IPv6
読み:アイピーヴィーろく
外語:IPv6: Internet Protocol version 6
現在
IP
と呼ばれるプロトコル
IPv4
に代わる、新プロトコル。プロトコルヘッダー(
IPv6ヘッダー
)の
IPバージョン
フィールドが6であるもの。
目次
概要
特徴
IPv4の問題点
改善点
資料
仕様
関連団体等
過渡期
IPv6への移行
IPv6-IPv4フォールバック問題
AAAAフィルター
World IPv6 Launch
概要
IPv4アドレス
の枯渇が問題になり、後継として作られたプロトコルである。
RFC 2460
で規定されている。
特徴は、宛先を表わす
IPアドレス
が128ビットである点である。
EtherType
(Ethernetフレームタイプ番号)は0x86ddである。
IPv6は、IPv4とは一切互換性がない。ハードウェアは共通だが、
ソフトウェア
の更新が必要である。全てのネットワーク上の機器を交換するか、ソフトウェアを更新する必要がある。
このため普及に時間が掛かっているが、IPv4アドレスが遂に枯渇したため、徐々にIPv6への移行準備が始められている。
特徴
IPv4の問題点
IPv4は大いに普及したが、現在のネットワークには合わない仕様も見られるようになってきた。
IPv4ヘッダー
は無駄な項目が多すぎる
経路上で
フラグメント
することが前提となっている
IPアドレス
の長さが32ビットと短く、実験的な使い道に対する余裕がない
パケットの寿命(
TTL
)の仕様が不明瞭
マルチキャスト
の利用が現実的に困難で殆ど使われていないが、それにも関わらず大量のIPアドレスがこのために予約済
CIDR
の問題として、
ルーティングテーブル
が巨大になってしまう
新たに作られるIPv6では、こういった問題点が改善される。
改善点
IPv6は、IPv4で懸案とされた部分について、最初から改善の手段が考えられている。
IPアドレス
は128ビット長とする
ルーター
でのパケット分割をやめ、高速化
QoS
を最初からメカニズムとして搭載する
IPsec
を最初からメカニズムとして搭載し、セキュリティ問題を改善する
マルチキャスト
に標準対応
資料
仕様
IPv6は、IPv4という反省対象の上に成り立つプロトコルである。ゆえに、IPv6の仕様は多くの人々が参加する議論の中から生まれ、それらは様々なRFCとして公表されている。
IPv6そのものと、基本的な追加仕様を定めるRFCには、次のようなものがある。歴史が長いとはいえないプロトコルではあるが、非常に多くのRFCが書かれ、続々と古いRFCを破棄し続けている。
プロトコル仕様
RFC 2460
(IPv6仕様)
IPv6アドレス関係
RFC 1924
(IPv6アドレスの簡潔な表現) (※
ジョークRFC
)
RFC 3056
(IPv4 Cloudsを経由したIPv6ドメインの接続)
RFC 3587
(グローバルユニキャストアドレス)
RFC 3849
(文書化のために予約されるIPv6アドレスプリフィックス)
RFC 3964
(
6to4
のためのセキュリティ問題)
RFC 4193
(ユニークローカルIPv6ユニキャストアドレス)
RFC 4291
(アドレス体系)
RFC 4380
(
Teredo
:NATを超えられるUDP上のトンネリングIPv6)
RFC 6890
(IANA IPv6特別目的アドレスブロック)
RFC 7343
(ORCHIDv2アドレス)
関連団体等
仕様の策定や、実装の作成などに尽力している、又はしていた団体等。
WIDEプロジェクト
KAMEプロジェクト
USAGI
6bone
過渡期
IPv6への移行
現状はIPv4が使われており、これがスムーズにIPv6へと移行することが理想である。しかし様々な支障があり、問題は山積である。
2011(平成23)年6月8日には世界中でIPv6を導入試験をする「World IPv6 Day」が催され、全世界的に問題の洗い出しなどが実施された。「World IPv6 Day」は多くの知見をもたらし、この経験を元に更なるIPv6へのステップを踏み出そうとしている。
日本の場合、特にNTT東西のフレッツ光サービス回線を利用している場合に、IPv6対応サイトへの接続が遅くなる問題が発生することが予め確認されていた。NTT東西のや各ISPは、後述する「
RSTパケット
」や「AAAAフィルター」でこの問題への対応を実施したため、事前に危惧された問題は、ほぼ発生しなかった。しかしこれらの対応は完全な解決ではないことから、後日、様々に議論が重ねられることになった。
IPv6-IPv4フォールバック問題
フレッツサービスでは、「IPv6-IPv4フォールバック」問題が生じる。
フレッツ網では、電話サービスや映像配信サービスなどのためにIPv6アドレスをユーザーにもれなく割り当てている。このIPv6アドレスは
グローバルIPアドレス
だが、レッツ網内でしか使えず外部ネットワークには接続できない。
一方の
オペレーティングシステム
側は、IPv4アドレスとIPv6アドレスの両方が割り当てられている場合はIPv6接続を優先し、しかも網内で閉じたグローバルIPアドレスなど想定していないので、まずIPv6によるアクセスがタイムアウトしてからIPv4でアクセスする(これを
フォールバック
という)ことになり、
Webサイト
の表示が極端に遅くなるという問題が発生する。フォールバックに要する時間は、
Windows
で約21秒間、
Mac OS X
で約75秒間とされている。
NTT東西はこの問題に対し、アドレスを変えるのではなく、閉域網内に存在しない宛先に送信されたパケットに対してTCPコネクションをリセットする「
RSTパケット
」を返信することで早急にフォールバックを行なわせるという苦しい対策を講じた。この場合、Windowsでは約1秒、Mac OS Xで約0.01秒でフォールバック可能だが、
TCP
以外のプロトコルでは動作しないという問題がある。
AAAAフィルター
DNS
への問い合わせへの応答として、
IPv4アドレス
は
A
、
IPv6アドレス
は
AAAA
のレコードをそれぞれ返す。
オペレーティングシステム
側は、AAAAが返れば、まずIPv6への接続を(可能なら)試みることになる。
「World IPv6 Day」において日本の各ISPは、IPv4によるDNSへの問い合わせにIPv6アドレス(AAAA)を返さない「AAAAフィルター」という対策を講じた。
しかしAAAAフィルターは、IPv6への自然な移行に
逆行
するものである。短期的には有効であったとしても、永続的にフィルターを掛け続けることは望ましくない。普段からAAAAが自然に返され、「ユーザーが気がついたときにはIPv6化されていた」となるのが理想である以上、そうできるように技術面も含め、解決に向けて議論することが必要との結論で業界は一致している。
World IPv6 Launch
2011(平成23)年の「World IPv6 Day」は、日本ではほぼ「IPv6の機能を止める」ことで乗り切ったとも言えるが、世界的には「成功」したとされている。
この成功を受けて2012(平成24)年6月6日には第二弾とし、世界規模でIPv6に永久的に移行する取り組み「World IPv6 Launch」が開始された。
既にIPv4アドレスは枯渇しており、日本でも通常割り振りが終了していることから、この日以降、IPv6対応を積極的に進めることになっている。
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