|
この試験で、イベルメクチンの高用量投与は安全だとみなせることが確認された。しかし軽度から中等度の副作用ではあるものの高用量投与群では脱落者の割合が高いことが確認された。途中を略して、最後にはこうある。
病気の進行リスクが高い症状であれば、軽度の副作用があっても治療を継続するモチベーションは高いかもしれない。しかしイベルメクチンの高用量投与に関する新たな試験は他の点からも問題がある。
まず第一に、臨床的に良い結果が得られる可能性の兆候は見出せなかったこと。それどころか、入院が必要になるほど病状が悪化した4人の参加者は全て治療群であり、うち3人は高用量群だった。
これは統計学的に有効な結論ではなく観察結果ではあるが、イベルメクチン自体が、臨床的悪化に少なくとも部分的に寄与していた可能性が疑われる。
実のところ、イベルメクチンの作用機序はウイルスに直接作用するのではなく細胞内輸送に関与する宿主タンパク質の阻害であるため、懸念がある[22]。
ただ今回の入院患者の臨床的特徴はCOVID-19の進化と適合すると考えられ、以前にイベルメクチンの重篤な毒性として報告されたような大きな神経症状は観察されなかった[23]。
結論として、イベルメクチンとプラセボの間では、最高用量での傾向は一目瞭然だがウイルス量の有意な減少は証明されなかった。
この薬剤が低用量で臨床効果を発揮する可能性があるかどうか、これはまだ議論の余地はある。我々の調査結果は、臨床試験以外ではCOVID-19の治療にイベルメクチンを投与することは控えよとするWHOの勧告[25]をさらに裏付けるものだと考える。忍容性の低下を考慮すると、大規模な高用量臨床試験は推奨されるべきでない。