サルコイドーシス |
辞書:科学用語の基礎知識 医学・情報編 (BMEDI) |
読み:サルコイドーシス |
外語:sarcoidosis |
品詞:名詞 |
様々な臓器に小さな腫れ物(肉芽腫)が作られてしまう、原因不明で慢性の全身疾患。難病であり、日本でも指定難病の一つである。略して「サ症」。
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概要 |
全身様々な臓器、例えば、両側肺門リンパ節、肺、目、皮膚、唾液腺、心臓、神経、筋肉などに病巣を作る。
両側肺門リンパ節腫脹(BHL)や眼サルコイドーシスとして発見されることが多い。
その原因は不明である。感染性ではないとされており、免疫疾患の一種ではないかと推定されている。
肉芽腫は「がん」のような悪性の細胞ではないが、しかし大きさや数によっては様々な症状が出るため、生活や、時に生命に危機をもたらす。
特徴 |
症状 |
具体的な疾患は後述するが、症状は罹患する臓器ごとに様々であり箇所ごとにおおむね次の通りである。
病変が拡大するまでは殆どが無症状である。また症状があっても、皮下結節などは重症でなければ無視されて病気であることに気づかない。
慢性に進行するが、重症でなければ健康診断などでも気づかれないことが多い。
疾患 |
サルコイドーシスで侵されやすい器官と、生じる具体的な疾患は次の通りである。(出典: 「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き‐2006要約」)
より詳細な症状は、後述する「診断基準」も併せて参照のこと。
検査 |
診断基準 |
「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き‐2006要約」によると、サルコイドーシスの診断は組織診断群と臨床診断群とに分け、以下の基準に従って診断するとされている。
一臓器に組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め、かつ、下記(1)〜(3)のいずれかの所見がみられる場合を組織診断群とする。
表1 全身反応を示す検査所見
組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は証明されていないが、少なくとも一つの臓器に「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)に相当する所見があり、かつ、前記の表1に示した全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認めた場合を臨床診断群とする。
他疾患を十分に除外することが必要である。
除外項目については「診断の手引き」の記載を参照し検討する。
サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見としては、次のようなものがある。内容については、「診断基準と診断の手引き(2006要約)」による。
病変を強く示唆する臨床所見。
表2 胸部画像・気管支鏡所見
除外診断
などは除外する。
下記の表3に示す眼所見の6項目中2項目以上有する場合に眼病変を疑い、診断基準に準じて診断する。
表3 眼所見
その他の参考となる眼病変
除外診断
などは除外する。
下記の表4に示す心臓所見を主徴候と副徴候に分け、いずれかを満たし、さらに、表1の全身反応を示す検査所見のうち1項目以上を満たす場合をいう。
表4 心臓所見
付記
除外診断
サルコイドーシスの皮膚病変は全て組織学的診断で診断可能であるため、組織診断陽性のものをいう。以下表5に皮膚の臨床所見を示す。
表5 皮膚所見
外傷など外的刺激を受けた部位に生じ、瘢痕に応じて種々の臨床像を示す。膝蓋、肘頭、顔面に好発
淡紅色の有痛性皮下結節で下腿に好発
除外診断
下記の表6に示す神経・筋病変を強く示唆する臨床所見を有する場合をいう。画像を含めた検査のみにおいてサルコイドーシスの神経・筋病変が示される無症候性のものと、症候性のものがある。診断に際しては以下の条項を使用してもよい。
表6 神経・筋所見
除外診断
下記の表7に示すその他の臓器病変を強く示唆する臨床所見を有する場合をいう。画像検査でサルコイドーシスのその他の臓器病変が示される無症候性のものも含む。
表7 その他の臓器所見
除外診断
治療 |
目であればステロイド剤入りの点眼薬が使われるが、重症であればステロイド剤の内服をする。
ステロイド剤は症状を改善させ、肉芽腫形成を抑制する。内服を半年程度継続するとかなりの治療効果が認められるが、薬の量を減らすと再発することもある。
心臓や脳に肉芽腫が形成されることもあり、その場合には生命に危機が及ぶこともあるため、定期的な検査が必要である。
また、治療によって病状が軽快したとしても、原因不明であるために、治癒したと断言できないことから難病とされている。
リンク |
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