コンデンサー
読み:コンデンサー
外語:capacitor
電荷
を蓄積・放電する機能を持つ
電子部品
。
受動素子
の一つである。
目次
概要
構造
電流
特徴
用途
性質
平滑化
直流の遮断
マイクロフォン
静電容量
定義
和
回路図記号
特性を表わす数値
種類
分類方法
構造による分類
材質による分類
電子回路用
高圧電源回路用
用法による分類
概要
構造
コンデンサーは二枚の電極板が向かい合った構造を持ち、殆どのものはその間に
絶縁体
を挟んでいる。
電極板の間の静電気力(
電場
、電界)によって
電荷
を蓄積する。
電流
両電極板間は
絶縁
されており導体が無いため、コンデンサー内部には、通常の
電流
(伝導電流、電荷の移動の電流)は流れない。
しかし、電極板に電荷の出入りがあると電極板周囲に磁界(
磁場
)を生ずるが、この磁界分布はコンデンサー内に電流が流れたと想定した場合と全く同じとなる。このため、コンデンサー内には仮想的な電流が流れると考えることが可能で、物理学者マクスウェルはこの電流を変位電流(displacement current)と呼んだ。
この変位電流は伝導電流と何ら変わることはない。従って、電流=変位電流+伝導電流であると考えると、「コンデンサーには電流が流れる」と考えることが可能である。
つまりコンデンサーの有無に関らず回路の電流は連続しており、キルヒホッフの法則が成り立つ。
特徴
用途
性質
回路に挿入することを想定した場合、主として電源回路では蓄電機能が、信号回路では交流のみを通す性質が利用される。
コイル
とは正反対の性質を持っていて、この二つを組み合わせて各種回路にも使われる。応用例として、直流電源回路で両極間をまたぐように付けることで、直流電源の安定化を行なうなどの用途がある。
平滑化
コンデンサーは二つの電極板の間の
電圧
を一定にするような性質があり、電圧が変化するとその変化率に応じて
電流
が流れる。
この用途で使われるコンデンサーを
平滑コンデンサー
と呼び、流れる電流は「リップル電流」と呼ばれ、流すことが出来る電流の限界量は製品により異なる。
直流の遮断
信号ラインに直列に挿入すると、直流を通さず交流のみを通す。信号回路では、直流を除くためにコンデンサーを用いている。
交流信号だけを扱う
電子回路
をコンデンサーによって結合する時に使われるコンデンサーを、カップリングコンデンサー(交流結合コンデンサー)と呼ぶ。
例えば、アンプの出力とGNDの間に
スピーカー
を繋ぐような場合では、アンプの出力には直流の電流成分を含むため、それを遮断するために、アンプとスピーカーの間にカップリングコンデンサーを挟む。
マイクロフォン
コンデンサーの両端にバイアス電圧を掛けておき、一方を振動膜とする。
音を受けてこの振動膜が動く(電極板の間隔を変化させる)と、コンデンサーの両端の電圧が変化する。
この原理を応用したのが
コンデンサーマイクロフォン
である。
静電容量
定義
電極板の間の電圧を1V/秒の割合で増加させた時に1Aの電流が流れ込んだ場合、このコンデンサーの
静電容量
は1F(
ファラッド
)であると定義されている。
実際の静電容量はコンデンサーの種類にもよるが、一般的なもので1pF〜10,000μF(0.01F)程度である。
大容量の物は蓄電池としての用途もあり、実際にリチウムボタン電池の代替品としても開発が進められ、デメリットもあるが直流電源回路の出力側に挿入して
瞬間停電
に強い電源を作ることも可能である。
大容量の品種としては
電気二重層コンデンサー
などが挙げられ、記憶回路のバックアップ電源やモーターなどの動力源として使われる場合がある。欠点としては内部抵抗が比較的大きい・耐電圧が比較的低い点が挙げられる。
和
コンデンサーを直列に繋ぐと、静電容量はその
逆数
の和の逆数となる(C1とC2ならC=1/(1/C1 + 1/C2)。その代わり、耐電圧は高くなる。
並列に繋ぐと、静電容量はその和となる(C1とC2ならC=C1+C2)。
コンデンサーを このようにして得られる静電容量を合成静電容量という。
回路図記号
回路図の記号は「┤├」と表わす。
間に斜線を描いたものが
電解コンデンサー
である。
極性があるものは、プラス側に+と描く。
可変コンデンサー
の場合は斜め矢印を描く。
特性を表わす数値
静電容量、許容差、温度係数
静電容量
は、コンデンサーの容量で、単位はF(
ファラッド
)、その100万分の1のμF(マイクロファラッド)、そのさらに100万分の1のpF(ピコファラッド)が使われる。
