中間質量ブラックホール
読み:ちゅうかんしつりょう-ブラックホール
外語:IMBH: Intermediate-mass black hole

 ブラックホールのうち、質量太陽質量の100〜10万倍程度のもの。中質量ブラックホールとも。
目次

概要
 ブラックホールのうち、超新星爆発によって生まれる恒星ブラックホールと、銀河の中心にある超大質量ブラックホールの中間的な質量を持っているもの。存在は予想されているが、これを著している時点ではまだ決定的な証拠は見つかってない。
 恒星ブラックホールと超大質量ブラックホールは研究も進んでいるが、中間質量ブラックホールはその発生メカニズム等は現時点では詳細不明であり天文学上の謎の一つであるのみながらず、超大質量ブラックホール誕生の由来を知る意味でも重要な存在である。

特徴

観測
 中間質量ブラックホールは超高光度X線源(ULX)であることが多く、つまり明るいX線源である。ブラックホールの事象の地平面の内部からは光さえ出ることはできないが、吸い込まれる途中のガスが加熱されることでX線γ線が輻射される。
 ブラックホールそのものの観測はできないが、こういったブラックホールへ落下する物質が発するX線などを観測することによって間接的に中間質量ブラックホールを観測することができる。

発見
 中間質量ブラックホールの観測初期、X線天文衛星チャンドラによってM82に観測された。M82にある超高光度X線源は「M82 X-1」と命名され、ここに中間質量ブラックホールが存在するものと考えられている。M82 X-1はM82の中心付近にあるが、しかし銀河核より外にあるので、銀河核の中心となる超大質量ブラックホールとは異なるブラックホールである。
 また、銀河系内にも中間質量ブラックホールの存在は確実視されている。例えば渦状腕であるいて・りゅうこつ腕付近から超高速度星のPG 1610+062が射出されていることから、射出地点に中間質量ブラックホールの存在が予想されている。また、銀河系中心いて座A内の星団GCIRS 13Eの中心にも中間質量ブラックホールが存在すると考えられている。

候補
 大規模サーベイにより多数の候補が見つかっているが、中でも良く知られるものは次の通り。

発生メカニズム
 いくつかの仮説によると、短期間のうちに次々と恒星が合体すると、太陽の1000倍程度の質量を持った中間質量ブラックホールが誕生するとしている。
 先の「M82 X-1」を例にすると、半径100光年の範囲に恒星が100万個程度集まる高密度の星団が存在するため、このような合体が起こるには充分な環境が整っている。M82 X-1は、このような星団から生まれたのではないかと考えられている。

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