GIMP
読み:ギンプ
外語:GIMP: The GNU Image Manipulation Program
Adobe Photoshop
相当の機能を持つグラフィックソフトを
UNIX
用として開発しよう、という、
GNU
のプロジェクトの一つ。
目次
情報
概要
誕生
動作環境等
対抗品との違い
特徴
対応ファイル形式
入出力対応
入力のみ対応
出力のみ対応
機能面
GTK+
マスコット
オープンソースの象徴
概論
操作性
対Photoshop
課題
情報
現時点での最新版は以下の通りである。
製品名 ‐ GIMP
使用途
グラフィック描画ソフトウェア
初出年 ‐ 1996(平成8)年
設計者 ‐ ?
開発者 ‐ The GIMP Team
最新版 ‐ GIMP 2.8 (2012(平成24)年5月3日
影響関係
被影響 ‐
Adobe Photoshop
加影響 ‐ ?
動作環境
Linux
(i386、PPC)
Microsoft Windows
(XP、Vista)
OS X
Sun OpenSolaris
FreeBSD
ライセンス
‐
GPL
ver 2
概要
誕生
実際に公開されたバージョン1.0は、PhotoshopというよりはMS-DOSの頃に流行したグラフィックソフト、マルチペイントに近い雰囲気を持っていた。
その後も開発が続けられ、2004(平成16)年には、初のメジャーバージョンアップ版、GIMP 2.0が公開された。
動作環境等
かなり安定しているためか、標準塔載となっている
Linuxディストリビューション
も複数存在している。
現在、存在するバージョンは、次のとおり。
Linux
(i386、PPC)
Microsoft Windows
(XP、Vista)
OS X
Sun OpenSolaris
FreeBSD
対抗品との違い
詳細は後述するが、概ね次の通り。
spot color未対応(いわゆるCMYK未対応) (※)
Photoshopはプラグインで機能拡張する。GIMPはスクリプトScript-Fuで機能拡張する
色数は、深度8ビットまでしか対応していない (※)
様々なプラットフォームで稼働
無償
※を附した項目は、GEGLというライブラリで拡張され対応する。GEGLマイグレーションはGIMP 3.0からとされており、将来的にはGIMPもこれらに対応すると思われる。
特徴
対応ファイル形式
入出力対応
XCF ‐ GIMPの固有形式
GIMP XCF (.xcf、.xcf.gz、.xcf.bz2)
GIMP brush (.gbr、.gpb、アニメーション.gih)
GIMP pattern (.pat)
GIMP compressed XJT image (.xjt、.xjtgz、.xjtbz2)
AVI ‐ Microsoft非圧縮AVIビデオ (.avi)
BMP
‐ Windowsの標準形式
CEL ‐ KISS CELL (.cel)
DCM ‐ Digital Imaging + Communications in Medicine (.dcm、.dicom)
FITS ‐ Flexible Image Transport System 天文用画像 (.fits、.fit)
FLI ‐ Autodesk flic animations (.fli)
GIF
‐ Compuserve GIF画像、動画 (.gif)
HRZ ‐ Slow Scan Television
ICO ‐ Microsoft Windows icon (.ico)
JPEG
‐ Joint Photographics Expert Group (.jpeg、.jpg、.jpe)
MIFF ‐ Magick Image File Format
PCX ‐ Zsoft PC PaintBrush Picture (.pcx)
PIX ‐ Alias|Wavefront社 PIX画像 (.pix、.matte、.mask、.alpha、.als)
PNG
‐ Portable Network Graphics (.png)
PNM ‐ Portable Anymap (.pnm、.ppm、.pgm、.pbm)
PS ‐ PostScript文書 (.ps、.eps、圧縮された.ps.gz)
PSD
‐ Adobe Photoshop PSD (.ps)
PSP ‐ Corel
Paint Shop Pro
画像 (.psp、.tub)
SGI ‐ Silicon Graphics IRIS画像 (.sgi、.rgb、.bw、.icon)
Sunras ‐ Sun Rasterfile image (.im1、.im8、.im24、.im32、.rs、.ras)
SVG
‐ Scalable vector graphics for exporting paths (.svg)
TGA ‐ TARGA Bitmap (.tga)
TIFF
‐ Tagged Image File Format (.tiff、.tif)
