SN 2020tlf
読み:エスエン-にーぜろにーぜろ-ティーエルエフ
外語:SN 2020tlf

 2020(令和2)年9月に、地球から約1億2000万光年先のNGC 5731銀河に発見された超新星の一つ。爆発前から兆候があり、爆発前後が精密に観測された初の超新星である。
目次

概要

基本情報

観測情報

元の恒星

特徴

観測
 この超新星は、爆発前から観測された初の成果である。
 超新星爆発してATLASがSN 2020tlfとして検出するより約130日前、ハワイの掃天観測システムPan-STARRS(パンスターズ)が大幅に増光する赤色超巨星を検出し、以降爆発まで観測された。

爆発前
 これまで観測された超新星は、観測では爆発直前まで比較的静穏であり、激しい物質の放出や増光が観測されたことはなかった。しかしSN 2020tlfでは前駆放射(precursor emission)が観測された。これは、超新星爆発直前にガスが放出される可能性があることを示している。
 加えて爆発後の観測データでも、赤色超巨星が高密度の星周物質(ガスや塵など)に取り囲まれていたことを示唆しており、つまり爆発前から爆発時点まで、濃い星周物質に取り囲まれていたことになる。
 結果として、既存の観測では爆発前に周囲にガスを放出する高光度青色変光星(LBV)の爆発とみられていたIIn型超新星として観測された。

星周物質
 爆発前より観測された前駆放射と星周物質の存在は、赤色超巨星の少なくとも一部については爆発直前に内部構造が大きく変化し、赤色超巨星はガスを放出して質量を失い、同時にエネルギーが光として放出されている可能性があることを示した。
 従来、超新星爆発は予測ができなかったが、今後は同様の末期をたどる星については事前に予兆が観測できるようになる可能性がある。

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