M87
読み:エムはちじゅうなな
外語:M87

 おとめ座方向に見られる銀河で、巨大楕円銀河である。
目次

概要

基本情報

物理的情報

観測情報

主なカタログ番号

特徴

電波銀河
 非常に強い電波を発している。「おとめ座A」と呼ばれる、おとめ座方向の電波源の正体はM87であることが分かっている。
 巨大望遠鏡を使うと銀河核から長さ5,000光年程度の宇宙ジェットが吹き出していることが確認できる、活動銀河核(AGN)である。約6000荳光年の距離があるが、明るい宇宙ジェットを伴うAGNとしては最も近いところにあることから、数多くの観測が行なわれている。
 1994(平成6)年にハッブル宇宙望遠鏡の微光天体スペクトルグラフにより中心部のガス全体が550km/s(475.2km/cBeat)もの高速度で回転していることを確認し、中心には超大質量ブラックホールがあることが確認された。

超大質量ブラックホール
 国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)による研究成果により、M87銀河核である超大質量ブラックホールは、質量は太陽質量の65億倍と確認された。
 このブラックホールの事象の地平面の大きさは約400億kmとされている。

宇宙ジェット
 NASAのX線天文衛星チャンドラでの観測により、このブラックホールからの宇宙ジェットの速度は、最大で光速の99%を上回っているとする研究成果が発表されている。この速度は、質量を持つ物質が到達できる速度としてはほぼ上限に達している。
 なお、M87の宇宙ジェットは地球方向に近い角度で噴出されている。このため、ブラックホールから近い(約900光年)距離にあるX線を放つ二つの塊は、それぞれ光速の6.3倍と2.4倍で動いているように見える「超光速運動」という現象を起こしている。

銀河衝突
 ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)による観測により、M87は過去、中規模の渦巻銀河と衝突し、飲み込んでいた痕跡が確認された。
 M87は太陽の1兆倍以上の質量を持った巨大楕円銀河だが、こういった銀河は周辺の銀河を飲み込んで大型化すると考えられてきた。
 銀河同士が衝突しても互いに混ざり合うだけなため、混ざり合ってしまってからその痕跡を探すことは非常に困難である。それでも、VLTを用いた分光観測により銀河内の惑星状星雲の動きを確認することで、M87では過去に銀河の合体が生じた痕跡が確認されたという。

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