Prescott
読み:プレスコット
外語:Prescott

 IntelIA-32(x86)プロセッサーのうち、Pentium 4の第三世代プロセッサーコアの開発コードネーム。Intel 64(EM64T)に初めて対応した。
目次

概要

変更点
 先代Northwoodに対し、動作電圧減少し、キャッシュ倍増、SSE3対応、Hyper-Threadingの性能向上、といった拡張が行なわれている。
 また、ステッピングE-0以降ではNXビットへの対応も行なわれた。
 命令実行パイプラインは31ステージとなり、先代Northwoodの20ステージより更に細分化された。目的は更なる高周波数を実現するためである。
 最初のモデルは、Pentium 4は3.40E/3.20E/3E/2.80E/2.80A GHz(FSB 533MHz/Hyper-Threadingなし)の5モデルである。

ALU
 Prescottでは整数演算機(ALU)「Complex Instr」が追加されている。
 この演算ユニットの追加が性能面にどう影響するかは不明である。

特徴

仕様表
項目特徴
マイクロアーキテクチャーNetBurstマイクロアーキテクチャー
コアのクロック周波数 
FSBクロック533/800MHz
最大バス帯域幅 
1次命令キャッシュ実行トレースキャッシュとしてコアに統合
1次データキャッシュ16Kiバイト、コアに統合
2次キャッシュ1Miバイト、コアに統合
製造プロセスルール90nm
ダイサイズ112mm2
集積トランジスタ数1億2500万個
動作電圧最大1.4V
 主な対応機能に、次のようなものがある。

消費電力

消費電力問題
 Prescottコアは先代Northwoodコアと比較し、大幅に消費電力が増えている。Pentium 4 2.8E GHzの熱設計電力(TDP)は89Wだが、これはNorthwoodコア最速の3.40GHzと同じである。
 この理由は、90nmプロセスルールでは予想以上にリーク電流(漏れ電流)が大きくなったためで、これにより消費電力は130nmプロセスを上まわった。
 その結果、ダイ内部の電圧制御能力では補いきれなくなり、電圧変動が規定値範囲を越えてしまう問題となった。そして消費電力増大により、CPUの電源供給ピンを流れる電流が増え過ぎ、コア内にある駆動トランジスタのスイング能力を上回ってしまった。

ステッピングB/C
 より具体的には、Pentium 4の信号はマザーボードから供給されるGTLREF信号を受け、この電圧基準電位とし0(VIL: Input Low Voltage)と1(VIH: Input High Voltage)の電圧を定めている。
 VILは最低でGTLREF×90%、VIHは最大でGTLREF×110%が既定値だが、PrescottではVIHがGTLREF×110%を越えてしまうのである。
 そこで初期のPrescottダイのステッピングBでは、GTLREFをCPU側で生成する方法を取ることにし、ダイの外に電圧生成回路を設けてパッケージに同封する方法を採用した。
 しかしFSB 800MHzでは動作しないため、400/533MHz駆動のCeleronとして出荷された。その後駆動回路を再設計したステッピングCがPentium 4として出荷されたのである。

ステッピングD
 Prescottの本格的な量産はステッピングD以降となるが、消費電力の問題自体は解決しない。
 いずれにせよFC-PGA2(Socket 478)は限界とみたIntelは、本質的な改善を目的とし、後継にLGAを採用したLGA775を使用することにした。

プラットフォーム

全ラインナップ
 PrescottコアのPentium 4は、形状や機能面で、大きく7種類に分類できる。
 また、LGA775の製品は、一部を除き「プロセッサー・ナンバー」と呼ばれる識別用番号が付けられており、A GHzだのE GHzだのといった意味の分からないものと比べると、いくらか分かりやすくなっている。以下括弧で併記する3桁の数字がプロセッサー・ナンバーである。

後継
 後継コアは、キャッシュを倍にしたPrescott 2Mである。これは、後継が予定されていたTejasの中止に伴い、その代替としてリリースされたものである。
 実質的な後継コアは、65nmにシュリンクされたCedarMillコアである。

名前の由来
 語源は地名で、アメリカ合衆国アリゾナ州プレスコット市から。

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