画面描画技術として、Adobeの開発したPDFに準拠した2D用のエンジンであるQuartzを備え、PDFで記述されたテクスト/グラフィック複合画像のWYSIWYG表示、画像の合成、透明度の設定、アンチエイリアシングなどの機能をシステムレベルで持っている。
また、3D描画用のOpenGLとマルチメディア用のQuickTimeがDarwin上にシームレスに統合して搭載されている。 ユーザーインターフェイス
従来のMac OSともOPENSTEPとも異なる新たなユーザーインターフェイスとして Aquaが搭載された。
光り輝く半透明のボタンやスライダーなどの部品を備え、ダイアログやメニューも半透明で裏のウインドウが透けて見える。
LAN/インターネットと統合されWebブラウザー風の表示方法もサポートする新しいFinderや、マルチウィンドウでのユーザーの作業を管理・整理し、シングルウィンドウモードなどを提供する新しいDockなどが装備されている。
なお、Aquaのインターフェイスを利用するにはCarbonまたはCocoaのAPIでソフトウェアが組まれている必要があり、Classic APIでは従来のMac OSと同じ概観となる。 産みの苦しみ
1994(平成6)年からのCoplandや、1997(平成9)年からのRhapsodyなど、「次世代Mac OS」の開発は古くから試みられて来たが成功しなかった。
独自の開発を諦め、MachとFreeBSDを使った実装として完成された。結果的に当初予定から大幅に遅れることとなったが、これがAppleにとり致命傷となったかと言うとそうでもなく、かつての「OSで成功しない限りAppleの未来は無い」といった見方から、「iMacをはじめとするハードウェアの魅力でAppleは普及率を拡大できる」という状況に変化している。
今回のMac OS Xも、ハードウェアや操作性を含むデザイン中心の流れの一環として位置付けられるような格好となったようだ。
なお、従来Mac OS Xとして開発されていたRhapsodyと、製品となったMac OS X(後のOS X)は別物である。bsd-family-treeによると、4.4BSD Lite2からRhapsodyが作られたとされる。また、RhapsodyとFreeBSD 3.2、さらにNetBSD 1.4の影響も疑われながらDarwin/Mac OS X 10.0が完成した。そして、Mac OS X 10.2はFreeBSD 4.4の影響を、Mac OS X 10.3はFreeBSD 5.1の影響を受けているとされる。 バージョン 一覧
Public Beta (Siam) シャム猫
Mac OS X v10.0 (Cheetah) チーター
Mac OS X v10.1 (Puma) ピューマ
Mac OS X v10.2 (Jaguar) ジャガー
Mac OS X v10.3 (Panther) パンサー
Mac OS X v10.4 (Tiger) 虎(タイガー)
Mac OS X v10.5 (Leopard) 豹(レパード)
Mac OS X v10.6 (Snow Leopard) 雪豹(スノーレパード)
Mac OS X v10.7 (Lion) ライオン
OS X v10.8 (Mountain Lion) クーガーあるいはピューマ ↑↓ 隔絶
OS X v10.9 (Mavericks) カリフォルニアの地名 マーベリックス
OS X v10.10 (Yosemite) カリフォルニアの地名、ヨセミテ
OS X v10.11 (El Capitan) ヨセミテ国立公園にある花崗岩の山
Mac OS X v10.0 (Cheetah)
2001(平成13)年3月24日発売。
最初の出荷バージョン。
この当時はまだ完成度も低く、実用的なアプリケーションも揃っていなかったこともあり、Mac OS 9をメインのOSとし、併用するユーザーが多かった。 Mac OS X v10.1 (Puma)
2001(平成13)年9月25日発売。
Mac OS Xとして始めて実用水準に達したとされる初のバージョン。Mac OS X v10.0ユーザーに対しては無償アップデートが提供された。
このバージョンから、変換精度が向上した「ことえり3」が登場。
また、AdobeやMicrosoftなどから、実用的なアプリケーションがリリースされ始めたのもこの頃から。
但しこの頃のユーザーはまだイノベーターが多い。 Mac OS X v10.2 (Jaguar)
2002(平成14)年8月24日発売。
Quartz Extreme ‐ GPUのジオメトリ演算ユニットが利用可能になった描画エンジン
Rendezvous ‐ ネットワークの自動設定機能(Mac OS X v10.4からBonjourに改名)
Mac OS X v10.3 (Panther)
2003(平成15)年10月24日発売。
標準でUSBを持たない古い機種へのサポートを打ち切った初のバージョン。したがって対応機種はiMac以降となる。
予測変換に対応した「ことえり4」を搭載。
この頃から、Mac OS Xの大々的な普及が始まる。 Mac OS X v10.4 (Tiger)
2005(平成17)年4月29日発売。単体製品の発売はないが、インテルMacとしてMac OS X v10.4を搭載した製品が出荷された。
FireWire(IEEE 1394)を標準搭載した機種のみの対応となり、初期のiMacなどへの対応が打ち切られた。
カーネルの大幅な更新がなされ、新たなフレームワークとして、次が導入された。
