地上デジタルテレビジョン放送
読み:ちじょう-デジタルテレビジョンほうそう

 地上波で行なうディジタルテレビジョン放送のこと。略称「地デジ」。
目次

概要
 日本では、2003(平成15)年12月1日11:00(@124)から、まず東京、名古屋、大阪の三大都市で開始された。
 提供エリアは順次拡大し、2006(平成18)年度には全県庁所在地に展開、2008(平成20)年には約93%の世帯が視聴可能となった。
 そして全国に展開を完了した2011(平成23)年7月24日に、アナログテレビジョン放送は終了された。
 ただし、東日本大震災の影響を受けた岩手、宮城、福島の東北3県については、2011(平成23)年6月8日、参議院で電波法の特例法が可決したことを受けて最大で1年間延期することが決定し、7月13日の電波監理審議会の答申により、東北3県のアナログ放送用周波数の使用期限が2012(平成24)年3月31日まで延長された。

特徴

計画
 当初、2004(平成16)年にディジタルテレビジョン放送に完全移行されるはずだったが、2011(平成23)年にまで延期された。
 しかし当の視聴者が地デジに必要性をなかなか見いださず、テレビやチューナーの普及が遅れた。
 放送局側の設備の更新は進んだが、視聴者側の買い替えは遅々として進まず、そのままアナログは打ち切りとなった。終了の前日には、それまで数千円だった安物チューナーが数万円で飛ぶように売れるなどの珍現象も生じた。

沿革

技術

チャンネル
 電波の周波数は、テレビUHF帯の13〜52チャンネル(470〜710MHz)までを使う。これを、1〜12まであるテレビ受信機のチャンネルに割り当てるが、この番号をリモコン番号という。
 放送周波数は地域ごとに異なるが、リモコン番号は地域ごとに概ね同じになるように考慮されている。
 ただし、この周波数帯はかつての地上アナログ放送でも使用していたため、当初予定していたチャンネルが使用できなかった地域では、暫定的に53〜62チャンネルの周波数(710〜770MHz)を含めた他のチャンネルに割り当てた。
 このため、当該地域においては、アナログ放送終了後、周波数変更(リパック)を順次行なう必要がある。

セグメント
 1チャンネルの周波数帯域は従来と同様に約6MHzあり、この帯域幅を13分割したものをセグメントという。
 日本方式では1チャンネルを最大3つに分割して利用できるため、例えば4セグメント使い3つのテレビ放送をし、その他に、余った1セグメントを携帯電話向けの放送(ワンセグ)に使う、といったことが可能。

圧縮形式
 ISDBという放送形式と、映像の圧縮形式は異なる概念である。原理的には、どのような圧縮形式でも利用できる。
 現在日本では、地上デジタルテレビジョン放送にはMPEG-2を用いた日本独自のISDB-T方式を採用した。MPEG-2は規格制定当時としてはほぼ唯一の選択肢ではあったが、実際に導入する頃には陳腐化していた。
 日本と同じISDBを採用したブラジル連邦共和国では、圧縮形式に、より高画質なITU-T H.264(MPEG-4 AVC)を採用した。

移行期
 アナログ→地デジの移行期つまりディジタル放送普及期にはアナログ放送と同じ番組を並行して流している(ことが多い)。
 この放送形態をサイマルキャストという。

利点と欠点
 ディジタル放送の、アナログ放送に対するアドバンテージとしては、高音質放送、高画質放送、多番組放送、データ放送、などがあるとアナウンスされている。
 周波数帯域の制限から高画質放送と多番組放送は同時にはできず、高画質(HDTV)番組を1番組か、または標準品位(SDTV)番組を最大3番組まで、1チャンネルで放送できる。
 その他のディジタル放送化による特徴として、次のようなものがある。
 視聴者にとっての最大・最終的な利点は、「テレビと手が切れる」こととも考えられている。但し本当にそれでいいのかは不明である。

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