脳死
読み:のうし
外語:brain dead

 のうち、生命の中枢である脳幹んでしまったか、機能を失っている状態。
目次

概要

病因
 脳に傷が付くような怪我や病気により、脳のうち少なくとも脳幹が不可逆的に回復不能に陥った場合、脳死となる。
 次のような怪我や病気で、脳死になりやすい。
 以前であれば、このような状態ではすぐ心臓が止まり完全に死亡したが、現在は人工呼吸器や栄養点滴で呼吸や生命活動の維持が可能になったこともあり、比較的長期に渡り脳死のまま心臓死を起こさず維持できるようになってしまった。

種類
 脳幹だけが死んだ脳幹死と、大脳小脳を含め全ての脳が死んでしまった全脳死がある。
 脳幹は、脳を持つ動物には必ずある生命の中枢で、これなくして脳を持つ生物は生きることができない。このため脳幹が死亡した場合は脳死であり、また脳死は生物の死と考えられている。
 例えば絞首刑などの場合は頚骨骨折と延髄損傷を起こし、脳死する。意識は瞬時に無くなるとされており、つまり即死すると考えられている。

心臓死と脳死
 心臓が停止すれば脳への血流が止まり酸素が供給されなくなるので、必然的に全脳死となり、その生物は完全に死亡する。
 また心臓は生きていて血液は供給されていても、脳幹が死亡すると、やがて心臓を動かすことが出来なくなり、そう遠くない将来に心臓も拍動を停止する。

特徴

脳幹死
 脳幹は睡眠時も常に起きており機能し、その睡眠を司る役割などを担う。
 脳幹が破壊されると、仮に大脳などが生きていても、寝た状態となる。
 夢は脳幹ではなく大脳(のうち、主に大脳皮質大脳辺縁系)が作り出すため、脳幹死の場合は夢を見ている可能性は無くはないが、意識は存在しない。

病態
 脳が死んでいるため、ほぼ心臓死と同様の兆候を示す。
 脳死状態でも大脳から脳波が確認されることはあるが、多くの場合は平坦脳波となる。
 心臓が動いている間は身体の細胞はまだ活動を続けているため、死後硬直などは示さず、体温も存在する。

法律上の扱い
 日本では、臓器の移植に関する法律という法律で、臓器移植で臓器を取り出すことだけを目的に脳死判定を定めてしまった。
 かくして脳死=死は常には成立せず、臓器摘出を前提に脳死判定で脳死と確認された場合のみ、その者は脳死であり死者であると定義されるなどという、残念な状態になっている。

治療
 死者の蘇生方法は存在しない。

再検索