IPv6アドレス
読み:アイピー-ヴィーろく-アドレス
外語:IPv6 Address: Internet Protocol version 6 Address

 IPv6で用いられるIPアドレス。128ビット長である。
 128ビットのアドレス空間をどのように用いるかについては、様々な議論の末、現在はRFC 3587で情報提供扱いで規定されている。
目次

概要

アドレスの分類
 IPv6アドレスには、大まかに分けて、次の種類がある。
 IPv4にはないエニキャストが追加され、逆にIPv4にあったブロードキャストがなくなっている。

アドレスの種類
 各分類ごとに、次のような種類のアドレスが存在する。

アドレスの割り当て
 NICなど、各インターフェイスにIPv6アドレスが割り当てられる。
 IPv4とは違い、一つのインターフェイスに割り当てられるアドレスは原則として一つ、という制限は無い。IPv6を利用するインターフェイスには少なくとも一つ、通常は次の二つのアドレスが割り当てられる。
 後者リンクローカルアドレスは制御用に使われるIPアドレスであり、前者グローバルアドレスはインターネットで通常のデータ通信を行なう際に用いるIPアドレスである。
 グローバルアドレスは、通常は2001:から始まる「集約可能グローバルユニキャストアドレス」が使われる。
 リンクローカルアドレスは、通常はFE80:から始まる「リンクローカルユニキャストアドレス」が使われる。

アドレスの構造

基本構造
 128ビットすべてを任意に使うわけではない。ここには、アドホックな設計であったIPv4アドレスの反省がある。
 ビット列のうち、先頭からnビットは○○用途、のように可変長で決められており、今知られる範囲では次のような割り当てがある。基本的にはRFCで随時決められてゆき、時折、一覧表のRFCが発行される。
 ※注記については後述。
用途または状況プリフィックス割合定義
2進表記16進表記
未使用(※1)0000 00000000::/81/256RFC 4291
未使用(※2)0000 00010100::/81/256RFC 4291
NSAPアドレス用に予約0000 0010200::/71/128RFC 4048
未使用0000 010400::/61/64RFC 4291
未使用0000 10800::/51/32RFC 4291
未使用00011000::/41/16RFC 4291
集約可能グローバルユニキャストアドレス0012000::/31/8RFC 4291
未使用0104000::/31/8RFC 4291
未使用0116000::/31/8RFC 4291
未使用1008000::/31/8RFC 4291
未使用101a000::/31/8RFC 4291
未使用110c000::/31/8RFC 4291
未使用1110e000::/41/16RFC 4291
未使用1111 0f000::/51/32RFC 4291
未使用1111 10f800::/61/64RFC 4291
ユニークローカルユニキャストアドレス1111 110fc00::/71/128RFC 4193
未使用1111 1110 0fe00::/91/512RFC 4291
リンクローカルアドレス1111 1110 10fe80::/101/1024RFC 4291
IANA予約(旧サイトローカルアドレス)1111 1110 11fec0::/101/1024RFC 3879
マルチキャストアドレス1111 1111ff00::/81/256RFC 4291
 (※1)の領域(0000::/8)には、次の割り当てがある。根拠となるRFCを併記する。
 (※2)の領域(0100::/8)には、次の割り当てがある。根拠となるRFCを併記する。

グローバルアドレス
 特定のネットワーク機器に割り当てられるアドレスは、「集約可能グローバルユニキャストアドレス」と呼ばれている。
 特殊な用途ではない、いわゆる普通のアドレスと言った場合は、これが該当する。
 このアドレスは「2000::/3」となる。
 この範囲内で、次は特殊な用途に割り当てられている。

リンクローカルアドレス
 リンクローカルアドレスは、同一のリンク内でホストを一意に識別するためのアドレスである。
 このアドレスは「fe80::/10」となる。
 リンクローカルアドレスはリンク内でしか一意でないため、複数のリンクを持つホストから見た場合に区別ができない。そこで、アドレスの末尾に%を付けてインターフェイスの番号や名前を表記するのが一般的となっている。
 fe80::223:4567:89ab:cdef%5
 fe80::223:4567:89ab:cdef%lo0

サイトローカルアドレス
 IPv4で言うところのプライベートIPアドレス(192.168.0.0/16のようなもの)に相当するのが、サイトローカルユニキャストアドレスであった。
 プリフィックスとして「fec0::/10」が規定されていたが、2004(平成16)年9月にRFC 3879によって廃止された。その理由についてはRFC内で切々と述べられているが、スコープ(サイト境界)の定義があいまいになることと、サイトの併合時に重複が発生することが主な理由である。これらはIPv4のプライベートIPアドレスと同様の問題だが、これによりNATを助長することを嫌ったことが、廃止の理由となっている。
 この代わりとして提案されたものが、ユニークローカルユニキャストアドレスである。

ユニークローカルアドレス
 上記サイトローカルに代わるものとして、2003(平成15)年末から議論が始まり、2005(平成17)年10月にStandards Track(標準化過程)で発行されたRFC 4193で定義されるのが、ユニークローカルユニキャストアドレスである。
 プリフィックスとして「fc00::/7」が使われている。128ビットを、先頭から順に次のように用いることになっている。

エニキャストアドレス
 IPv6用のエニキャストアドレスであるが、IPv6においては、エニキャスト用としては特別なプリフィックスを用意していない。
 IPv6ではユニキャストの特殊扱いとして扱っており、ユニキャストアドレス中のインターフェイスIDを0としたものを、エニキャストアドレスとしている。

マルチキャストアドレス
 IPv6マルチキャストアドレスは、同報通信を行なうためのアドレスである。
 このアドレスは「ff00::/8」となる。

表記方法
 128ビットは長いため、色々と工夫されている。

基本
 アドレスはfedc:ba98:7654:3210:fedc:ba98:7654:3210のようにコロンで区切った8つの16進数で表わす。
 そして、8個の各パートで00000db8のように頭に0が付く場合、その0を省略することができる。つまり「2001:db8:0:0:0:0:0:0:1」のような書き方が可能である。
 また、0が連続する場合は、一回だけ::で略記することが可能。つまり先の例ならば、「2001:db8::1」のようにも記述できる。

IPv4アドレス埋め込み
 IPv4アドレス埋め込みIPv6アドレスの場合、埋め込まれるIPv4アドレスはIPv4アドレスの表現形式で記述される。
 ::ffff:192.0.2.1

85進数
 1996(平成8)年のエイプリルフールにはRFC 1924で85進数を使った方法も提案された。
 実際には使われていない。

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