FreeBSD 4.8をベースとしたオープンソース系BSDの一つ。DragonFlyはトンボ(蜻蛉)の意。
2003(平成15)年に、Matthew Dillonが中心となり、FreeBSD 4.xから分岐して開発が開始された。
FreeBSDと違う方針なのはもちろん、Linuxはじめ他のオペレーティングシステム(OS)とも違う、独自の道を歩んでいる。
アプリケーションソフトのインストールには、当初はFreeBSDと同じportsが使われていたが、後にNetBSDから移植されたpkgsrcが採用されている。
開始から2007(平成19)年までは、カーネルの書き換え、特にファイルシステムAPIとカーネルコアの書き換えに注力された。
次に着手されたのが、ZFSに類似したファイルシステムであるHAMMERファイルシステムの開発である。HAMMERは、現在のDragonFly BSDを特徴づける存在である。
DragonFlyはFreeBSD 4.8から派生した。
これは、FreeBSD 5で採用されたマルチプロセッサー対応とは異なるアプローチでのマルチプロセッサー対応を目指したためである。このためのカーネルなどの改良が続けられている。
DragonFly BSDにおけるマルチプロセッサー対応は、CPUのキャッシュの存在を強く意識したものとなっている。一つのスレッドと一つのCPUコアを強く結びつけることでCPUコア間を無造作に移動することを避け、もってキャッシュヒット率を高めたスレッド処理を実現するよう設計されている。
他のBSDがGPLv3拒絶姿勢を示しながらGPLv2のGCC 4.2.1を維持しつつclang/LLVM開発に注力した中で、DragonFly BSDはGPLv3の新しいGCCを採用した。DragonFly BSD 2.10からGCC 4.4が、DragonFly BSD 3.4からはGCC 4.7が採用されていた。
clang/LLVMは、実用化されたのみならず性能でもGCCを軽々と追い抜いたことから、DragonFly BSDでも、DragonFly BSD 3.8からはclang/LLVMに移行することが発表されている。
- DragonFly BSD 1 ‐ 初版
- DragonFly BSD 2.0 ‐ ファイルシステムHAMMER採用
- DragonFly BSD 2.2 ‐ CD ISO/DVD ISO/USB key image
- DragonFly BSD 2.4 ‐ devfs、x86-64
- DragonFly BSD 2.6 ‐ swapcache、tmpfs
- DragonFly BSD 2.8 ‐ 新Wi-Fiスタック、PFの更新、MPロックの廃止
- DragonFly BSD 2.10 ‐ ジャイアントロックの大幅な除去、パフォーマンスの向上
- DragonFly BSD 3.0 ‐ マルチプロセッサ対応カーネルをデフォルトとした
- DragonFly BSD 3.2 ‐ FreeBSDからUSB 3.0スタックUSB4BSDを移植、NetBSDからpuffsを移植
- DragonFly BSD 3.4 ‐ 新しいパッケージマネージャーの dports を導入
- DragonFly BSD 3.6 ‐ SMP競合の低減改良
原則としてstable releaseのみを記載。日付は主として現地時間(PSTまたはPDT)。
- DragonFly BSD 3.6.2 (2014(平成26)年4月9日)
- DragonFly BSD 3.6.1 (2014(平成26)年2月21日)
- DragonFly BSD 3.6.0 (2013(平成25)年11月25日)
- DragonFly BSD 3.4.3 (2013(平成25)年8月26日)
- DragonFly BSD 3.4.2 (2013(平成25)年5月27日)
- DragonFly BSD 3.4.1 (2013(平成25)年4月29日)
- DragonFly BSD 3.2.2 (2012(平成24)年12月16日)
- DragonFly BSD 3.2.1 (2012(平成24)年11月2日)
- DragonFly BSD 3.0.2 (2012(平成24)年3月26日)
- DragonFly BSD 3.0.1 (2012(平成24)年2月22日)
- DragonFly BSD 2.10.1 (2011(平成23)年4月26日)
- DragonFly BSD 2.8.2 (2010(平成22)年10月30日)
- DragonFly BSD 2.6.3 (2010(平成22)年5月7日)
- DragonFly BSD 2.6.1 (2010(平成22)年4月6日)
