自然放射能
読み:しぜんほうしゃのう
外語:Natural Radioactivity
自然界に存在する
放射能
。
目次
概要
特徴
自然放射線
生体内
人体の放射性物質
主な自然放射性核種
概要
土や
岩石
などには、様々な
放射性同位体
が含まれている。
例えば、
カリウム40
などからは微量に放射線が放出されていて、このカリウムが自然放射能の大部分をしめている。
特徴
自然放射線
独立行政法人放射線医学総合研究所(NIRS)の「
放射線被ばくの早見図
」の2013(平成25)年5月28日改訂版によると、日本平均で、一人、一年あたり約2.1mSvを被曝する。
内訳は次の通り。
宇宙から 約0.3mSv
大地から 約0.33mSv
ラドン等の吸入 約0.48mSv
食物から 約0.99mSv
生体内
自然界に存在する
元素
には、一定割合で
放射性同位体
が存在する。
このため生物は常に
放射性物質
を含んだ食品を食べ、また放射性物質が含まれた空気を吸っていることから、体内には常に放射性物質が存在する。
もちろん、それは人間も例外ではない。
人体の放射性物質
人間の場合、体重60kgの標準的な日本人の場合で、次の放射性物質を体内に蓄えている。
カリウム40
(
40
K) 4000ベクレル
炭素14
(
14
C) 2500ベクレル
ルビジウム87(
87
Rb) 500ベクレル
鉛210(
210
Pb) 20ベクレル
ポロニウム210
(
210
Po) 20ベクレル
セシウム137
(
137
Cs) 20〜60ベクレル
このうちの殆どは
β線
を放つものである。β線は透過力が弱い放射線であるため体外には出ないが、カリウム40だけは
γ線
を出すため、この放射線は体外に出ていく。
この体内で生じる放射線の量は自然界から受ける放射線の量と比べても遥かに微量であり、また食物からの内部被曝についても無視できる水準である。
主な自然放射性核種
自然放射能の中で最も多いカリウム40(
40
K)は、人間は一日あたり約50から75ベクレルを摂取し、概ね同量が排出されている。
一般財団法人 高度情報科学技術研究機構(RIST)による、原子力百科事典ATOMICAに掲載されている、
40
K以外の
主な自然放射性核種の標準的な濃度
は、以下の通りである。
食品
生の食品の放射性濃度(mBq/kg)
226
Ra
210
Pb
210
Po
232
Th
228
Ra
228
Th
牛乳製品
5
40
60
0.3
5
0.3
肉製品
15
80
60
1
10
1
穀物製品
80
100
100
3
60
3
葉菜
50
30
30
15
40
15
根菜および果実
30
25
30
0.5
20
0.5
魚製品
100
200
2000
‐
‐
‐
[出典]放射線医学総合研究所(監訳):放射線源と影響、実業広報社(1995)、p74
ちなみに、崩壊と半減期は次の通りである。
226
Ra
‐
α崩壊
(1600年)
210
Pb ‐
β崩壊
(22.3年)
210
Po
‐ α崩壊 (138.4日)
232
Th
‐ α崩壊 (140.5億年)
228
Ra ‐ β崩壊 (5.75年)
228
Th ‐ α崩壊 (1.9131年)
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