遺伝子
読み:いでんし
外語:gene

 染色体中に含まれる一つの遺伝情報のこと。英語ではジーンという。
目次

概要
 物理的大きさの関係を概念図にすると、次のとおりである。
 (小) 塩基対 DNA遺伝子染色体ゲノム (大)
 

特徴

材料
 遺伝子は、DNA(一部のウイルスにおいてはRNA)と呼ばれる物質からなる。
 また、DNAやRNAはそれぞれ4種類の塩基対からなる。DNAでは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、である。
 遺伝子の大きさは物により様々だが、平均的な大きさは約2000塩基対とも5000塩基対ともいわれる。

遺伝子数
 ヒトゲノムの場合、1セットで約30億塩基対から成り、約2万7千の遺伝子が記述されていると考えられている。
 DNAの羅列中で機能的に意味のあるものが約%あるかについては、3%から5%程度説が主流だが、中にはほぼ全て説までさまざまある。ただし、例えば人間男性の性染色体であるY染色体の大部分(長腕末端部)はランダムな繰り返し構造(特に回文配列)であり、この中に遺伝子が含まれているとは考えにくいことから、ほぼ全て説はあくまで説であって現実には程遠い。

ジャンクDNA
 DNAには、遺伝子が書かれていない部分つまり蛋白質を作らない部分があることが知られる。
 生物学的な役割などについては不明だが、上述のように、DNA中に意味のある部分が3%とするならば、ジャンクDNAは全体の97%ということになり、この部分は遺伝子が書かれていないことになる。
 とはいえ、ジャンクDNAが完全に無意味、無駄な部分というわけでもないらしく、DNA複製の開始点の目印になるなど、一定の機能を果たしているようである。

遺伝子地図
 ある遺伝子が、染色体上のどこにあるかを図にしたものを「遺伝子連鎖地図」といい、遺伝子の研究や解析に使われている。
 また、染色体または遺伝子連鎖地図上にある遺伝子の位置を遺伝子座という。

個人差
 遺伝子は個人差があり、これが、例えば同じ人間でも顔や体つきや声などが異なってくる理由の一つである。また、生活習慣病のようなごくありふれた病気への罹りやすさなどにも関係している。
 一定の集団内で一定以上の頻度で見られる変異を遺伝子多型といい、特に1塩基のみ違っている場合を一塩基多型(SNP)という。
 人間では、およそ300塩基対につき1個程度の割合でSNP、ヒトゲノム全体では約1000万ヶ所、遺伝子領域だけでも100万ヶ所のSNPがあると考えられている。

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