バンコマイシン |
辞書:科学用語の基礎知識 薬学・一般薬編 (BPHARI) |
読み:バンコマイシン |
外語:VCM: Vancomycin |
品詞:名詞 |
グリコペプチド系抗生物質。アメリカの製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニーで開発された。語源は、(ペニシリン耐性黄色ブドウ球菌に)打ち勝つ/征服する、という意味のvanquishから来たとされる。
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物質の情報 |
分子式C66H75Cl2N9O24、分子量1449.27。CAS番号1404-90-6。
バンコマイシン
薬効薬理 |
作用機序 |
バンコマイシンの作用は細菌の細胞壁合成阻害による。その抗菌作用は殺菌的である。
但し、βラクタム剤のような従来の抗生物質が菌の細胞壁の酵素に取りつくのに対し、バンコマイシンは細胞壁のアミノ酸に取りつくことを最大の特徴とする。
アミノ酸 |
バンコマイシンはムレイン架橋酵素の基質、ムレインのD-Ala-D-Ala部位に水素結合し、ムレイン架橋酵素と基質との結合を阻害する。更に細菌の細胞膜の透過性に変化を与えRNA合成を阻害する。これにより細菌は細胞壁を作ることができなくなり、延いては細胞が破裂し、細菌は死亡する。
アミノ酸は生物の基本的な構成要素であり変更することは不可能なので、バンコマイシンは究極の抗生物質と呼ばれた。こうしてメチシリンの効かないMRSAの特効薬として利用されたのだが、菌はさらに上であった。
なんと1986(昭和61)年、遂にアミノ酸の一部を別の物質に置き換え、バンコマイシンへの耐性を獲得したバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が発見されるに到り、医療界に戦慄が走ったのである。
リンク |
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