Core Image ‐ リアルタイムイメージング
Core Video ‐ リアルタイムイメージング
Core Audio ‐ オーディオおよびMIDI
Core Data ‐ データモデル設計
インテル版に対応した最初の版だが、単体製品としては、次のv10.5 (Leopard)から販売されるようになった。 Mac OS X v10.5 (Leopard)
2007(平成19)年10月26日発売。OS自体の開発遅延と、iPhoneへのリソース集中を理由に発売が延期されていた。
PowerPCとx86という互換性のないバイナリを共存させる、Universal Binaryに対応した。
Classic環境(いわゆるBlue Box)が廃止された。
The Open GroupからSUS(Single UNIX Specification)認証を受けたことで、正式にUNIXを名乗れるようになった。 日本語処理では、JIS X 0213:2004に対応している。 Mac OS X v10.6 (Snow Leopard)
2009(平成21)年8月28日発売。
このバージョンから、x86 CPUを搭載したMac(いわゆるIntel Mac)のみの対応となり、PowerPC搭載機への対応が打ち切られた。x86の対応が10.4以降ということもあり、10.3と10.6の両方が動くマシンは実在しないということである。
アプリケーションの64ビット化が進められた。 Mac OS X v10.7 (Lion)
2011(平成23)年7月20日発売。
Expos〓、Spaces、Dashboardなどを含むシステム全体を一画面で俯瞰できる機能Mission Controlの搭載が発表されている。
また、ソフトウェア販売サービスMac App Store、フルスクリーンをウィンドウ化して表示する機能、アプリケーションランチャーLaunchpadなど、iOSから機能が輸入されている。
Mac OS X v10.7.0 ‐ 2011(平成23)年7月20日
Mac OS X v10.7.1 ‐ 2011(平成23)年8月16日
Mac OS X v10.7.2 ‐ 2011(平成23)年10月12日
Mac OS X v10.7.3 ‐ 2012(平成24)年2月1日
Mac OS X v10.7.4 ‐ 2012(平成24)年5月9日
Mac OS X v10.7.5 ‐ 2012(平成24)年9月28日
OS X v10.8 (Mountain Lion)
2012(平成24)年7月25日発売。
このバージョンから、正式にMac OS XではなくOS Xになった。
iOS5から搭載された様々な機能が輸入されている。
OS X Mountain Lion v10.8.0 ‐ 2012(平成24)年7月25日
OS X Mountain Lion v10.8.1 ‐ 2012(平成24)年8月23日
OS X Mountain Lion v10.8.2 ‐ 2012(平成24)年9月19日
OS X Mountain Lion v10.8.3 ‐ 2013(平成25)年3月14日
OS X Mountain Lion v10.8.4 ‐ 2013(平成25)年6月4日
OS X Mountain Lion v10.8.5 ‐ 2013(平成25)年9月12日
OS X v10.9 (Mavericks)
2013(平成25)年10月22日公開。Mac OS X v10.6 (Snow Leopard)以降のユーザーは無償でアップデート可能。
対応機種は、最古では2007(平成19)年頃のiMacで、それ以降多くの機種で利用できるが、新しい機種の方が快適であることは言うまでもない。
OS X Mavericks v10.9.0 ‐ 2013(平成25)年10月22日
OS X Mavericks v10.9.1 ‐ 2013(平成25)年12月19日
OS X Mavericks v10.9.2 ‐ 2014(平成26)年2月25日 (Facetimeオーディオに対応)
OS X Mavericks v10.9.3 ‐ 2014(平成26)年5月15日
OS X Mavericks v10.9.4 ‐ 2014(平成26)年6月30日
OS X Mavericks v10.9.5 ‐ 2014(平成26)年9月17日
OS X v10.10 (Yosemite)
2014(平成26)年10月16日公開。既存のMac OSユーザーは無償でアップデート可能。
対応機種は、Mavericksと同じく最古では2007(平成19)年頃のiMacで、それ以降多くの機種で利用できるが、新しい機種の方が快適であることは言うまでもない。
OS X Yosemite v10.10.0 ‐ 2014(平成26)年10月16日
OS X Yosemite v10.10.1 ‐ 2014(平成26)年11月
OS X Yosemite v10.10.2 ‐ 2015(平成27)年1月27日
OS X Yosemite v10.10.3 ‐ 2015(平成27)年4月8日
OS X v10.11 (El Capitan)
2015(平成27)年9月30日発売。2015(平成27)年6月9日にWWDC 2015にて発表された。前バージョンYosemite内にある山の名前が使われている通り、小規模な更新になるとされている。ただし、日本語機能などにはかなりの改良が加えられており、日本のユーザーにとっては大きな更新となる。