X Window System
読み:エックスウィンドウシステム
外語:X Window System

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)により開発されたウィンドウシステム。
 名称は正式には単に一文字「X」であるが、それでは余りにも何なので、様々な二つ名がある。Window Systemを後に付けて呼んだりすることが多い。以下ではXと呼ぶ。
目次

概要
 Xは、UNIX用として初のGUIというわけでもないが、今では最も一般的なものである。

名前の由来
 なぜ「X」かというと、かつて、Windowの頭文字を取り「W」というウィンドウシステムが存在した。その開発チームがそれの改良版として開発を始めたことから、Wの次の文字であるXとした、といわれている。
 Xは、単に「X」の他、前述のように「X Window System」、またはバージョン番号を付けて「X11」、その他様々な呼ばれ方をする。
 なお、Xのことを「X Windows」と呼ぶと気を悪くする人がいるため、避けねばならない。

機能
 Xは、基本的にGUIを提供するだけの機能しか持たず、オペレーティングシステムシェルとしての機能はない。
 OSとしての機能がないので、Microsoft Windows 3.xのように、他のOS上から起動される形で使用する。
 シェルを利用するためにはxtermやktermなどの端末ソフトウェアを使用し、その上でシェルを利用するのが一般的である。

特徴

クライアント/サーバーモデル
 単なるGUIというわけでも無いのがXの特徴で、Xプロトコルと呼ばれるプロトコルを用いてプログラム間で通信を行なう、クライアント/サーバー型のシステムとして機能する。
 Xでは、モニターとキーボードのついたマシンを「Xサーバー」といい、ウィンドウを使って動作するアプリケーションを「Xクライアント」という。例えば画面描画の機能などがサーバーであり、クライアントはサーバーに対して描画の要求を出したり、サーバーからの命令を受けて処理をする。
 更に、Xクライアントはネットワークに接続されてさえいれば全く別の場所にあってもよく、これがWindowsなどの他のGUIシステムと大きく趣を異にする点である。一般的なUNIXデスクトップ環境ではXサーバー、Xクライアントともに同じマシン上に置かれるが、非力なマシンではXサーバーのみを動かしネットワーク越しにある強力なマシンをXクライアントにしても良い。加えて、XサーバーとXクライアントを同じOSで動かす必要すらもない。XサーバーはWindowsやMac OSで動かすこともできる。
 普通のクライアントサーバーの場合はユーザーから近い方がクライアント、遠い方がサーバーだが、このようにXの場合はユーザーに近い方(キーボードやマウス)がサーバーで、ユーザーから遠い方(Xアプリケーション)がクライアントというのがややこしい点である。

画面描画
 例えば画面描画の機能などがサーバーであり、クライアントはサーバーに対して描画の要求を出したり、サーバーからの命令を受けて処理をする。
 更に、クライアントはネットワークに接続されてさえいれば全く別の場所にあってもよく、これがWindowsなどの他のGUIシステムと大きく趣を異にする点である。

UIの統一は存在しない
 XはGUIの環境を提供するが、GUIのルック&フィール(つまりGUIの方針、ポリシー)はXの機能としては提供しない。
 GUIのルック&フィールはXサーバー上で動作するXクライアントウィンドウマネージャー」で提供され、利用者が自由に選べる。代表的なものに、フリーではtwm、fvwm、kwm、enlightment、商用のCDE、mwmなどがある。
 Windowsの場合、動作中のアプリケーションを問わずAlt+Tabでウィンドウを変更したりできるが、Xではこれは関与せず、全てウィンドウマネージャーやアプリケーションに任せている。
 ウィンドウマネージャーでUIが変更できるということはつまり、画面、マウスやキー操作などUIの全てはユーザーが自由に決定できる/しなければならないということであり、統一的な操作体系というものが無いことを意味する。

機構

Xの構成
 Xは、次のような構成になっている。
 Xの実装の一つX.Orgなどをインストールすれば、これらはコンポーネントとして基本的なものが一式が含まれており、(その標準状態が実用的かどうかはともかく)X Window Systemは起動し、動作する。

統合デスクトップ環境
 統合デスクトップ環境は、ディスプレイマネージャー、ウィンドウマネージャー、アプリケーション、そしてメニューやパネルなどのルック&フィールを統一的なデザインで提供するパッケージである。
 代表的なものは、GNOMEKDEである。
 通常は、X自体のインストール後、この統合デスクトップ環境をインストールして日常のデスクトップ環境を作ることになる。

Xクライアント
 Xで動くグラフィカルなアプリケーションがXクライアントである。

Xサーバー
 キーボード、マウス、ビデオカード、モニターなどのハードウェア制御をおこなう。
 キーボードやマウスからの入力をXクライアントへ送り、Xクライアントからのリクエストにより画面表示を実施する。

実装
 パソコン用の実装は、次の二系統がある。
 XFree86は長くPC用のXとして使われてきたが、XFree86 4.4.0より旧BSDライセンスと同様のライセンスに変更された。
 これに反発したLinuxグループにより、ライセンス変更直前のXFree86 4.4RC2をベースに開発されたのがX.Orgである。Linuxではもちろん、現在ではFreeBSDでもX.Orgが使われている。

沿革

騒動と分裂
 XはMITで産まれた後、着々と改良とバージョンアップを重ね、1987(昭和62)年に遂にバージョン11に至る。これをX11という。
 1988(昭和63)年には内部組織としてMIT X Consortiumが設立され、以降開発を担当した。
 1992(平成4)年にMITから独立した外部組織X Consortiumが作られ、1994(平成6)年1月1日に全権利がX Consortiumに委譲された。
 1996(平成8)年には全権利がOpen Software Foundation(OSF)に移譲される。同年にOSFはX/Openと合併してTOG(The Open Group)を設立し、X Consortiumは1997(平成9)年1月1日に解散しTOGに吸収されて一作業部会となった。
 ここでX11R6.4が登場するが、この時のライセンス条項の変更により大騒ぎとなる。翌年になり元のライセンスで配布されることとなり、無事に騒動が収まった。
 1999(平成11)年になり下部組織として旧X.Orgが設立された。現在Xは、2004(平成16)年1月に旧X.Orgから生まれ変わったThe X.Org Foundationにより、オープンソーススタイルで開発が続けられている。

本家の沿革

変遷
 年月についてはソースによって大幅に内容が異なるが、その中から、最も信憑性が高いと考えられるものを採用した。
 Xは米国が開発していることから、日付は原則として米国時間である。
 本家は、次の変遷を遂げている。
  1. MIT Athenaプロジェクト
  2. MIT X Consortium
  3. X Consortium
  4. The Open Group
  5. 旧X.Org
  6. The X.Org Foundation

MIT Athenaプロジェクト

MIT X Consortium

X Consortium

The Open Group

旧X.Org

The X.Org Foundation
 今後の予定

XFree86の沿革

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