リウマチ因子
読み:リウマチいんし
外語:RF: Rheumatoid Factor
抗体
、免疫グロブリンG(
IgG
)に対する自己抗体で、
リウマチ
の症状を判定するのに使われる。リウマトイド因子とも。
目次
概要
特徴
検査目的
正常値
異常時
次に必要な検査
スクリーニング
関節リウマチの判別
概要
関節リウマチ
患者では、8割以上でリウマチ因子が陽性反応を示すとされている。
そこで、スクリーニング(ふるい分け)として
検査
される。
特徴
検査目的
正常でも数%(一説では15%程度)は
陽性
となり、リウマチ患者でも5%程度はリウマチ因子が
陰性
となる。また、リウマチ因子が陽性反応を示したからといっても、将来的に関節リウマチを発症するというわけでもない。
したがってあくまでも目安として用いるが、この値とリウマチの重症度は
比例
することが多いとされている。
このためこの値は、進行状態の判断や、治療効果の度合いを確認する目安としても使われている。
正常値
診療機関によって様々だが、日本臨床検査標準化協議会(JCCLS)において、カットオフ値(正常と異常の境)を「15IU/ml」で統一されている。
このため15IU/ml以下を正常値とすること多いが、20IU/ml以下を正常とする医療機関もある。
大雑把な判断基準は次の通り。
300IU/ml以上 ‐
陽性
、炎症が重篤である可能性が高い
100IU/ml以上 ‐ 陽性、発症している可能性が高い
40IU/ml以上 ‐ 陽性、可能性が疑われる
20IU/ml以上 ‐ 陽性、やや高い
20IU/ml未満 ‐
陰性
、正常値
異常時
多い場合、以下のような原因が想定される。
膠原病
関節リウマチ
(RA)
リウマチ熱
全身性エリテマトーデス(SLE)
強皮症
皮膚筋炎(あるいは多発性筋炎)
結節性多発性動脈炎
感染性心内膜炎
肝疾患 (肝硬変、肝炎など)
悪性腫瘍
シェーグレン症候群(SJS)
サルコイドーシス
老齢 (老齢者はリウマチ因子が高く出る傾向にある)
リウマチ因子(RF)が高い場合、まず疑われるのは膠原病、次に慢性肝疾患などの存在である。
また、リウマチ因子(RF)が高い状態で関節リウマチ(RA)と診断されなくても、将来関節リウマチ(RA)になる可能性があるため、経過観察が必要である。
次に必要な検査
スクリーニング
リウマチの診断において、リウマチ因子(RF)
血液検査
は、あくまで指標の一つに過ぎない。重要な検査ではあるが、これのみで
関節リウマチ
であると特定できるほどの因子ではない。
このため合わせて次のような検査を併用し、複数の検査結果から検討することになる。
血沈
(赤血球沈降速度)
CRP
(C反応性蛋白)
抗CCP抗体
抗核抗体
血球 (
WBC
、
RBC
、
Hb
、
Ht
、
Plt
)
肝臓 (
GPT
(ALT)、
GOT
(AST))
腎臓 (
BUN
、
Cre
)
レントゲン撮影 (両手などを撮影し、軟骨が溶けていないか等を確認する)
またリウマチ以外に他の病気が疑われ判別をする場合は、病気ごとに次のようなものも調べられる。
深在性真菌症 (血中β-Dグルカン値)
間質性肺炎
(KL-6)
関節リウマチの判別
見た目で関節リウマチが疑われる場合、
抗CCP抗体
と
C反応性蛋白(CRP)
、必要なら
血沈
を調べ、さらに、「IgG型リウマトイド因子(リウマチ因子)」「抗ガラクトース欠損IgG抗体(CA・RF)定量」「血清補体価(CH50)」「モノクローナルRF結合免疫複合体」などの検査をして重症度を確認する。
滑膜細胞の増殖の程度は、「
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)
」で知ることができる。
ただ、見た目で関節リウマチの可能性が低そうな場合、抗CCP抗体とCRP、MMP-3の他に、「抗核抗体(蛍光抗体法)半定量」でまず確認するという方法もある。
抗CCP抗体
/
CRP
/
MMP-3
/
抗核抗体
が全て
陰性
であれば、その時点で関節リウマチである可能性は限りなく低い。
ついでに「
抗ストレプトリジンO
(ASO)定量」を加えれば、関節リウマチとリウマチ熱の判別も可能と考えられる。
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