SN 1987A
読み:えすえぬ-いちきゅうはちなな-えー
外語:SN 1987A

 1987(昭和62)年に、地球から約16万光年の距離にある大マゼラン雲タランチュラ星雲付近に発見されたII型超新星の一つ。
目次

情報

基本情報

観測情報

元の恒星

特徴

特性
 青色超巨星II型超新星となり、しかも超新星残骸として変わった形のリングを後に構成することが観測されたのは、この超新星が初めてである。リングが観測されたのは、SN 1987A発見の約9ヶ月後である。
 超新星はそれまでも知られていたが、研究が盛んになったのはこの超新星からであり、そしてこの超新星は、その後のニュートリノ天文学発展の始まりの合図ともなる星であった。

観測

ニュートリノ
 最初に兆候を観測したのは日本のカミオカンデで、1987(昭和62)年2月23日16:36(JST)(@358)のことである。
 まず2秒間に9個、そして続く13秒間に3個の信号を偶然に確認した。
 時を同じく、アメリカ合衆国オハイオ州のIMB検出器では6秒間に8個の信号を、またロシアのBaksanは5秒間に5個の信号を、それぞれ検出している。

出現の観測
 約3時間後の1987(昭和62)年2月23日19:30(JST)(@479)に、大マゼラン雲が写真撮影されていた。写真には、この超新星がはっきりと映っていることが後からの調査で分かった。
 SN 1987Aを最初に観測したのはチリのLas Campanas観測所で、タランチュラ星雲の観察をしていたトロント大学のイアン・シェルトン(Ian Shelton)であった。1987(昭和62)年2月25日08:22(JST)(@015)のことである。

爆発後の観測
 爆発直後は、内部層で起こったニッケル56からコバルト56へ、さらに鉄56へと続く核融合末期の崩壊が検出されたほか、爆発のピーク時には噴出物に酸素からカルシウムまでの元素が検出された。
 理論上は、爆発後にガスが冷えると残骸中心部で酸素、炭素、窒素原子が結合して固体微粒子が作られると考えられている。実観測では、爆発から500日後の赤外線観測では微量の固体微粒子しか検出されなかったが、約27年後となる2014(平成26)年1月7日にアルマ望遠鏡を用いた観測結果が発表され、ミリ波と、電波の一種であるサブミリ波を用いた観測により、この波長を強く発する冷たい固体微粒子は中心部近くに密集しており、元々周囲にあったのではなく超新星爆発で作られたものであることが分かったとしている。
 また2012(平成24)年10月、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、天文衛星「インテグラル」を用いた1000時間以上の観測で、放射性チタン(チタン44)からの高エネルギーX線を検出することに世界で始めて成功したと発表した。このチタンは恒星の崩壊時に生成されたと推定され、その量は太陽質量の0.03%にも達するという。この放射性チタンなどが、20年以上も超新星残骸を光らせるエネルギー源になっているという。

中性子星
 II型超新星の場合、爆発後に中心核は中性子星となる。SN 1987Aも同様になると考えられているが、しかしSN 1987Aにはまだ明確に中性子星の存在は確認できていない。
 中性子星の兆候が発見されたのは2014(平成26)年で、オーストラリアの研究チームによる電波観測による。この観測では、遠赤外線と電波で観測し、塵の放射を差し引いたところ、中性子星による強磁場で生じるパルサー風と予測される放射が残ったとされている。

再検索