オープンコレクタ |
辞書:科学用語の基礎知識 電子用語編 (NELECY) |
読み:オープンコレクタ |
外語:open collector |
品詞:名詞 |
ゲート内部回路の様式の一つ。出力用トランジスタのコレクタを内部でどこにも接続せず、そのまま端子に引き出したもの。
MOSプロセスの場合は出力がFETなので「オープンドレイン」と呼ぶが、目的とする機能は同じである。
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概要 |
回路 |
トランジスタには二つの重要な用途があるが、このうち一つが回路内でスイッチの働きをする機能である。
これは、ベースの電源をON‐OFFさせると、コレクタ‐エミッタ間の電流もON‐OFFされる働きである。
左と右は等価
その出力方法も様々あるが、そのうちの一つが、コレクタをそのままで端子等に繋げるオープンコレクタである。
スイッチング機能 |
トランジスタが、スイッチとしてOFFの状態の場合、回路はオープン(切断状態)となっている。つまり、出力はハイインピーダンスである。
このためオープンコレクタ出力は何にも繋げていないのと同じ状態となるため、その内容は不定である。信号のレベルは、これと繋げる側で設定せねばならない。
トランジスタが、スイッチとしてONの状態になると、オープンコレクタ出力はGNDとショートしようとする。つまり、出力は0Vである。
しかし、このままでは電源の供給がないためトランジスタは動かない。よって、これと繋げる側は電流を供給する必要がある。
プルアップ |
オープンコレクタの出力を用いるには、一般に後段側でプルアップすることで行なう。
スイッチがOFFの場合、トランジスタ側は断線しているのと同じなので、回路は抵抗を経てVCCと繋がる。従って、電源電圧とほぼ同電位となる。
一方スイッチがONだと、トランジスタを通じてGNDに繋がるので、電位はGND電位近くまで下がることになる。
かくして、ON‐OFFの伝達ができることになる。
特徴 |
利点 |
この出力回路を持つゲート同士であれば、出力を単に並列接続するだけでワイヤードORの機能が実現できるのが特徴(正確には外付抵抗が必要)。
また、複数のゲート出力が競合することなく並列接続できるので、かつてはバスラインインターフェイスにも用いられた。
普通の出力方法だと、片方が0V、片方が5Vを出していたら、その間に大電流が流れてしまいICは故障してしまう。しかしオープンコレクタ出力は常に0Vなので、問題がないのである。
この為TTLファミリー内ではゲートやドライバーの変種として、かなり多くの品種が存在する。
オープンコレクタは電流の有無で情報を伝えることになるため、その信号の電圧は問わない。
つまり、5V系と3.3V系のICで信号の伝達をするとき、そのまま繋いだのでは、3.3V→5VではHIレベルの電圧が足りず、5V→3.3Vでは過電圧で故障してしまう恐れがある。
しかしオープンコレクタなら、後段の電源電圧に合わせたプルアップ抵抗を用いるだけで済む。
欠点 |
もちろん欠点もあり、それは遅いことである。
LOW出力時は、プルアップ抵抗経由で後段から電源を吸うことになる。ゆえに、プルアップ抵抗はあまり小さくできない。
一方、プルアップ抵抗を大きくするとHIGH時の駆動能力が小さくなってしまうため、その分だけ信号電圧の立ち上がりが長く(遅く)なってしまう。
現状 |
もっとも今ではワイヤードORは動作が遅いことや、外付抵抗の面倒が嫌われて少なくなったことや、バス用にはスリーステートの方が好適であることなどから、新規の開発品に採用されることはなくなった。
但し、LEDドライバーやバッファーなどの、ファミリー外へのインターフェイスを目的としたもの、とりわけ低速・大電流出力のものでは回路設計の自由度の高さ故に、オープンコレクタ出力が普通に使われる。
リンク |
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