いて座方向に約2荳5000光年の距離にある恒星で、それまで発見された中で最も明るい超巨星、高光度青色変光星(LBV)である。1997(平成9)年に発見された。
- 座標(2000年分点)
- 赤経: 17h 46m 15.240s (ICRS)(SIMBAD) (赤外線)
- 赤緯: -28°50′03.58″ (ICRS)(SIMBAD) (赤外線)
- 銀経: 0.159197° (SIMBAD)
- 銀緯: -0.065500° (SIMBAD)
- 所属
- 距離: 約2荳5000光年
- 伴星: 該当資料なし)
- 規模
- 半径: 306 RSUN (doi:10.1088/0004-637X/691/2/1816)
- 質量: 27.5 MSUN (doi:10.1088/0004-637X/691/2/1816)
- 光度: 1,600,000 LSUN (doi:10.1088/0004-637X/691/2/1816)
- 表面温度: 11800K
- 年齢: 約300億歳
- 絶対等級(MV): -12.3
- 等級
- J等級(J): 11.828等±0.023等 (SIMBAD)
- H等級(H): 8.92等±0.04等 (SIMBAD)
- K等級(K): 7.291等±0.027等 (SIMBAD)
- スペクトル分類: B
- 視線速度(RV): (該当資料なし)
- 固有運動(μ): (該当資料なし)
かつて、太陽のおよそ200万倍程度の光度があり、半径は太陽の300倍以上あるとされていた。この半径を太陽系にあてはめると、火星軌道にほぼ匹敵する。
質量は、誕生当時は太陽の200倍以上あったが、質量放出を続けた現在では太陽の27.5倍の質量を持つとされ、現在でも太陽が1年間かけて放出するエネルギーを、ピストル星は僅か6秒程度で放出するとされる。
なお、観測により現在では輝度を下方修正する説が出され、イータ・カリーナの1/3程度の輝度(太陽のおよそ160万倍程度)とされている。そうだとしても、太陽が1年間かけて放出するエネルギーを20秒程度で放出する。
地球からの距離は約2荳5000光年で、銀河系の中心部近く、五つ子星団(Quintuplet cluster)に多数存在する巨大な星の一つ。
先の推定の輝度と距離が概ねが正しいとすると地球からは概ね4等星となり目視可能な計算になる。しかし銀河中心付近に多数ある星間物質に遮られるために実際には目視できない。地球からは、星間物質の影響を受けにくい赤外線観測で辛うじて観測ができる。
周囲に広がる赤い散光星雲がピストルの形にみえるということで、この名がある。
4000〜6000年程度前に巨大な爆発により外層を吹き飛ばし、この時に太陽の10倍程度の質量を放出したとされる。これが周囲を取り巻いて星雲となった。ピストル星はしばしば爆発を起こしており、そのたびに質量を放出している。
大質量星の寿命は短い。
この星の余命は、100万年から300万年程度と考えられており、その後は超新星爆発すると考えられる。
この星は観測史上最も明るい星だったが、しかしその座は2004(平成16)年に発見されたLBV 1806-20に奪われた。
関連するリンク
[FMM95] 3 -- Emission-line Star @ SIMBADMETALLICITY IN THE GALACTIC CENTER: THE QUINTUPLET CLUSTER, doi:10.1088/0004-637X/691/2/1816用語の所属
いて座
銀河系
高光度天体
高光度青色変光星
関連する用語
LBV 1806-20