反物質
読み:はんぶっしつ
外語:antimatter
通常の物質と反対の電気を帯びた粒子(反粒子)で構成されるもの。
概要
反物質は、物質(より正確にはクォークやレプトンのようなフェルミ粒子)と同じ質量、同じスピンを持っているが、素粒子の電荷のみが正反対になっている。
例えば、電子は負の電荷を持っているが、その反粒子である陽電子は正の電荷を持っている。中性子は電荷を持たず、その反粒子である反中性子も電荷を持たないが、中性子はクォーク、反中性子は反クォークから出来ており異なる粒子である。
特徴
沿革
ポール・ディラックがその存在を予言し、1932(昭和7)年に米国のアンダーソンにより、宇宙線による反応中から陽電子が発見された。
その後、地球上でも加速器を使い、反陽子、陽電子、反中性子などを発見、陽電子と反陽子からなる「反水素」の生成にも成功した。
対消滅
反物質が物質と衝突すると、互いのエネルギーのみを残して消滅する(対消滅)。
宇宙がビッグバンにより誕生した瞬間には大量の反物質が存在したが、その後、物質と対消滅を繰り返した。物質の方が幾らか量が多かったため、最終的には反物質は消滅したといわれている。
現在の宇宙
宇宙誕生初期、物質と反物質はほぼ同程度の量が存在した。それらが対消滅して互いの量を減らしながら大量の光子を作ったり、逆に対生成で物質や反物質を産み出したりしたと考えられている。
物質と反物質は、性質が違うだけで寿命は同じものと考えられていた(CP対称性)が、もしそうであると、どちらも現在の宇宙に同程度の量で残っていなければならない。しかし現実には、この宇宙には物質は豊富にあるが、反物質は無い。
近年の研究により、実は物質より反物質の方が寿命が短いことが見いだされた(CP対称性の破れ)。このため、対消滅と対生成が延々と繰り返される中で次第に物質が勝るようになり、最終的に反物質は消えて無くなってしまい、宇宙は物質だけで構成されるようになった。
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