SN 1987A
読み:えすえぬ-いちきゅうはちなな-えー
外語:SN 1987A
1987(昭和62)年に、地球から約16万光年の距離にある
大マゼラン雲
の
タランチュラ星雲
付近に発見された
II型超新星
の一つ。
目次
情報
基本情報
観測情報
元の恒星
特徴
特性
観測
ニュートリノ
出現の観測
爆発後の観測
中性子星
情報
基本情報
座標(1950年分点)
赤経
: 05h 35m 49.942s
赤緯
: -69°17′57.60″
座標(2000年分点)
赤経: 05h 35m 28.020s (ICRS)(SIMBAD) (赤外線)
赤緯: -69°17′11.07″ (ICRS)(SIMBAD) (赤外線)
銀経
: 279.703423 (SIMBAD)
銀緯
: -31.937064 (SIMBAD)
所属
星座
: かじき座
階層:
局部超銀河団
→
局部銀河群
→
大マゼラン雲
→SN 1987A
距離:
16万光年 (よくある資料)
赤方偏移
: z=0.0009
光が届くまでの時間: 約0.12億年 (z=0.0009から計算)
実際の距離: 約0.12億光年 (z=0.0009から計算)
実視等級
(V): 2.9等(極大等級)
観測情報
種類:
II型超新星
発見: 1987(昭和62)年2月23日(UTC)
等級
青色等級
(B): 4.75等 (SIMBAD)
黄色等級
(V): 4.81等 (SIMBAD)
スペクトル分類
: SN.IIPec
色指数
B-V: (該当資料なし)
U-B: (該当資料なし)
V-R
c
: (該当資料なし)
R-I
c
: (該当資料なし)
視線速度(RV)=後退速度
270km/s(233.3km/cBeat) (SIMBAD)
みかけの後退速度: 269.69km/s(233.0km/cBeat) (z=0.0009から計算)
実際の後退速度: 269.85km/s(233.2km/cBeat) (z=0.0009から計算)
固有運動(μ)
赤経
(RA): ‐
赤緯
(Dec): ‐
元の恒星
恒星名: Sanduleak -69°202
種類:
青色超巨星
質量
: 約20
M
SUN
半径
: (該当資料なし)
光度
: (該当資料なし)
表面温度: (該当資料なし)
年齢: (該当資料なし)
特徴
特性
青色超巨星
が
II型超新星
となり、しかも
超新星残骸
として変わった形のリングを後に構成することが観測されたのは、この
超新星
が初めてである。リングが観測されたのは、SN 1987A発見の約9ヶ月後である。
超新星はそれまでも知られていたが、研究が盛んになったのはこの超新星からであり、そしてこの超新星は、その後の
ニュートリノ天文学
発展の始まりの合図ともなる星であった。
観測
ニュートリノ
最初に兆候を観測したのは日本の
カミオカンデ
で、1987(昭和62)年2月23日16:36
(JST)
(@358)のことである。
まず2秒間に9個、そして続く13秒間に3個の信号を偶然に確認した。
時を同じく、アメリカ合衆国オハイオ州のIMB検出器では6秒間に8個の信号を、またロシアのBaksanは5秒間に5個の信号を、それぞれ検出している。
出現の観測
約3時間後の1987(昭和62)年2月23日19:30
(JST)
(@479)に、大マゼラン雲が写真撮影されていた。写真には、この超新星がはっきりと映っていることが後からの調査で分かった。
SN 1987Aを最初に観測したのはチリのLas Campanas観測所で、
タランチュラ星雲
の観察をしていたトロント大学のイアン・シェルトン(Ian Shelton)であった。1987(昭和62)年2月25日08:22
(JST)
(@015)のことである。
爆発後の観測
爆発直後は、内部層で起こった
ニッケル56
からコバルト56へ、さらに鉄56へと続く核融合末期の崩壊が検出されたほか、爆発のピーク時には噴出物に酸素からカルシウムまでの元素が検出された。
理論上は、爆発後にガスが冷えると残骸中心部で酸素、炭素、窒素原子が結合して固体微粒子が作られると考えられている。実観測では、爆発から500日後の赤外線観測では微量の固体微粒子しか検出されなかったが、約27年後となる2014(平成26)年1月7日にアルマ望遠鏡を用いた観測結果が発表され、
ミリ波
と、電波の一種である
サブミリ波
を用いた観測により、この波長を強く発する冷たい固体微粒子は中心部近くに密集しており、元々周囲にあったのではなく
超新星爆発
で作られたものであることが分かったとしている。
また2012(平成24)年10月、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、天文衛星「インテグラル」を用いた1000時間以上の観測で、放射性チタン(チタン44)からの高エネルギーX線を検出することに世界で始めて成功したと発表した。このチタンは恒星の崩壊時に生成されたと推定され、その量は太陽質量の0.03%にも達するという。この放射性チタンなどが、20年以上も
超新星残骸
を光らせるエネルギー源になっているという。
中性子星
II型超新星
の場合、爆発後に中心核は
中性子星
となる。SN 1987Aも同様になると考えられているが、しかしSN 1987Aにはまだ明確に中性子星の存在は確認できていない。
中性子星の兆候が発見されたのは2014(平成26)年で、
オーストラリアの研究チームによる電波観測による
。この観測では、遠赤外線と電波で観測し、塵の放射を差し引いたところ、中性子星による強磁場で生じるパルサー風と予測される放射が残ったとされている。
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