褐色矮星
読み:かっしょくわいせい
外語:brown dwarf star
恒星として自ら輝く大きさに成長できなかった天体で、僅かな熱や光を放出するにすぎない、非常に暗い天体のこと。
概要
褐色矮星は、いわゆる星ではあるが、恒星ではない。
恒星になりそこねた、恒星と惑星の中間の質量を持つ天体ともいえる。
特徴
質量
天体が核融合で自ら光るためには、少なくとも太陽質量の7〜8%以上の質量が必要だと言われているが、褐色矮星はその質量に満たない天体である。概ね、太陽の1.3〜7.5%の質量しかない。
このような小型の天体は、重水素の核融合は起こせるが、軽水素の核融合を起こせる程に中心核の温度が高まらない。元々量の多くない重水素はすぐに使い果たされ、核融合反応は停止する。その後は、徐々に冷却してゆくことになる。
惑星との差は、惑星よりも質量が大きいために、水素ガスを重力エネルギーで圧縮して発熱することが可能な点である。初期の核融合時に発生した熱と合わせてある程度高温となっており、ここから赤外線を放出する。但し、可視光線や電波などは放出しない。
観測
可視光で観測不可能なため、赤外線観測技術が発達するまで観測が困難だった。
理論的にはかなり以前から存在が予想されていたが、実際に見つかったのはごく最近である。
その数は非常に多いと考えられており、暗黒物質(ダークマター)の一つとして扱われている。
誕生
2005(平成17)年6月9日号のnatureによると、褐色矮星の誕生時も、恒星の誕生時と同様の現象を示すようである。
アイルランドのダブリン先端研究所のウィーラン博士らにより、へびつかい座の方向400光年の距離の若い褐色矮星ρOph102が観測され、恒星誕生時と同様、酸素や硫黄のガスを吹き出していることが確認された。
数
日本の国立天文台とインドのタタ研究所などの研究チームは、すばる望遠鏡の赤外線カメラを使いカシオペア座に6000光年離れた領域を観測した。その結果、褐色矮星は恒星と同程度の多数存在することを明らかとした。この論文は、米天文学誌アストロフィジカル・ジャーナルに掲載される。
かつて、オリオン座の方向に1500光年離れた領域を観測した結果では、褐色矮星は恒星よりも少ないという結果が出ていた。
この成果は、塵やガスから星が誕生する際に、どの程度の質量の星がどの程度出来るか、という問題を解明するのに役立つと期待されている。
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