- DragonFly BSD 2.4.1 (2009(平成21)年10月1日)
- DragonFly BSD 2.4.0 (2009(平成21)年9月16日)
- DragonFly BSD 2.2.0 (2009(平成21)年2月17日)
- DragonFly BSD 2.0.0 (2008(平成20)年7月21日)
- DragonFly BSD 1.12.0 (2008(平成20)年2月26日)
- DragonFly BSD 1.10.0 (2007(平成19)年8月6日)
- DragonFly BSD 1.8.0 (2007(平成19)年1月30日)
- DragonFly BSD 1.6.0 (2006(平成18)年7月24日)
- DragonFly BSD 1.4.0 (2006(平成18)年1月8日)
- DragonFly BSD 1.2.0 (2005(平成17)年4月8日)
- DragonFly BSD 1.0 (2004(平成16)年7月12日)
- DragonFly BSD 1.0RC1 (2004(平成16)年6月29日)
日付は、原則としてアナウンスを発した現地時間における、アナウンス発表日である。
DragonFly BSD 2
DragonFly BSD 2.4.0 (2009(平成21)年9月16日)
- 64ビットに対応
- 提供媒体はDVD ISOイメージ、CD ISOイメージ、USBディスクキーイメージ
- デバイスファイルシステムを静的な/devディレクトリから動的なデバイスファイルシステム「devfs」に変更
- HAMMERファイルシステムのバグ修正、性能強化
- MTA「DragonFly Mail Agent」の改良
- AHCIドライバーへのネイティブ対応
- OpenSSH、OpenSSL、GCCの更新
DragonFly BSD 2.2.0 (2009(平成21)年2月17日)
- 提供媒体にDVD ISOイメージを追加(X環境がフルで利用可能)
- HAMMERファイルシステムの改良
- 7,300以上のプリビルトpkgsrcパッケージを収録
- AMD64に対応
- RFC 3542(IPv6用ソケットプログラミングAPI)対応
- ループバックインターフェイスにハードウェアチェックサムサポートを追加
- ACPIサポートの強化(Lenovo/ASUS対応、acpi_video(4)追加など)
DragonFly BSD 2.0.0 (2008(平成20)年7月21日)
DragonFly BSD 1
DragonFly BSD 1.10.0 (2007(平成19)年8月6日)
- デフォルトのATAドライバーをFreeBSDから移植したNATAに変更
- libthread_xuを利用したライトウェイトプロセスの実装が完了(ただしデフォルトのスレッドライブラリはlibc_r)
- ワイアレスネットワークドライバーの改善
- 様々なUSBドライバー、PCIドライバーを追加
- GCC 4.1.2の統合
DragonFly BSD 1.8.0 (2009(平成21)年9月16日)
- 仮想カーネルサポートの追加
- 仮想カーネルビルドターゲットの追加
- NULLFSに関する改善
- 各種アプリケーションの更新
- FreeBSD/NetBSD/OpenBSDでの各種成果物の融合
DragonFly BSD 1.6.0 (2006(平成18)年7月24日)
- リライトされたrandom number generato(乱数生成器)
- 無線LANのフレームワークの追加
DragonFly BSD 1.4.0 (2006(平成18)年1月8日)
- NTPクライアントdntpdの搭載
- NetBSDからCitrusを移植して実装
- FreeBSD/NetBSD/OpenBSDからif_bridgeを移植して実装
- FreeBSD portsを廃止し、NetBSD pkgsrcに移行
- FreeBSDに発生した各種セキュリティ問題の修正対応
- デフォルトコンパイラーをGCC 3.4に更新
- libc.so.6(glibc)への更新
DragonFly BSD 1.2.0 (2005(平成17)年4月8日)
- DragonFly BSD 1.0A以降で発見されたバグの修正と性能の改善
- 主としてネットワークサブシステムの大幅な改良
関連するリンク
http://www.dragonflybsd.org/用語の所属
BSD
UNIX
PC UNIX
関連する用語
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NetBSD
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