コードレス電話
読み:コードレスでんわ
外語:cordless phone

 電話機本体と受話器の間のコードを無くし、電波などにより無線で繋いだもの。「コードレスホン」とも。
目次

概要
 電話機本体(親機)は設置場所がある程度限定される(電話回線などが到達している部屋に限られる)ため、この親機と受話器(子機)を無線で繋ぎ利便性を向上させた電話機をいう。
 古くはアナログ方式で盗聴もし放題であったが、現在の製品はディジタル化されている。
 さらに、ディジタル化し携帯可能にしたものがPHSである。

特徴

アナログコードレス電話

機構
 初期からある、アナログ方式である。
 使用する周波数帯により何種類かあるが、一般にMCA方式により、他の無線局が使用していないかどうかを確認してから電波を発射するように設計されている。
 音声は通常のFMなので盗聴は容易である。そこで音声反転式秘話による盗聴防止機能が搭載されているのが普通である。

小電力コードレス電話
 電波法施行規則に規定のある「小電力コードレス電話」の周波数と出力を用いるコードレス電話をいう。
 移動局(子機)側が253.8625〜254.9625、基地局(親機)側が380.2125〜381.3125MHzで、空中線電力は10mW以下である。
 F3Eなど通常のFM放送と同じ技術を使う場合、10mWでも半径50m程度は電波が到達することから、傍受されやすい。
 21世紀にもなると、構内PHSシステムやIPセントレックス(無線IP電話)などへの置き換えが進み、現在ではかなり少なくなった。

微弱電力コードレス電話
 電波法施行規則に規定のある「微弱無線局」の周波数と出力を用いるコードレス電話をいう。
 無線局の免許を受ける必要がない周波数を使うが、電波が微弱に制限されている。低価格な製品を作ることができ、廉価な製品として市販された。
 しかし親機と子機の通話可能な距離が短く、また音質も悪い。
 上述の小電力コードレス電話の低価格化に伴って製品は消滅、現在では新規の製品はおそらく無い。

ディジタルコードレス電話

第二世代コードレス電話
 PHSと同じ方式を用いたもの。
 ARIBにより自営標準(自営標準第二版自営標準第三版)として標準規格化されている、PHSの1.9GHz帯を共有し、PHS自営モードで動作するコードレス電話である。
 医療機関など電波の制限の強い箇所において使われた。

2.4GHz帯コードレス電話
 ISMの2.4GHz帯で、FHSS-WDCTを用いたコードレス電話。周波数ホッピングを用いており、傍受されにくい。
 日本で最も普及したディジタルコードレス電話であるが、無線LAN電子レンジなども同じ周波数を使っているため、これらとの電波干渉が生じる。

DECT方式
 欧州で普及していたDECT方式も、2010(平成22)年に日本で利用可能になり、2011(平成23)年にはARIBもDECT方式の標準規格を策定した。
 1.9GHz帯を使用するため、2.4GHz帯と違ってISMからの電波干渉が無い。音声も32kbpsのADPCM(G.726)を採用しており、PHSと同程度に高音質である。
 日本で許可された周波数帯は1893.5MHz〜1906.1MHzの5チャンネル分である。
 まだ日本では普及してはいないものの、今後の主流になるものと見込まれている。

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