住民基本台帳ネットワーク
読み:じゅうみん-きほんだいちょう-ネットワーク

 自治体同士をネットワークで結び、住民基本台帳を参照可能とするネットワークシステムのこと。通称、略称は「住基ネット」。
目次

概要

機構
 市区町村と都道府県、ならびに情報処理を実施する団法人地方自治情報センターを、仮想専用線(IP-VPN)で結ぶネットワークシステムである。
 データベースでは、キーとして一意の番号が必要になるため、このシステムでは国民全員に11桁の住民票コードが振られた。
 かくして、自治体や政府機関が必要に応じて個人情報を利用できるようになる。

ネットワーク
 使用されるネットワーク回線は専用線であり、いわゆるインターネットには接続されていないことになっている。
 これは、電子政府や電子自治体を目指すための「e-Japan戦略」に基づいた重要なシステムであり、2002(平成14)年8月5日から1次稼動が開始された。
 どの段階までかは不明だが、日本経済新聞によると、発注者は総務省、受注企業は富士通NECNTTデータNTTコムで、金額は320億円だとされている。

特徴

住民票
 日本の場合、国民一人一人の身元がはっきりしている。戸籍や住民票などが完備されているからである。
 このため、例えば日本国旅券の力は強い。対テロのため入国審査が厳しくなっている現状にあっても、日本の旅券さえあれば、査証なしで入国できる国が多い。つまり、日本人はすいすいと国境を越えて旅することができる。
 この日本のシステムを相互に結び、更に機能的にするのが住民基本台帳ネットワークということになる。

利点
 このシステムが実運用に入れば、住民票コードと身分証明(運転免許証や健康保険証)があれば、住民登録状況が住基ネットで確認可能である。つまり、役所事務で必須だった住民票が不要になる。
 旅券の発給などでも、住民票コードの控えか住民基本台帳カードがあれば、住民票の写しは不要である。
 但し、現時点では「戸籍」は別のデータベースであるため、これが必要な場合は、住基ネットだけでは処理できない。

不現住のあぶり出し
 例えば高知県高知市では、住基ネットによって住民票に記された住所に住んでいない住所不明者、いわゆる「不現住」が約2,300人もあぶり出されている。
 こういった偽りの住民登録は犯罪に利用されるため、出来るだけ減らして行かねばならない。ネットワークに接続されれば、こういった不正も比較的容易にあぶり出せる。

情報のバックアップ
 ネットワーク化される以前は、住民基本台帳のデータは、その自治体が一元管理し、その自治体のみが持っていた。
 自治体が無事でさえあれば、それでも問題が出ることは無いのだが、しかしその前提が平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって崩されてしまった。未曾有の大津波によって、住民のデータがすべて流され失われてしまった自治体が発生した。何人が津波に流されたのかすら分からなくなった。
 住基ネットは現時点では、氏名、生年月日、性別、住所の個人情報のみだが、それだけでも他の自治体と共有されてさえいれば、このような緊急時にも活用が可能である。
 さらに、戸籍情報をすべて紛失した自治体もあるが、将来的に戸籍とも統合されれば、あらゆる未曾有の災害にも強い自治体となり、地方自治を進める上でも強力なツールとなると見込まれている。

起動まで

システムの立ち上がり
 運用には慎重が期され、まず、氏名・住所・性別・生年月日の4つの基本情報と住民票コードという簡単な情報のみから実運用が開始された。
 こうして実運用で安全性を確認した上で、2003(平成15)年8月25日からは2次稼動本格サービスを開始、全国どこの市町村でも住民票の写しが入手できる、転入転出手続きの簡素化、住民基本台帳カード(ICカード)の利用できる、などが可能となった。
 将来的には、戸籍や年金などの重要なデータも格納可能にしてシステムを一貫化し、利便性の向上(=役所の窓口たらい回しを無くす)をする予定である。

セキュリティ面
 このシステムにはセキュリティが何より重要であることは疑念の余地が無い。
 実際に、安全性の確認として侵入する試験が行なわれたりもしたが、全て失敗しており、技術的面において、セキュリティの問題は無いと考えられている。
 しかし、実際に運用する役所の人たちの管理意識、セキュリティ意識の甘さが常々指摘されており、コンピューターシステム以前に、人的な問題から情報漏洩の危険性は考えられている。
 実際に、北海道オホーツク総合振興局管内斜里郡斜里町では、私用PCに業務情報を保存して自宅に持ち帰り、Winnyで個人情報を漏らした事件がある。住基ネットへの接続パスワードも流出したが、これは古いパスワードで、その時点では使われていないものだった。こういった職員には厳罰を処す必要はあるだろう。

サヨクの動向

反発
 この住基ネットで得られる情報は、実際には電話帳や名簿屋の情報でいつでも得られる程度のものである。
 しかしセキュリティ意識の高い人、役所を信用していない人は当然として、サヨクも猛反発した。

サヨク団体
 不現住のあぶり出しや、引っ越しの検出等が容易になってしまうと、過激派は非常に活動しづらい。そのため、これを恐れ、猛反発した。
 サヨク系マスメディアや、革新派政治家、プロ市民、在日朝鮮人などからの反対が出て、首相官邸や総務省に散弾銃の銃弾を送りつけるようなテロリストが出現したのである。
 しかし、現実に住基ネットで不利益を被るのは「銃弾で脅迫するような人たち」だけであって、大部分の市民は利便性が良くなると考えられる。
 なお、名古屋や和歌山など全国各地でプロ市民が裁判に訴えたが、全てが退けられている。

自治体
 実際にシステムの仮運用が始まった2002(平成14)年7月22日、福島県東白川郡矢祭町が全国自治体で初めて住基ネットへの非接続を宣言、これに三重県度会郡小俣町(現・伊勢市)、三重県度会郡二見町(現・伊勢市)、東京都杉並区、東京都国分寺市が続いた。どこも、サヨクが強い土地である。
 また同年8月2日には横浜市が登録非登録の選択制をとることを発表した。
 都合、計7自治体が住基ネットへの接続を全面的または部分的に拒否することになった。
 各自治体の対応は、次の通りである。

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