ICSC番号: 0281
ヒドラジン
強力な還元剤であり、四酸化窒素、過酸化水素、硝酸のような酸化剤と激しく反応する。
また、中程度の強塩基である。
腐食性があり、また肝臓や腎臓、中枢神経系などに影響を与えるほか、暴露すると死に至ることがある。発がん性もあり、取り扱いには厳重な注意が必要である。
猛毒ではあるが、四酸化窒素を混ぜるだけで燃えるため複雑な点火機構が不要で、信頼性が高く、ロケット黎明期から使われている。しかもヒドラジン・四酸化窒素ともに常温で液体なので、面倒な極低温管理なども不要であるなど、とても扱いやすい。但し、液体酸素・液体水素よりも性能が落ちるため、ロケットのサイズを小型化したい場合などには不向きである。
打ち上げ失敗時の被害が甚大となるため、新型のロケットなどでは使用されなくなって来ているが、ロシアのプロトン、支那の長征、欧州のアリアン4や、アリアン5の第二段、日本でも1970年代のLS-Cロケットの二段目に使われている。
ヒドラジンの代わりに非対称ジメチルヒドラジンを使う場合や、両者の混合を使う場合もある。
適用法令
- 毒物及び劇物取締法(毒物及び劇物指定令)
- 毒物 (ヒドラジン)
- 劇物 (ヒドラジン一水和物及びこれを含有する製剤。ただし、ヒドラジン一水和物三〇%以下を含有するものを除く)
危険性
- 引火点: 38℃(密閉式)
- 発火点: 24℃(錆鉄の上)〜270℃(ガラス表面)
- 爆発限界: 1.8〜100vol%(空気中)
有害性
- 刺激
- 腐食性: 眼、皮膚、気道、肺などに対し腐食性を示す
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: 動物実験では陽性、人間では不明
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
環境影響
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: 水生生物に対して毒性が非常に強い
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード用語の所属
毒物
劇物
関連する用語
液体燃料ロケット
非対称ジメチルヒドラジン