ナトリウムの炭酸水素塩。重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダ、略して「重曹」ともいい、料理ではベーキングパウダーとして使われている。また、温泉(炭酸水素塩泉)の含有物質として代表的である。
- 組成式: NaHCO3
- 分子量: 84.01
- 密度: 2.1g/cm3
- 融点: 50℃(分解)
- 沸点: (該当資料なし)
- CAS番号: 144-55-8
- ICSC番号: 1044
- 化学名: 重炭酸ナトリウム
- 外観: 白色の様々な形状の固体、結晶系は単斜晶系
- 溶解性:
重曹という名は重炭酸ナトリウムにちなむ。
ナトリウムは英語でソーダといい、漢字では曹達と書く。こうして、重炭酸ナトリウム→重炭酸曹達→重曹と略されたのが名前の由来である。
加熱すると炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素に分解する。
水に可溶。水溶液は弱塩基である(25度でpH8.3)。これは、水溶液中で解離するが、酸としてより塩基としての性質の方が僅かに強いため、弱アルカリ性を示す。
温泉(炭酸水素塩泉)中に含まれているほか、それを模した入浴剤の有効成分としてよく使われる無機塩である。
石鹸と同様に、皮膚や汗腺の脂肪汚れを洗浄する(溶かす)効果があるため、さっぱり感がある。
炭酸水素ナトリウム(重曹)は弱アルカリ性のため胃酸(酸性)を抑える働きがあり、胃薬に使われる。
ただし、胃酸の塩酸によって重炭酸ナトリウムは分解され二酸化炭素となり、これが胃酸の分泌を余計促すことになるとする説もある。
粉末消火器のうち、外観色が白の「第1種粉末」とされるものは、主成分が炭酸水素ナトリウムである。油火災(B火災)、電気火災(C火災)、ガス火災が対象である。
これは、燃焼の過程で生じ燃焼を継続させるラジカルを、炭酸水素ナトリウムが熱分解して生じたナトリウムイオンが取り込んで燃焼の継続を抑制する働きを利用するものである。
重炭酸ナトリウムは脱臭や研磨性などに優れている。
炭酸水素ナトリウム(重曹)は弱アルカリ性であり性質が弱い。通常の洗浄液はpH 9〜10程度だが、たかだかpH 8の重曹のみでは洗浄には向かない。ただし、洗浄剤の補助として使われることがある。
疑似科学(ニセ科学)では、重曹は万能の洗剤のように扱われ界面活性剤より安全として熱心に販売する業者があるが、これは現実からかけ離れている。
1日1回量の炭酸水素ナトリウム(重曹)服用により、慢性腎疾患の進行が遅くなる可能性があることが研究によって明らかにされ、米国腎臓学会誌「Journal of the American Society of Nephrology」オンライン版に2009(平成21)年7月16日、掲載された。
曰く、代謝性アシドーシスを伴う進行慢性腎疾患で、炭酸水素ナトリウム投与群における腎機能低下速度は、非投与群に比べて約3/2遅かったとする。また、炭酸水素ナトリウム投与群は、透析を要する末期腎疾患(ESRD)が発現する可能性も低かったとする。
炭酸水素ナトリウムのような、安価かつ簡便なこの方法は、経済、生活の質、臨床転帰に有意な便益をもたらす可能性があるとして、注目が集まっている。
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: 眼を軽度に刺激する
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 規制値
- 一日許容摂取量(ADI): (該当資料なし)
- 暫定耐用一日摂取量(PTDI): (該当資料なし)
- 急性参照値(ARfD): (該当資料なし)
- 暴露許容濃度(TLV): 設定されていない
- (独)暴露許容濃度(MAK): 設定されていない
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード関連する用語
温泉
重