IIn型超新星
読み:に-エン-がたちょうしんせい
外語:Type IIn supernova
II型超新星
のスペクトルによる分類で、スペクトルに観測される
水素
の輝線の幅の狭いもの。
目次
概要
特徴
線幅
SN 2009ip
SN 2020tlf
主な超新星
概要
II型超新星の特徴として、水素の輝線がある。
これは、一説では、水素外層を大量に残したまま爆発するためとされる。同じII型超新星でも、水素の輝線が弱い
IIb型超新星
は水素外層が僅かしか残っていない星の爆発であるとする。
特徴
線幅
IIn型超新星の狭い線幅は膨張速度に対応し、線幅が狭いものは膨張が遅いことを意味する。
その正体は現時点では不明だが、
高光度青色変光星
(LBV)など非常に重い星が進化の途中で表面を吹き飛ばす現象ではないかという説がある。もし、進化の最後の爆発ではないとすると
超新星
とは呼べなくなるが、しかし古典的な
新星
と比べ100倍程度明るいため、新星現象とも違っている。
SN 2009ip
2009(平成21)年に観測されたSN 2009ipは、
みなみのうお座
の渦巻銀河NGC 7259で超新星として発見された。しかし発見後数日で暗くなったため、高光度青色変光星(LBV)による疑似的超新星として再指定された。
この星は、
見かけから超新星として判断する場合はIIn型超新星に分類される
、としている。
SN 2020tlf
2020(令和2)年に観測された
SN 2020tlf
は、元の天体は
赤色超巨星
でありLBVではなかった。
観測により、爆破の約130日前より前駆放射(precursor emission)が観測されており、超新星爆発直前にガスが放出されていることを示していた。爆発後の観測データでも、赤色超巨星が高密度の星周物質(ガスや塵など)に取り囲まれていたことを示唆しており、つまり爆発前から爆発時点まで、濃い星周物質に取り囲まれていたことになる。
結果として、従来の仮説では爆発前に周囲にガスを放出する
高光度青色変光星
(LBV)の爆発とみられていたIIn型超新星として観測されることになった。
主な超新星
IIn型超新星は膨大な量が発見されているが、その中でも特に論文の中に見られるなど注目されることがあるものに、次のようなものがある。()で併記するのは所属する銀河等の名称。
SN 1988Z (MCG+03-28-22)
SN 1994W (NGC 4041) (NGC 4041) ‐ SNIInP型(光度変化では
IIP型超新星
)
SN 1995G (NGC 1643)
SN 1995N (MCG-02-38-17)
SN 1998S (NGC 3877)
SN 1999A (NGC 5874)
SN 1999br (NGC 4900)
SN 1999bw
(
NGC 3198
) ‐ IIn型ではない可能性もある
SN 1999el (NGC 6951)
SN 1999gb (NGC 2532)
SN 2000ch (NGC 3432) ‐ IIn型ではない可能性もある
SN 2002an (NGC 2575)
SN 2002bj (NGC 1821)
SN 2003dv (UGC 9638)
SN 2003ei (UGC 10402)
SN 2005db (NGC 214)
SN 2005gl (NGC 266)
SN 2005kj (Anon J084009-0536)
SN 2006aa (NGC 3947)
SN 2006bo (UGC 11578)
SN 2006gy (NGC 1260) ‐ それまでの観測史上最も明るいと見られる超新星
SN 2006jd (UGC 4179)
SN 2006qq (ESO 553-36)
SN 2008fq (NGC 6907)
SN 2009ip (NGC 7259) ‐ LBVによる疑似的超新星
SN 2009kn (MCG-03-21-06)
SN 2010jl (UGC 5189A)
SN 2013fs (NGC 7610) ‐ SNIInP型(光度変化では
IIP型超新星
)
SN 2015bf (NGC 7653)
SN 2020tlf
(
NGC 5731
) ‐ IIn型への分類は暫定的なものと思われる
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