細胞内共生説
読み:さいぼうない-きょうせいせつ
1970(昭和45)年にリン・マーギュリス(Lynn Margulis)が提唱した、真核細胞の起源についての仮説。
目次
概要
特徴
細胞内共生まで
ゲノム
オルガネラ
概要
次のような内容の仮説である。
酸素呼吸能力のある細菌が細胞内共生をして、細胞小器官の
ミトコンドリア
となった
藍藻が細胞内共生して、
葉緑体
の起源になった
多くの生物学者は、これが真実であると考えている。
特徴
細胞内共生まで
葉緑体は藍藻(シアノバクテリア)、ミトコンドリアはプロテオバクテリア(好気性細菌の一種)という原核生物だった。従って、独自の
遺伝子
(DNA)を持ち分裂していた生物だった。
約20億年前、ある真核生物がプロテオバクテリアを取り込んだ。この時、共生相手を取り込んだ生物を宿主(しゅくしゅ)という。宿主の細胞の中でプロテオバクテリアはミトコンドリアへと変化し、宿主は菌類や動物へと進化した。
また、約10億年前、このプロテオバクテリアを取り込んだ細胞が藍藻(シアノバクテリア)も取り込み、シアノバクテリアが葉緑体へと変化して、この宿主は藻類や植物へと進化を遂げた。
プロテオバクテリアを取り込んでいない真核生物がその後生き残ったかは定かではないが、宿主の核DNA内にもミトコンドリアに関する遺伝子の痕跡がないとするMonocercomonoidesという生物が見つかっている。ミトコンドリアを取り込まない群の末裔とも考えられるが、全ての真核生物はミトコンドリアを取り込んだ共通の祖先から進化したとする説が有力であるために、祖先に一度存在してから二次的に失われたものとされている。
このように、細胞内小器官は細胞内共生に由来すると考えられているが、
リボソーム
のように細胞が成立するよりも前から存在していたと思われるものもある。
ゲノム
実際に、
ミトコンドリア
や
葉緑体
などは、
細胞
とは異なる独自のゲノムDNAを持っており、しかもそれは
原核生物
に近い性質を持っている。
またこれらは、細胞内で自律的に増殖し、細胞内で活動をする。
つまり、これらは元々別の
原核生物
であり、真核生物の細胞内に共生的に侵入したことによりもたらされたと考えられている。
オルガネラ
こういった、細胞内に共生している小器官を
細胞内小器官
(オルガネラ)という。
ミトコンドリア
や
葉緑体
のほかに、小胞体、ゴルジ体、
リボソーム
などがあり、これらも宿主の管理下ではあるが、細胞内で増殖している。
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