LAPB
読み:ラップ-ビー
外語:LAPB: Link Access Procedure, Balanced

 平衡型リンクアクセス手順。X.25や、ISDNのBチャネル用データリンク層(レイヤー2)プロトコル
目次

概要
 X.25パケット交換網などで使用される、伝送手順制御プロトコルである。
 LAPBはポイント・ポイント型のプロトコルである。端末(DTE)と回線終端装置(DCE)間のデータ伝送を制御するため、HDLC手順のサブセット(下位互換)として作られた。

特徴

HDLC
 X.25のデータリンク層(X.25リンクレベル)はHDLC-BA(平衡型非同期平衡モードクラス)を基本とし、DTE‐DCEインターフェイス上の伝送制御手順を規定しており、この手順をLAPB(平衡型リンクアクセス手順)と呼ぶ。
 全ての制御はフレームで行なわれるため、X.25仕様としては「X.25 Frame Protocol」とも呼ばれる。
 基本となるHDLC-BAにREJ(Reject)フレームを追加し、Iフレームをコマンドフレームとしてのみ使用する。またアドレス拡張形式として、モジュロ8に加えてモジュロ128(フレーム番号を0から127まで順次付加する)が採用可能である。

フレームの構造
 リンクレベルのフレームフォーマットは次の通り。C/制御の内容はモジュロ8の例。
  1. F/フラグ (1オクテット)
  2. A/アドレス (1オクテット)
  3. C/制御 (1オクテット/モジュロ8、2オクテット/モジュロ128)
  4. SDU/Service Data Unit (X.25パケットレベルのパケット。最大4099オクテット)
  5. FCS (2オクテット)
  6. F/フラグ (1オクテット)
 つまり、データリンクレベルは、HDLCそのものである。
 1984(昭和59)年版X.25では、複数の物理回線で一つのDTEアドレスを使用するMLP(Multi Link Procedure)手順がオプションとして規定されている。

フレームフォーマット
 制御フィールドCにより、フレームフォーマットは3種類に分類される。
 パケットデータの転送は、情報Iフレームで行なう。X.25では、パケットレベルの情報はIフレームのみで行なわれるよう規定している。

基本(モジュロ8)動作
 LAPBは、LAPDとは異なりモジュロ8とモジュロ128に対応し、かつモジュロ8を基本とする。
フォーマットアドレス符号
コマンドレスポンス87654321
情報転送(I)INFO(情報) N(R)PN(S)0
監視(S)RR(受信可)N(R)P/F0001
RNR(受信不可)N(R)P/F0101
REJ(リジェクト)N(R)P/F1001
非番号制(U)SABM(モード設定) 001P1111
DISC(切断) 010P0011
 DM(切断モード)000F1111
 UA(非番号制確認)011F0011
 FRMR(フレームリジェクト)100F0111

拡張(モジュロ128)動作
 LAPDの場合はモジュロ128しかないが、LAPBでは拡張の扱いである。このため、未対応の実装も存在する。
フォーマットアドレス符号1符号2
コマンドレスポンス876543218〜21
情報転送(I)INFO(情報) N(S)0N(R)P
監視(S)RR(受信可)00000001N(R)P/F
RNR(受信不可)00000101N(R)P/F
REJ(リジェクト)00001001N(R)P/F
非番号制(U)SABME(モード設定) 011P1111 
DISC(切断) 010P0011
 DM(切断モード)000F1111
 UA(非番号制確認)011F0011
 FRMR(フレームリジェクト)100F0111

動作
 P/F、N(S)、N(R)などの動作は、HDLC手順と同じ。
 リンクの設定は、SABMフレーム(モジュラス8)またはSABMEフレーム(モジュラス128)を、DTEかDCEが送信することで開始される。

アドレス
 LAPBはHDLCであるため、HDLCのヘッダーを持ち、このヘッダー中には当然のようにアドレスが含まれている。
 しかし、LAPBはポイント・ポイントの接続であるため、LAPFLAPDとは違い、アドレスは殆ど存在意義が無い。
 アドレス部のE/A欄は常に1で、つまり常に1オクテットである。そして、そのオクテットが3ならアドレスA、1ならアドレスBとなる。その値は、実質的にLAPDでSAPI=0とし、C/Rのみを有効にした状態と同様である。
 現実には1ビットあれば事足りるものであり、実は無くても困らない。

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