妙法蓮華経
読み:みょうほうれんげきょう
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 大乗仏教の経典の一つ。法華三部経の第二部。
目次

法華経
 妙法蓮華経は、法華経(ほけきょう/ほっけきょう)の漢訳書の一つである。
 代表的な法華経の訳書には、次の三書が知られ、中でも最も優れた訳として妙法蓮華経が珍重されるようになった。
 日本でも妙法蓮華経が普及したことから、日本においては、妙法蓮華経と法華経は同義である。

概要

誕生
 釈迦の教えをまとめたものの一つであり、山ほどあるお経の一つである。
 法華経は釈迦没後およそ400〜600年後に釈迦の弟子たちにより編集されたと推定されている。
 これが支那に伝えられ天台大師によって普及が進められた。そして同じ頃に日本へも伝わった。

日本
 法華経の精神を反映し聖徳太子により日本初の憲法「十七条憲法」が作られた。
 そして最澄により日本で天台宗が起こされ、鎌倉時代に日蓮が登場して日蓮宗が起こされた。

由来
 この経典は釈迦没後400〜600年後と誕生が遅い。そもそも釈迦直筆の経は存在せず、現存するものは全て釈迦が述べたことを弟子が書物として残したものであるが、ここまで時間をあけて経典が出現した理由は一つ、宗教論争であった。
 当時、釈迦の教えは一字一句変えず守るべきとする保守派(小乗)と、守るべきは教えの精神であるとする革新派(大乗)が対立した。
 しかし十七条憲法に「以和為貴」(和を以って貴しと為す)とあるように、元々は争いを無くし皆が幸福になるという釈迦の教えから抗争になるのはおかしなことであったため、良識派(一乗)が、大乗も小乗もなく、全てが一乗なのだとして、釈迦晩年の教えを法華経としてまとめた。これが法華経の誕生の由来である。

特徴

妙法蓮華
 妙法蓮華経は、妙法蓮華という名を含む。
 妙法は、正しい/真実の/優れた、教え/法、のこと。とにかくスケールが大きいため、支那語で書かれる際、「妙」という字が選ばれたものと思われる。
 蓮華は蓮(ハス)の花、特に白蓮華を指す。泥から茎を延ばし可憐な花を咲かせる蓮は、俗世の中にあっても染まらず、菩薩の道を行じて衆生を救うという理想を象徴する存在である。
 妙法蓮華は、妙法蓮華・教菩薩法仏所護念という妙法蓮華経のテーマの一つとなっている。

三つの教え
 妙法蓮華経は、次の三つの教えを説いているとされる。
 それぞれに担当する菩薩があり、行は普賢菩薩、慈は弥勒菩薩、智は文殊師利菩薩である。

法身の釈迦
 この経で述べられていることは「法身の釈迦」についてである。
 法身の釈迦とは、真理・法・仏と同義であり、ものごとの因果などを指す。そして法華経そのものや、またこれを悟った人や魂も指すことがある。これに対して人間の釈迦は「応身の釈迦」と呼ばれる。
 もう少し簡潔にいうと、宇宙全体には、過去や未来の時代を問わず、真理(法華経)を説く釈迦が普遍的に存在しており、これが法身の釈迦であって、この存在について述べているのが法華経なのである。

一仏乗の真理
 この経は、人が成仏するための方法を説いた方便の経ではなく、一切衆生は初めから全て仏なのであり凡夫は無い、とする一仏乗の真理が説かれた経ということである。強いて言うならば、この真理を法華経で知ることが即ち成仏法だとも表現できる。
 そしてこの法華経に書かれていることを「実践」すれば、誰でも幸福になれるとされている。
 同じ仏教のお経でも、経を唱えるだけで御利益があるとするものは数多あるが、法華経は違う。法華経を学び、その教えを行ずることが求められるのであり、行じていかなければ、幾ら学んでも学ばないのと同じであるとする。
 ゆえに法華経には必ず修行が伴い、法華経を信仰する人は、信者とは言わず行者と呼ばれる。

構成

本迹二門
 法華経は全部で28の品(章)で構成される。昔はこれが八つの巻き物に別けて書かれていたため、「八ノ巻」とも呼ばれた。
 全28品中、前半の14品が「迹門」、後半の14品が「本門」と呼ばれる。
 ここで二大流派があり、迹門より本門が優れているとする「勝劣派」(しょうれつは)と、迹門も本門も説く理は一致しているとする「一致派」(いっちは)とに分かれる。
 一致派の開祖は日朗、総本山は身延山久遠寺で、現在、宗派名が単に「日蓮宗」とされるのは、この一致派である。
 また勝劣派にも複数の流派があり、本門の中では最初の8品(第十五〜第二十二)を八品と呼び重視する派がある。中でも第16章である如来寿量品第十六が法華経の真髄であるとされるが、この章では肉体は滅しても魂は永遠に滅することは無いということが示されている。



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