ナットウキナーゼ
読み:ナットウキナーゼ
外語:nattokinase

 納豆菌が、大豆を分解する時に使う酵素
目次

情報
 蛋白質で、分子量は約2万。

特徴

効能
 これは納豆菌が作る納豆のネバネバに多く含まれる納豆特有の酵素で、大豆そのものや、豆腐味噌といった他の大豆食品には含まれていない。
 ナットウキナーゼは、血栓を溶かす強力な酵素として注目されている。
 但し、納豆を食べても腸で消化されて分解されるため、ナットウキナーゼが酵素のまま血液中に入ることはない。従って、納豆自体には血栓を溶かす薬効はないと考えられる。
 以下は、抽出した成分を注射や点滴等で血液中に直接入れた場合を前提として説明する。

薬効薬理
 まず、血液が血管中で凝固し血管を詰まらせるものを血栓といい、脳梗塞心筋梗塞、肺血栓塞栓症など様々な致命的な病気の原因となる。
 ナットウキナーゼはこの血栓を溶かす働きを持っており、これら危険な病気を防ぐ働きがあると考えられている。
 このナットウキナーゼの発見者は倉敷芸術科学大学機能物質化学科の須見洋行教授で、1980(昭和55)年に人工血栓の血栓溶解作用を発見した。その後様々な食品を調査し、1986(昭和61)年、血栓溶解作用で納豆に勝るものはないことを確認して発表した。

価格
 ちなみに市販の納豆100gに含まれるナットウキナーゼの効果は、現在医療用として心筋梗塞の発作時に使われるウロキナーゼ1回分(20〜30万単位)に相当する。
 またナットウキナーゼは12時間程度有効なのに対し、ウロキナーゼは3時間程度しか効果が無い。ちなみに、納豆100gは100円以下で購入可能だが、これに相当する量のウロキナーゼは薬価にして数万円〜数十万円にもなり、比較にならない。

薬効についての考え方

問題
 納豆を食べれば血栓が治る、薬不要、医者不要、などという誤った考え方が日本には広まっているようである。
 この前提として、納豆を食べれば、成分のナットウキナーゼが腸より「そのまま吸収」され、血液中を巡る、という大前提があるからだと思われる。しかし、これは現実ではない。

吸収されない
 ナットウキナーゼは酵素であり、つまり蛋白質である。
 蛋白質は胃腸で消化されアミノ酸にまで分解されるため、吸収される時には既にナットウキナーゼとしての活性は消失している。もし仮に分解されず腸に達したとしても、腸で吸収できる最大の分子量が約1万に対してナットウキナーゼは約2万と大きく、まず吸収されることはない。
 実際に、納豆を食べた後、血液中からナットウキナーゼが検出されたという疫学的データは、これまでに一件も存在していないのである。

納豆は効かない
 ナットウキナーゼが吸収されないということは、当然、期待される薬効は無いと言うことである。
 試験管レベルではナットウキナーゼは血栓を溶解する働きがあっても、吸収されない以上は、納豆を食べて血栓が溶けることはなく、脳梗塞や心筋梗塞に効果はない、ということになる。

点滴や注射はどうか
 直接血液中に入れるために、点滴や注射をすることを考えてみる。
 ナットウキナーゼは蛋白質なので、免疫反応により、拒絶反応、時にアレルギーを起こす可能性がある。
 加えて、ナットウキナーゼは蛋白質分解酵素なので、他の蛋白質、例えば赤血球や白血球を溶かしてしまう可能性もある。ナットウキナーゼが血栓だけを選択的に溶解するというデータは、今のところ確認されてはいない。

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