ISDN
読み:アイエスディーエン
外語:ISDN: Integrated Services Digital Network

 総合サービスディジタル網。1972(昭和47)年に第5回CCITT(現ITU-T)で規定されたディジタルの通信網で、データ通信電話などを中心に普及した。
目次

概要
 一般のISDNは「N-ISDN」といい、上位に「B-ISDN」がある。
 日本でNTTが提供しているISDNの商品名はINSという。1988(昭和63)年4月19日よりサービスが開始されたNTTの商品「INSネット」は、通信速度に応じて「INSネット64」と「INSネット1500」に分けられ、そしてDチャネルを使った通信「INS-P」が存在する。
 主なサービス一覧

特徴

普及期
 2B+DのINSネット64は、1契約で2回線分利用できたため、企業では電話加入権の費用を節約するために導入することが多かった。より規模の大きな企業になるとINSネット1500を引くところもあった。
 個人でも、電話とネットを同時併用したい、子供の長電話で家電占有されて困る(当時は携帯電話機がなかったため)、といった場合に使われることもあった。
 かつて、パソコン通信やインターネットを利用するために、少しでも速く安くするためINSテレホーダイを使うことも多かった。テレホーダイが始まる夜23時以降は回線速度が遅くなったりISPが混雑して繋がらなかったりといった現象が発生し、テレホタイムと呼ばれた。
 電話回線を追加しなくても、簡単な工事で2回線に増えるのは便利であり、データ通信用としても、TAのアナログポートにモデムを差して使うことも少なくなかった。

業務利用
 当時、テレビCMで流れた「ロクヨンロクヨンイチニッパ」から家庭用がメインと思い込まれたふしもあるが、本来INSネット64は業務用サービスをカットダウンしたようなものである。
 束ねれば帯域を太くできるため、メトロイーサネットなどがまだ無かった頃は、拠点間通信で重宝されていた。またINSネット1500(23B+D)は最大23回線で同時に通話や通信が使えるため、カスタマコネクトが登場する前はコールセンターなどで使われていた。
 そのほかには、ブラザー(のちに子会社のエクシング)のソフトベンダー武尊(のちにTAKERU)が用いていたり、また通信カラオケでも広く使われていた。
 セコムのような警備会社も、自動警備の回線でISDNを使っていた。
 現在のようにインターネット回線が広く普及している時代になっても、拠点間やデータセンタでは、非常時のバックアップ回線としてISDNが使われている例は多いとされている。

ダイヤルイン
 ダイヤルインとして、子番号を複数持てる利点があった。それぞれの番号を別々の通信機器に割り当てることで、着信時に通信機器の使い分けが可能だった。ただし、番号を増やすのは当然有料である。
 親番号に掛かってきた電話は代表扱いで、原則として子番号も含めた全ての電話の呼び出しとなる。そこでTAメーカーは、親番号と子番号で別々に扱えるような機能を作った。
 これが、グローバル着信機能である。

利点
 一般家庭用としても、ISDNはi・ナンバーで、電話番号を安く複数持てるようになったのも便利だった。これを使えば、ISDN一本で、次のようなネットワークを組むこともかのうだった。
 しかしこういった使われ方も、やがてADSLVPNの登場で需要が激減した。

技術

回線種別
 ISDNの回線種別には、略号ABCDを用い、一般にはBとDが用いられる。
 音声をBチャネル、呼び出し信号(電話が掛かった事を知らせる合図)をDチャネルで送信するのが通常だが、米国の一部の電話会社はBチャネルで呼び出し信号を送信している事がある。この場合、信号用の帯域を確保するために、実際のデータ通信速度が若干制限される。

規定点
 ISDNは加入者の宅内配線を基本インターフェイス(BRI)と呼ぶ。
 
 一般的な家庭では、NTTから引かれてきた回線はDSUに接続され、これがTAにつながり、更に電話機に繋がる構成を取る。

廃止
 NTT地域会社は電話網のIP化を進めており、ISDNは2025(令和7)年迄に段階的に廃止する予定である。
 2020(令和2)年以降はコアネットワークの既存PSTN網からIP網への移行が進められる計画で、完全な移行完了が2025(令和7)年頃になる見通しとされている。このため、既存のISDN利用者は、光回線サービスへの移行が促されることになる。
 IP網への移行後も、ISDNの通話モードは従来通り利用可能とされている。

再検索