NetBurstマイクロアーキテクチャー
読み:ネットバースト-マイクロアーキテクチャー
外語:NetBurst Microarchitecture
Intel
製
IA-32
(
x86
)プロセッサーのうち、
Pentium 4
用に開発されたマイクロアーキテクチャー(内部構造)。
目次
概要
由来
設計方針
特徴
技術
スーパーパイプライン
ハイパースレッディング
製品
プロセッサーコア
ブランド
沿革
内部RISC
高クロック化
終焉
補足
名前の由来
アーキテクチャー
概要
由来
2000(平成12)年8月に発表され、11月に発売されたPentium 4(コードネーム
Willamette
)から採用された。
当初、和名は「インテル NetBurst マイクロアーキテクチャ」であったが、カナ表記が見直された後は「Intel NetBurst マイクロアーキテクチャー」と表記されている。
設計方針
CPU
内部構造は、初代Pentiumは
P5
、Pentium Pro〜Pentium IIIまでは
P6
と呼ばれていた。
その後継であるNetBurstは、従来より更に高機能に拡張され、そして「高クロックに特化した設計」になっている。
簡単に言えば、
クロック周波数
の向上「だけ」を目指した設計のアーキテクチャーで、その代償として発熱量が莫大になり、巨大な冷却装置が必要となった。
特徴
技術
主な機能に、次のようなものがある。
400MHz・533MHz・800MHzの
FSBクロック
(P6では100〜133MHz)の採用
クロックの倍速で動く整数演算ユニット
20段(
Willamette
/
Northwood
)または31段(
Prescott
)の
スーパーパイプライン
(P6は10段)による効率の向上
ストリーミングSIMD拡張命令2(
SSE2
)やストリーミングSIMD拡張命令3(
SSE3
)対応(Prescott以降)
スーパーパイプライン
パイプライン
が20段や31段とあまりにも深いため、
分岐予測
を誤った時のペナルティが大きい。
そのため、1クロックあたりの性能はP6よりも20%程度悪化しているとされるが、代わりにP6アーキテクチャーの2倍以上の周波数で動作させることが可能なため、実質的に高速に動作させることができる。
これが、
クロック周波数
の向上「だけ」を目指した設計と言われる所以である。
ハイパースレッディング
設計当初より
ハイパースレッディング・テクノロジー
が念頭に置かれていて、これが機能すれば20%程度の性能向上になるとされる。
つまりクロックあたりの性能はP6と同等になる。
この機能は二代目コアNorthwoodから利用されるようになった。
製品
プロセッサーコア
NetBurstを採用しているのはPentium 4とその関連品、姉妹品のみで、後継製品では採用されていない。
Willamette
(ウィラメット) 180nm
Northwood
(ノースウッド) 130nm
Prescott
(プレスコット) 90nm
(
Tejas
(テハス)) 90nm (キャンセルされ、製品化されていない)
Smithfield
(スミスフィールド)
デュアルコア
版
CedarMill
(シーダミル) シングルコア版65nm (Tejasの65nm版と考えられている)
Presler
(プレスラー) デュアルコア版65nm (CedarMillのコアを二つ搭載)
ブランド
次のような製品がある。
Xeon
Pentium D
Pentium Extreme Edition
Pentium 4 Extreme Edition
Pentium 4
Pentium 4-M
Celeron D
Mobile Celeron
沿革
内部RISC
NetBurstはP6と同様、内部はRISC風になっている。
CISCであるx86命令を、RISC風の内部命令μOPsに変換し、実行する。変換時の
オーバーヘッド
はあったが、パフォーマンス向上には大きく寄与した。
高クロック化
NetBurstにおいて、処理能力の向上を支えるのは
クロック周波数
の向上である。
一つのx86命令を多数の単純な命令に分解して深いパイプラインに投入する。このため従来よりクロック周波数を上げなければ速度が落ちることになり、性能を稼ぐためにクロック周波数の向上は前提条件だった。
クロック周波数が上がるごとに増える消費電力と発熱量の増大は、
プロセスルール
の微細化や低電圧化で抑えることができると見込まれた。
しかし、ものには限度があり、莫大な発熱量を解消するためにCPUファンは巨大化し、また冷却のために回転数を上げて轟音を響かせるようにもなった。こうしてCPUから放出された熱の排出方法などにも注意が必要となり、ケースにもファンが必要になるなど、様々なコスト増大を招いた。
終焉
莫大な消費電力と発熱をもたらすNetBurstは、行き詰まりを見せた。
当時としては、この設計の選択は最良ではあったが、やはり失敗作には違いなかった。
やがて、方針を転換した設計をしたマイクロアーキテクチャー、
Core 2
で採用された「
Coreマイクロアーキテクチャー
」へと移行することになった。
補足
名前の由来
従来、
P5
、
P6
など、いかにも型番的な名前、言うなれば個性の無い開発コードネームが使われていた。
NetBurstからはこれを改め、個性ある名称をコードネームとして使用するようになった。
最初のコアWillametteとその製品Pentium 4からは、
SSE2
が搭載されておりストリーミングビデオの再生などに効果的な新機能であったこともあり、Net+Burstという広告的な名称が作られたものと思われる。
アーキテクチャー
P6マイクロアーキテクチャー →
NetBurstマイクロアーキテクチャー
→
Coreマイクロアーキテクチャー
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