XBM ‐ X bitmap image (.xpm、.icon、.bitmap)
XWD ‐ X window dump (.xwd)
XPM ‐ X pixmap image (.xpm)
入力のみ対応
次は、開くことができるが、保存することができない。
MPEG ‐ Motion Picture Expert Group
WMF ‐ Windows Meta File
PDF ‐ PDF document (.pdf)
G3 ‐ G3 Fax (.g3)
WMF ‐ Windows WMF file (.wmf、.apm)
出力のみ対応
AA ‐ ASCII Art (.txt、.ansi、.text)
C ‐ Cの
ソースファイル
(.c or .h)
HTML ‐ 色付きセルの表 (.html)
MNG ‐ MNG動画 (PNGを使うGIF動画風のファイル) (.mng)
機能面
Photoshopにありそうな機能は、続々と実装されている。
レイヤー、カラーカーブ、パス・カラーマップ・
ヒストグラム
の編集、ブラシの編集などに加え、多様な拡張機能に対応し、フィルター類も充実している。
単に絵を描くだけならかなりの事ができ、フリーソフトではあるが、有料のソフトウェアと比べても遜色ない機能を持っている。
但し、
CMYK
カラーには対応していない弱点がある。
入出力
は可能だが、GIMPの内部はあくまでRGBで動いているためCMYKの色域をきちんと再現できず、印刷業務では使い物にならない。内部は
シフトJIS
で入出力時のみ
Unicode
に変換しているエディターが「Unicode対応」を謳うようなもの、と言えるだろう。
ならPhotoshopを使えば良い、と言ってしまえば終わりだが、それだけPhotoshop相当の機能への道は長く険しいもの、ということでもある。
GTK+
GTK+
というGUIツールキットは、GIMPのために開発されたライブラリである。
今では広く用いられているが、元々はGIMPの一部でもある。
マスコット
描かれる犬のようなマスコットキャラの名前はWilber(ウィルバー)という。
オープンソースの象徴
概論
GIMPは、良くも悪くも
オープンソース
を象徴するソフトウェアの一つとして、よく名が挙げられるものである。
オープンソースソフトウェア
の良さと限界を垣間見ることができ、そして商用ソフトの存在価値の再認識へと繋がることで、一つのソフトウェアだけでオープンソース開発の縮図が見られるからである。
GIMPはまだまだ、目標であるPhotoshopと比べれば機能は低いが、考えられる機能は続々と詰め込まれ多機能化へ邁進をしている。しかし、使い勝手などの点については一向に改善がない。
Photoshopは商品であるので、その売上を元手として開発者を雇い、利用者の意見を組み入れて改良が続いている。歴史も長く、携わった技術者も多く、更に利用者数も圧倒的である。
しかしGIMPはそうではない。開発サイドは趣味でやっているに過ぎず、人も少ない。現在、開発サイドは機能実装が最優先であり、プログラマーとしてはここまでで満足する。次に求められる操作性などはデザイナーの仕事であるが、この辺が弱いのだろうと見られる。
操作性
特に良くないと考えられているのは、機能は多くあっても、そのインターフェイスが整理されてない点である。異なる機能で、それぞれの動作の整合性が取られていない。実装優先の弊害であろう。
また機能はあっても、実際に必要とされる機能と「ずれ」があり、結局使えない、といった問題もある。痒いところに手が届かない、作り手が痒い部分を理解してない、というあたりがGIMPの弱点であり、永久にPhotoshopには勝てないだろうという根拠にもなっている。
それでも、まともなフィードバックがあり、それに対応する準備が開発サイドにあれば多少は良いのであろうが、GIMPの場合はまだその水準まで達していないようである。
対Photoshop
操作性という面では、Photoshopも充分に使い勝手が悪いソフトウェアだといえるが、それでも利用者が多いのは機能面が優れているためといえる。
そういう意味では、設定や操作が複雑で勝手が悪くても、機能さえあればよい、というGIMPの方針はあながち間違いではない。ただ、GIMPは機能も低いのが最大の問題で、苦しいところだといえる。ゆえに開発者はもちろん利用者も少なく、なかなか枯れて行かないのである。
課題
プログラマーからすれば、UIの細かな改善や使い勝手の向上などは、つまらないことである。新機能の搭載に力を尽くすほうが遥かに楽しいことである。
オープンソースは趣味の世界なので、楽しくなければ誰もしない。これが限界なのである。
対する商用ソフトウェアは利用者に対価を求めるが、この額面は何なのかを鑑みるに、「プログラマーは楽しくないが、ユーザーにとっては使いやすい」という部分の価格なのだと言う事ができる。
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