自閉症
読み:じへいしょう
外語:autism

 先天性の機能障害の一つ。出生1,000人に1.5〜2人以上生まれるとされ、その5人に4人は男性である。
目次

病態

特徴
 次のような行動を取るのが自閉症の特徴である。
 目を合わせない、こだわりがある、パニックを起こしやすい、などの症例は、全て野生動物に当てはまる。何らかの理由により、脳が先祖返りし動物化してしまったものと思われる。

世界観
 普通の人間は、自分の外側に世界があり、そこに人がいてその人にも世界があることを理解できる。しかし自閉症の人間には、その外側が生まれつき理解できない。
 そして自分のやりたいこと、思いついたことをやってしまう。
 我慢もできず、社会のルールも分からない。
 脳がそれを理解できない以上、言って聞かせることは不可能である。

病名
 自閉症という名前は、このような障害者の思考から付けられた名前であるが、誤解されやすい名前でもある。
 これは決して、部屋に引きこもっていたり、内気な性格の子供をいうのではない。むしろ一時も目を離せないような子供が多いのが、この病気である。

病因

先天性疾患
 自閉症はその大半が原因不明である。
 先天的なの障害(障礙)で、脳内での情報処理を正常に行なえないという症状は分かっているが、その原因についてはまだ分かっていない。複数の要因の組み合わせによって生じているものと考えられる。

マウス実験
 2010(平成22)年には、広島大学の内匠透教授らによる遺伝子操作で作られた自閉症マウスを用いた実験で、発達期に脳内の神経伝達物質セロトニンが減少していることが確認された。
 自閉症マウスはセロトニン量が、マウス発達期の生後1〜3週間は脳の全域で通常の85%程度に減少、生後8週間程度の大人の自閉症マウスでは小脳や中脳で少なくなるとされた。

男女比など
 男女比が4:1と圧倒的に男児が多く、また女児発現した時は症状が非常に重い。このことから性染色体に関わる遺伝(伴性遺伝)ではないか、とする説が有力ではあるが、病因が遺伝子かどうかさえまだ確定していない。
 脆弱X症候群やレット症候群なども自閉症状を伴うことが知られ、脆弱X症候群はX染色体に問題があることが判明しているものの、レット症候群はX染色体が疑われていながら明確な原因究明には至っていない。
 それ以外の自閉症では、染色体や、脳波検査・CT検査などでは異常が見られず、原因解明には至っていない。

診察・治療
 先天性疾患であることから乳児期に診断が付くこともあるが、言語的、社会的な成長期である2〜3才頃になり異常に気付くことが多い。
 現在の医学においては、原因不明である上に、根治も不可能である。
 しかし、適切な教育訓練を行なえば、将来社会生活を行なうことも不可能ではない。

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