許容差は、静電容量の誤差である。一般的なものは±5%〜±20%程度で、かなり大雑把であることが分かる。材質により、より高精度のもの(±1%など)もある。
温度係数は、温度による容量変化の度合いである。セラミックコンデンサーは特に温度変化が激しいことが知られる。
コンデンサの容量値の読みかた
定格電圧、絶縁抵抗、洩れ電流
定格電圧は、常用できる電圧である。コンデンサーの場合、トランジスタやダイオード等と違い、瞬間的な過電圧はキャパシタンスの性質上吸収される。従って、耐圧というよりは、作動電圧ないし動作電圧というのが適している。従って単位も、
V
(
ボルト
)のほかにWV(ワークボルト)と書かれていることがある。
絶縁抵抗
は、極板間の
抵抗値
で、通常はMΩで表示されている。理想では、ここは完全な絶縁体で抵抗値は∞だが、理想と現実にはギャップがある。直流電圧を加えると極板間の誘導体に微小な電流が流れ、この時の抵抗値を絶縁抵抗とする。
アルミ電解コンデンサーのように、構造的に洩れ電流があり、洩れ電流値が印加された電圧と
比例
しないものは、漏れ電流値が表示される。
ESR(等価直列抵抗)、ESL(等価直列インダクタンス)
製品としてのコンデンサーは、「理想コンデンサー」に
抵抗器
と
コイル
を直列にしたような特性を持っている。この、理想コンデンサーと直列に入っているとみなせる抵抗成分をESR(等価直列抵抗)、コイル成分をESL(等価直列インダクタンス)という。
ESRは高周波や高低温、ESLは高周波で使用する際に影響が出てくるので、ESR/ESLが大きなものを使う場合は注意が必要である。
ESR値の大きなコンデンサーに大きな交流電流を流し込むと、抵抗分だけ発熱することになる。特に問題となるのは整流回路だが、リプル電流が定格値を超えると、劣化や爆発をするので注意が必要である。
損失角の正接
誘導体に加えた電界が時間的に変化する際、誘導余効の影響で電束密度の変化が電界より遅れる。電界がEsin(ωt)の時、電束密度がDsin(ωt-δ)のように変化すると、電界のエネルギーは毎秒ωEDsin(δ)だけ、熱となって失われる。これを誘導損失といい、δを損失角という。
コンデンサーに交流を加えた場合、損失が無ければ位相は90°進み電力を消費しないが、損失があれば位相はδだけ遅れ電圧と内積分だけ電力が消費される。このとき、tanδは損失の割合を表わし、損失角の正接という。
種類
分類方法
構造や絶縁体の種類によって、幾つかに分類され、また用途によって使い分けられる。
また極性のあるものと無いものがある。電解コンデンサーは極性を間違えると
電解質
が電気分解されガスが発生し、爆発する。このため、爆発時にケースが割れやすいよう、ある程度の大きさ以上の電解コンデンサーには切り欠きが入っている。
この切り欠きの形状は、コンデンサーのメーカーによって異なる。
構造による分類
電気二重層コンデンサー
電解コンデンサー
可変コンデンサー
チップコンデンサー
材質による分類
様々なカテゴリーについて、日々新しい素材のコンデンサーが登場してきている。
電子回路用
プラスチックフィルムコンデンサー
スチロールコンデンサー
ポリエステルフィルムコンデンサー
(マイラコンデンサー)
ポリプロピレンフィルムコンデンサー
テフロンコンデンサー
ポリフェニレンサルファイドフィルムコンデンサー(PPSコンデンサー)
セラミックコンデンサー
(磁器コンデンサー)
積層セラミックコンデンサー
マイカコンデンサー
(雲母コンデンサー)
電解コンデンサー
アルミニウム電解コンデンサー
アルミニウム非固体電解コンデンサー
アルミニウム固体電解コンデンサー
導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサー(OS-CON)
ポリピロールアルミニウム固体電解コンデンサ(PC-CON)
タンタル電解コンデンサー
タンタル非固体電解コンデンサー
タンタル固体電解コンデンサー
高分子有機半導体タンタル固体電解コンデンサー(POSCaP)
ニオブ電解コンデンサー
酸化ニオブコンデンサー
可変コンデンサー
エアバリコン
ポリバリコン
タイトバリコン
セラミックトリマコンデンサー
高圧電源回路用
紙コンデンサー
オイルコンデンサー
真空コンデンサー
ガス封入式コンデンサー
窒素ガス封入式コンデンサー
SF
6
ガス封入式コンデンサー
用法による分類
バイパスコンデンサー
進相コンデンサー
平滑コンデンサー
カップリングコンデンサー
デカップリングコンデンサー
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