ソーマチン
読み:ソーマチン
外語:Thaumatin

 西アフリカ原産のクズウコン科の植物Thaumatococcus danielliiの種子に多く含有する蛋白質(植物性蛋白)で、砂糖の850〜3000倍以上の甘味を持つ天然甘味料。タウマチンとも。
 これはアフリカ先住民族によって利用されていたが、1840(天保11)年にイギリス陸軍の軍医W.F. Daniellにより西洋に紹介され、その後は研究が行なわれるようになった。
目次

物質の情報
 分子量約22,000。CAS番号53850-34-3。

構造
 ソーマチンの一次構造は次の通り(N末端C末端)。
 NH2-
 ( 1)ATFEIVNRCS YTVWAAASKG DAALDAGGRQ( 30)
 ( 31)LNSGESWTIN VEPGTNGGKI WARTDCYFDD( 60)
 ( 61)SGSGICKTGD CGGLLRCKRF GRPPTTLAEF( 90)
 ( 91)SLNQYGKDYI DISNIKGFNV PMNFSPTTRG(120)
 (121)CRGVRCAADI VGQCPAKLKA PGGGCNDACT(150)
 (151)VFQTSEYCCT TGKCGPTEYS RFFKRLCPDA(180)
 (181)FSYVLDKPTT VTCPGSSNYR VTFCPTA(207)
 -COOH
 ヒトが蛋白質合成に使う全20種のアミノ酸うち、ヒスチジン以外の19種類を含む蛋白質である。

物質の特徴
 水によく溶けて、しかも苦味や不快味が無い。また食品の苦味や渋味、金属臭などをマスキングする機能を持っている。加えてコク味を出す働きを有する。
 熱に比較的強く、100℃未満の加熱であれば甘味の減少は殆ど認められない。pH2〜10程度で安定した甘味が得られる。

日本での認可
 本邦では1989(平成元)年に甘味料として認められた。1996(平成8)年に食品添加物として認可され、2003(平成15)年には医薬品添加物にも認可されている。
 医薬品としては有効成分の苦味や渋味をマスキングする成分として使われている。

安全性
 構造上、日常摂取される蛋白質との有意な差は認められず、消化吸収率に関しても卵アルブミンと同等との報告がある。
 安全性については、急性毒性催畸形性、優性致死性、変異原性などの実験がされたが、特に異常は認められなかった。
 このため、1985(昭和60)年にJECFA(FAO/WHO)は一日許容摂取量(ADI)の制定は不要なものとしてA-1ランクに分類された。安全性に問題はない。

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