配線用遮断器
読み:はいせんよう-しゃだんき
外語:MCCB: Molded Case Circuit Breaker

 分電盤に設置される小型の電流遮断器。分岐開閉器ともいう。略号「MCCB」または家庭用小型のものは「MCB」。安全ブレーカー。
目次

概要
 屋内のそれぞれの部屋などに繋がる回路を開閉するための遮断器である。このため配線用遮断器と呼ばれている。
 外から引き込まれた電線は、以前は必要に応じてアンペアブレーカーに繋がっていた。現在、アンペアでの契約が必要な場合でもアンペアブレーカーは使用しない。その後、主幹ブレーカー(漏電遮断器)を経由した後、各部屋に配線される前にこの小型のブレーカーに接続され、ここから各部屋のコンセントなどに繋がる。
 家屋の広さや契約に応じて様々なものがあると考えられるが、一般家庭用で一般的なものは、20アンペア(20A)で動作するブレーカー(定格20AT)で、これが複数個付けられるようになっている。付けられる数は分電盤の大きさによって差がある。

特徴

使途
 アンペアブレーカーでも過電流短絡等の切断はできるが、これだとどこかの部屋で過電流や短絡を起こしたとき、家屋全ての電流が止まってしまう。
 配線用遮断器があれば、その電気回路だけを遮断することで、他への影響が(原理的には)少なく済む。

動作時間
 過電流が生じたら即切れるわけではない。
 電気設備の技術基準の解釈の第33条 第3項に定めがあり、定格電流の1倍の電流では動作してはならず、定格電流の1.25倍および2倍の電流を一定時間通じた場合に、所定時間内に自動的に動作することが求められている。
 このようになっているのは、電動機、エアコン、白熱灯のように始動時などに大きな電流が流れる機器が存在するためで、そのたびに遮断器が切れていては不便だからである。

電圧の切り替え
 単相3線式の100Vと200Vの切り替えはここで実施する。
 2極の遮断器に対し、NとL1またはL2を繋げば100Vになり、L1とL2を繋げば200Vになる。
 100Vの配線では、L1・L2の片方に偏りが生じないように、バランスを考慮する必要がある。

種類
 色々な種類があるが、よく使われており、第二種電気工事士の筆記試験にも出題される配線用遮断器の種類はは次の3種類である。
 極(配線を繋ぐ端子)の数と、中にある過電流を検出する素子の数で分類される。
 2極1素子であれば中には素子が1つしかなく、概ね非接地側(L側)つまり黒色の電線を繋ぐ側に付いている。2極2素子なら両方に素子が付いている。100Vなら2P1Eでもいいが、200Vの場合は2本とも遮断する必要があるので2P2Eを使わなければならない。

古いもの
 古いものでは、これがスイッチ式のブレーカーではなく、ヒューズになった磁器製の安全器と呼ばれるものが付けられていることがある。
 このヒューズは15アンペアで切れるものが使われており、過電流や短絡により切断される。再度の通電のためには、この15アンペアのヒューズを購入し、交換せねばならない。

再検索