ITU-T X.25
読み:アイティーユーティー-エックス-にじゅうご
外語:ITU-T X.25
ITU-T
(当時は
CCITT
)が勧告した、公衆パケット網での終端装置(
DCE
)と端末(
DTE
)とを接続するインターフェイス規格。
OSI参照モデル
における
物理層
・
データリンク層
(LAPB)・
ネットワーク層
(PLP)が、それぞれ規定されている。
目次
概要
特徴
物理層
データリンク層
ネットワーク層
PLP
モジュロ8の場合
モジュロ128の場合
通信方式
パケット
パケットの種類
DTE→DCE
DCE→DTE
概要
1960年代に考案された
パケット交換
の概念が、1970(昭和45)年頃に
ARPANET
で実現された後、1976(昭和51)年および1980(昭和55)年の
CCITT
(現
ITU-T
)の総会でX.25勧告が承認され、パケット交換の標準の骨格が作成された。
その後、
ISDN
の登場などに合わせ数回の修正および関連勧告の制定が行なわれた。
X.25は主として低速系のパケットデータを運ぶのに使われている。関連するネットワークでは、加入電話網は音声を伝送し、
ATM
や
フレームリレー
は高速系のデータ伝送を対象としている。
特徴
物理層
X.25の物理層(X.25物理レベル)では、次のようなものが使われる。
ITU-T V.24
ITU-T V.35
ITU-T X.21
(同期ディジタルインターフェイス)
ITU-T X.21bis
(同期アナログインターフェイス)
データリンク層
X.25のデータリンク層(X.25リンクレベル)は、HDLC-BA(平衡型非同期平衡モードクラス)を基本とし、DTE‐DCEインターフェイス上の伝送制御手順を規定しており、この手順を
LAPB
(平衡型リンクアクセス手順)と呼ぶ。
X.25の仕様としてはレイヤー1〜3までを含むが、レイヤー3と
レイヤー2
は実質的に別のプロトコルだとも言えるので、レイヤー3をX.25、レイヤー2をLAPB、のように呼び分けることもある。
なお、
T1
などでフレームリレーを用いている場合、レイヤー2は
LAPF
の上に
LAPB
が乗る構造となる。
ネットワーク層
PLP
X.25ネットワーク層(X.25パケットレベル)は、PLP(Packet Level Protocol)とも呼ばれ、一般に「X.25プロトコル」と言った場合は、このネットワーク層を指す。また、X.25によるパケット交換網を「X.25ネットワーク」という。
呼
接続制御手順・データ転送手順・リスタート手順等についてDTE(端末)/DCE(回線終端装置)間のインターフェイスを規定する。
パケットヘッダーは、モジュロ8とモジュロ128の二種類がある。
モジュロ8の場合
パケットヘッダーは3オクテットであり、基本的な形式は次の通りである。
GFI/LCGN
GFI
(4ビット、ビット8〜5) ゼネラルフォーマット識別子
LCGN
(4ビット、ビット4〜1) 論理チャネルグループ番号
LCN
(8ビット、ビット8〜1) 論理チャネル番号
パケットタイプ
T (1ビット、ビット1) パケットタイプ識別子、呼制御(1)とデータ(0)の区別
P(S) (3ビット、ビット4〜2) 送信順序番号
M (1ビット、ビット5) モアビット
P(R) (3ビット、ビット8〜6) 受信順序番号
I (不定長) ユーザーデータフィールド
呼制御(1)の場合は形式が異なり、パケットタイプのビット8〜2は制御の種類を表わす。
モジュロ128の場合
パケットヘッダーは4オクテットであり、形式は次の通りである。
GFI/LCGN
GFI
(4ビット、ビット8〜5) ゼネラルフォーマット識別子
LCGN
(4ビット、ビット4〜1) 論理チャネルグループ番号
LCN
(8ビット、ビット8〜1) 論理チャネル番号
パケットタイプ1
T (1ビット、ビット1) パケットタイプ識別子、呼制御(1)とデータ(0)の区別
P(S) (7ビット、ビット8〜2) 送信順序番号
パケットタイプ2
M (1ビット、ビット1) モアビット
P(R) (7ビット、ビット8〜2) 受信順序番号
I (不定長) ユーザーデータフィールド
通信方式
ルーティング
方式としてバーチャルコール方式が定められており、通信の開始時に経路を設定し、以降のパケットは同じ経路で送信される。
一物理回線上に複数の経路(論理チャネル)が設定できるが、経路の設定は接続時だけであり、伝送ごとに最適な経路を選択するデータグラム方式(
IPネットワーク
などで使われる)は利用できない。
なお、バーチャルコールの呼/解放手順を省略する
PVC
(Permanent Virtual Circuit)という通信形態が規定されており、これを用いると、あらかじめエンド-エンド間の経路を設定しておいて端末の電源投入時点でデータ送受信が可能になる。これに対し、通信開始時に相手を指定して接続する方式を
SVC
(Switched Virtual Circuit)と呼ぶ。
パケット
各パケットはIフレームの情報フィールドに入れて転送され、パケットとフレームは1対1で対応する。
このため
CRC
で検出できるエラーは全てフレームレベルで訂正できるので、高品質な伝送が可能となっている。
パケットの種類
X.25のパケットの種類は次の通りである。
併記した16進は、モジュロ8時にパケットタイプ欄に入れるオクテットの例。但し、DTはP(R)、M、P(S)が有効、RRとRNRはP(R)が有効となる。
DTE→DCE
通信
DT
(data) 0x00 データ
フロー制御
RR
(receive ready) 0x01 受信可
RNR
(receive not ready) 0x05 受信不可
呼設定
CR(call request) 0x0b 発呼要求
CA(call accept) 0x0f 着呼受付
呼開放
CQ
(clear request) 0x13 復旧要求
CF(clear confirmation) 0x17 切断確認
リセット
RQ
(reset request) 0x1b リセット要求
RF(reset confirmation) 0x1f リセット確認
割り込み
IT(interrupt) 0x23 割り込み
IF(interrupt confirmation) 0x27 割り込み確認
リスタート
SQ(restart request) 0xfb リスタート要求
SF(restart confirmation) 0xff リスタート確認
DCE→DTE
通信
DT
(data) 0x00 データ
フロー制御
RR
(receive ready) 0x01 受信可
RNR
(receive not ready) 0x05 受信不可
呼設定
CN(incoming call) 0x0b 着呼
CC(call connected) 0x0f 接続完了
呼開放
CI(clear indication) 0x13 切断指示
CF(clear confirmation) 0x17 復旧確認
リセット
RI(reset indication) 0x1b リセット指示
RF(reset confirmation) 0x1f リセット確認
割り込み
IT(interrupt) 0x23 割り込み
IF(interrupt confirmation) 0x27 割り込み確認
リスタート
SI(restart indication) 0xfb リスタート指示
SF(restart confirmation) 0xff リスタート確認
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