読み:つき
外語:Moon

 地球の、唯一の天然の衛星
目次

概要

基本情報

衛星
 天然の孫衛星は存在しない。

特徴

地球からの眺望
 地球からは、太陽に次いで二番目に明るく見える天体である。実視等級は極大で-12.6等。
 自転と公転の周期が等しく27.3217日で、ゆえに常に地球に同じ側を向けている。これは、地球と月の距離が非常に近く、それぞれの引力によって互いに潮汐力が働き、向き合った面が固定されたためである。そこで、地球から常に見える側を表、反対側を裏という。
 月の裏の観測に初めて成功したのは旧ソビエト連邦の月面探査機ルナ3号である。
 そして地球も自転しているので、都合29.53日で月は新月‐満月‐新月となる。この周期を朔望周期という。

成分

大気
 月に大気はない。

地殻
 月の地殻成分は地球のマントルに似ているとされる。


 月の核は詳細が不明である。
 近年の調査では、半径数百km程度で、重い物質でできた核らしきものがあることが分かっている。


 月に水があるかどうかは長く議論となっているが、月面から採取された火山ガラスを二次イオン質量分析法などにより分析したところ、ごく微量の水が検出された。
 これは、月の地中深くには地球のマントル上層と同程度の水があると推測する結果であるとされる。
 月にかつて多くの水があったと仮定した場合、その水がどこへ行ったのかは大きな謎であるが、地中奥深くやクレーターの奥深くに氷などとして残っている可能性があり、今後の調査などに期待が寄せられている(詳細後述)。

起源
 月は地球の大きさと対してあまりにも大きすぎる衛星であり、その誕生については幾説か存在する。
 月の成分は地球のマントルと酷似することもあり、地球と誕生を別にするとは考えにくいとするのが、現在の一般的な学説である。
 現在最も有力な説がジャイアント・インパクト説である。

磁場
 地球には磁場があるが、月にはない。
 地球の場合、内部は放射性元素の崩壊熱で高温になっていて、熱で溶けた鉄の核によって北極をS極、南極をN極とする二つの磁極を持った大規模な磁場を生んでいる。一方で現在の月内部は冷えており、このため磁場がない。
 ただし、約40億年前の月の内部はまだ熱く、月の中心にある鉄を主成分とする核によって磁場が作られていたと考えられている。人工衛星での調査では、現在も局所的に磁場の強い地域(磁気異常)があることが分かっており、これは40億年前の磁場を記録したものと考えられている。

地名
 月の各所には様々な地名が付けられている。
 月にも水分子は存在するが、目に見えるほどの水は無い。それでも月には海や沼が沢山存在する。これは、肉眼や望遠鏡による月面観測が始まった頃から命名され始めたもので、当時暗く見える部分には水があり、それが大きいところは海、小さいところは湖や沼だと考えられたところから、このような名前になった。
 ちなみに月から地球をみると、満月の約4倍の大きさで地球が見える。

観測結果


 日本、アメリカ、インドなどの探査機が2007(平成19)年から月に駆けつけ観測を実施した。
 ここでインドの月周回探査機「チャンドラヤーン1号」に搭載された月面鉱物マッピング装置(Moon Mineralogy Mapper)が月面から水分子を検出した。水素酸素が結合した水酸基(ヒドロキシル基、‐OH)が吸収する光の波長パターンが月面の広範囲から検出された。
 水の有無を地球から観測するため、アメリカの月面探査機エルクロス(LCROSS)を月面に突入させた。突入位置は常に日が当たらない部分がある南極付近のクレーター内部。ここは、地表付近に水分が氷としてあると予測されていた。
 まずエルクロス本体から衝突体が分離され2009(平成21)年10月9日20:31(@521)に2.5km/s(2.2km/cBeat)で衝突、その様子を観測した本体も5分後に月面に衝突した。
 NASAは、観測結果で少なくとも約90リットル相当の水分が飛散したと判定した、と発表している。
 月の水はいずれ、月面基地などが建設された際に飲料水として利用可能なほか、電気分解して水素を燃料に、酸素を呼吸用に使うことも可能である。


 日本の月探査機かぐやの観測データにより、嵐の大洋に、地下深くに通じる直径60m〜70mの縦穴が開いていることが2009(平成21)年10月24日までに発見された。
 月に縦穴が発見されたのはこれが初めてである。
 太陽光が穴の壁に作る影の形状より縦穴は深さ約60mまで真っ直ぐに伸びており、ここから深さ80m〜90mに平らな底面が広がっていると推定された。
 穴は、通常は地下に空間がないと作られない。嵐の大洋には溶岩が流れた形跡があり、地下に溶岩トンネルなどの空洞が作られている可能性が示唆され、縦穴は溶岩トンネルの天井の一部が崩落したものと考えられている。
 JAXAの研究チームの推定では、地下空洞は高さ20m〜30m、幅最大400m、長さは数十kmにも及ぶ可能性があるとしている。

探査

主要な探査機
 アメリカと旧ソ連の冷戦時代、両国は月へ向かう技術開発をし、その技術力を競い合った。
 こうして多数の宇宙探査機が月へ向かい、月の土を採取して持ち帰った。また、アポロ11号〜17号により人類が月へと降り立ち、そして地球に帰還している。現時点で月に生物は発見されていない。
 その後、世界各国から様々な探査機が打ち上げられた。

アポロ計画
 人類が月に降り立ったのは、宇宙飛行士を乗せた宇宙船が地球と月を往復するアポロ計画のみ。
 うち、実際に月面に至ったのは、次の6回のみである。
  1. アポロ11号
  2. アポロ12号
  3. アポロ14号
  4. アポロ15号
  5. アポロ16号
  6. アポロ17号
 有人月探査は、支那インドが進めているほか、民間での探査計画まで出はじめた。
 そこでアメリカは、人類が初めて月に降り立った着陸地点などは「歴史的遺産」であり「米国の財産」であるとし、今後、これが破壊されることのないように立入禁止とする指針を表明している。
 国連の宇宙条約では宇宙空間はどの国も自由に立ち入りできるとしており、この指針は国際的な法的拘束力は何もないが、実際にこれらを意図的に破壊することは惜しいと考える人は多いので、月面での活動を制限する先例になるのではないかと注目を集めている。
 指針の案によると、最初のアポロ11号(1969(昭和44)年)と最後のアポロ17号(1972(昭和47)年)の着陸地点は価値が高いと判断し、各々半径2km以内の上空飛行を禁止とするほか、月面でも、着陸時に活動した範囲を含む、アポロ11号着陸地点から半径75m、アポロ17号着陸地点から225m以内の立ち入りを禁ずるとしている。
 更に、研究目的などでNASAと事前協議をした場合を除いて、汚染を避けるため月面の機器類などへの接触を禁じるとしている。月探査車、宇宙船の離着陸に使った台座など大型機器を始め、月面に立てたことで有名な米国旗や、衣類、食品、排泄物なども含むとしている。

発見
 月の存在は古くより知られており、発見者は不明。

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