一段下降式ATC
読み:いちだんかこうしきエイティースィー

 CS-ATCの欠点である速度オーバーをすると即常用最大ブレーキがかかるという点を改良するため、開発されたATC。通称「ATC-P」。
目次

概要
 速度の段階数を増やし、ATCによるブレーキがかかり始めてから、列車が停止するまで、ブレーキを緩めないようにしたもの。
 地上子併用2周波AF軌道回路で、アナログ方式のATCとしては完成したシステムとなっている。

特徴

由来
 当初は東急田園都市線、営団(当時)半蔵門線で多段階ATCとして採用され、その後東急東横線で、これが改良された。
 東急ではこの東横線ATCを「ATC-P」と呼称したが、D-ATCATS-Pのようなパターン制御をするものではない。このため、JR東日本京浜東北線などで採用した、パターン制御をするATCは「ディジタルATC」と呼ぶことになった。

利点と欠点
 東横線がATSではなくATCなのは、過密ダイヤで、しかも閉塞区間が短いためであり、ATSでは不可能なためである。
 東横線では、一段下降式ATCの採用によりブレーキ動作開始から列車停止までの距離が短くなり、運転間隔をさらに短くすることができ、乗り心地もよくなった。このため、既にCS-ATCを導入している路線で、保安装置の改良として導入が進められたが、新しく敷設するにはコストが掛かりすぎることから、そのような事例は数少ない。
 また、将来車両のブレーキ性能が上がった際に、それに対応する最適なブレーキ制御をすることが難しいという欠点もある。

導入路線
 次のような路線で導入されたか、されていた。
 地下鉄では、順次「新CS-ATC」や「D-ATC」などに置き換えが進んでいる。

関連
 地下鉄では、地上鉄道と乗り入れしている路線を除いては、原則としてATCが採用されている。
 東京メトロ東西線では、CS-ATCを一段下降式ATCとは別の方法で改良した、アナログ式の「新CS-ATC」を採用した。
 また、つくばエクスプレスは、この新CS-ATCをディジタル化したものを採用した。

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