生化学的検査(I)
読み:せいかがくてきけんさ-いち
日本で実施されている検体検査の一つ。
概要
末梢血液を採取し、その血清や血漿を検査するためのセットメニューである。
蛋白質と、その一種である酵素、電解質、金属イオン、脂質、血糖などを測定する。
主として、肝臓、膵臓、腎臓などの異常を確認することができ、各検査項目は体調や臓器の異常に敏感に反応する項目が多数あることから、検査意義の大きな検査である。
検査
項目
2016(平成28)年度現在、以下が存在する(Dxxxは検査料の分類)。
検査費用
2016(平成28)年度現在。
検査項目ごとに所定点数が設定されているが、患者から1回に採取した血液を用いて区分1から8までで5項目以上を実施した場合は所定点数にかかわらず、検査の項目数に応じた点数により算定される。
- 実施料
- 5項目以上 7項目以下 93点
- 8項目以上 9項目以下 99点
- 10項目以上 115点
- 入院中の患者について算定した場合は、初回に限り20点を加算
つまり10項目以上の血液検査なら、計453点(125点+144点+144点+40点)+117点で570点ということになる。3割負担なら1710円である。
検査項目
以下は、2016(平成28)年度の診療報酬点数表を基に、情報を書き加えている。点数等は原則として2年ごとに改定される。
区分1から9までは、検査で分かるおおむねの疾患や検査目的などを併記する。
- 区分1 (11点)
- T-Bil 総ビリルビン ‐ 肝臓や膵臓の障害で上昇
- D-Bil or C-Bil 直接ビリルビン又は抱合型ビリルビン ‐ 肝臓や膵臓の障害で上昇
- B-TP 総蛋白 ‐ 肝臓の障害で上昇または低下
- B-Alb アルブミン ‐ 肝臓や腎臓の障害で低下
- B-BUN 尿素窒素 ‐ 腎臓の障害で上昇
- B-クレアチニン ‐ 腎不全で上昇
- B-UA 尿酸 ‐ 腎不全で上昇
- B-ALP アルカリホスファターゼ(ALP) ‐ 肝臓の障害で上昇
- B-ChE コリンエステラーゼ(ChE) ‐ 肝臓の障害で低下
- B-γ-GT γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT) ‐ 肝臓の障害や胆道が詰まると上昇
- B-TG 中性脂肪(トリグリセライド)
- B-ナトリウム及びクロール ‐ 電解質のバランス。血清Naは水分量、血清Clは液性の予測に使う
- B-カリウム ‐ 電解質のバランス。高いと不整脈、主として腎不全で上昇
- B-カルシウム
- B-マグネシウム
- 膠質反応 (以下を含む)
- B-ZTT 硫酸亜鉛試験(ZTT) ‐ 肝臓の障害で上昇または低下
- B-TTT チモール混濁反応(TTT) ‐ 肝臓の障害で上昇
- B-クレアチン
- B-グルコース ‐ わゆる血糖値。糖尿病で上昇
- B-LD 乳酸デヒドロゲナーゼ(LD) ‐ 細胞・組織(主に筋肉や肝臓)の傷害で上昇
- B-Amy アミラーゼ ‐ 血清アミラーゼなど。膵臓や肝臓の障害で上昇
- ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP) ‐ 肝臓の障害で上昇
- B-CK クレアチンキナーゼ(CK) ‐ 筋肉組織の傷害で上昇、激しい運動後も上昇する (別名 クレアチンホスホキナーゼ(CPK))
- アルドラーゼ
- 遊離コレステロール
- B-Fe 血清鉄=鉄(Fe) ‐ 低下すると鉄欠乏性貧血
- 血中ケトン体・糖・クロール検査(試験紙法・アンプル法・固定化酵素電極によるもの)
- 不飽和鉄結合能(UIBC)(比色法)
- 総鉄結合能(TIBC)(比色法)
- 区分2 (15点)
- 区分3 (17点)
- 区分4 (18点)
- LDL-コレステロール ‐ 上昇すると動脈硬化
- 蛋白分画
- 区分5 (23点)
- 区分6 (24点)
- 区分7 (26点)
- 区分8 (27点)
- B-マンガン(Mn) ‐ 全血中マンガン濃度、血清マンガン濃度
- 区分9 (29点)
- 区分10 (30点)
- 区分11 (31点/項目、3項目以上は94点)
- 区分12 (32点)
- 区分13 (35点)
- 区分14 (47点)
- 区分15 (48点)
- ALPアイソザイム
- アミラーゼアイソザイム
- γ-GTアイソザイム
- LDアイソザイム
- 重炭酸塩
- 区分16 (49点)
- 区分17 (50点)
- 区分18 (55点)
- 区分19 (57点)
- 区分20 (59点)
- 区分21 (70点)
- レシチン・コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(L-CAT)
- 区分22 (80点)
- グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G-6-PD)
- リポ蛋白分画(PAGディスク電気泳動法)
- 1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5AG)
- グリココール酸
- 区分23 (90点)
- 区分24 (95点)
- 膵分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)
- LDアイソザイム1型
- 区分25 (96点)
- ALPアイソザイム及び骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
- 区分26 (107点)
- 区分27 (108点)
- 区分28 (114点)
- 区分29 (118点)
- 区分30 (120点)
- 心筋トロポニンI
- KL-6
- イヌリン
- 心筋トロポニンT(TnT)定性・定量
- 区分31 (121点)
- アルミニウム(Al) ‐ 全血中アルミニウム・血清アルミニウム
- 区分32 (124点)
- 区分33 (129点)
- 区分34 (130点)
- 区分35 (140点)
- 区分36 (146点)
- 血液ガス分析 (当該保険医療機関内の検査に限る)
- 亜鉛(Zn)
- プロコラーゲン-III-ペプチド(P-III-P)
- IV型コラーゲン
- セレン
- 区分37 (147点)
- ミオグロビン定性
- ミオグロビン定量
- 心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定性
- 心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定量
- アルブミン非結合型ビリルビン
- 区分38 (150点)
- 区分39 (152点)
- アンギオテンシンI転換酵素(ACE)
- IV型コラーゲン・7S
- ビタミンB12
- 区分40 (162点)
- 区分41 (180点)
- 区分42 (184点)
- 区分43 (190点)
- 区分44 (191点)
- レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)
- トリプシン
- 区分45 (200点)
- マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)
- Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体
- 区分46 (204点)
- 区分47 (210点)
- 区分48 (223点)
- 区分49 (227点)
- 区分50 (230点)
- CKアイソフォーム
- プロリルヒドロキシラーゼ(PH)
- 区分52 (250点)
- 2,5-オリゴアデニル酸合成酵素活性
- α-フェトプロテイン(AFP)定性(腟分泌液)
- 区分52 (259点)
- 区分53 (263点)
- 区分54 (280点)
- 区分55 (310点)
- プロカルシトニン(PCT)定量
- プロカルシトニン(PCT)半定量
- プレセプシン定量
- 区分56 (314点)
- 区分57 (400点)
2014(平成26)年度と比して、セレン、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体が追加された。また、かなりの項目について数点ではあるが値下がりしている。また、アポリポ蛋白の検査が1項目/2項目/3項目以上に分離し、2項目以下であれば値下げされた。
以下は削除
- エステル型コレステロール
- 遊離脂肪酸
- 不飽和鉄結合能(UIBC)(RIA法)
- 総鉄結合能(TIBC)(RIA法)
- カタラーゼ
- シスチンアミノペプチダーゼ(CAP)
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