おねしょ |
辞書:科学用語の基礎知識 医学・情報編 (BMEDI) |
読み:おねしょ |
外語:bedwetting |
品詞:さ変名詞 |
睡眠中に尿を漏らし、衣類や寝具を湿潤させる状態のこと。寝小便、遺尿。
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定義 |
睡眠中に排尿してしまうことを総じて「おねしょ」という。
一般的な説では、5歳児で20%、7歳児で10%、12歳児で3%程度がおねしょをすると言われ、成人でも1%程度いるとされる。男女では男児の方が頻度が高いともされる。
幼児期の「おねしょ」は病気ではないが、集団生活を行なう歳になっても続くと困る事になり、必然的に対応を迫られる。
医学的定義としては、6歳(小学校1年生)以上になっても、つまり学童期でも毎日のように続くおねしょを「夜尿症」(やにょうしょう)とし、これは病気として扱っている。夜尿症は、幼児期のおねしょとは異なり、適切な対応が必要となる。
概要 |
以降は、病気「夜尿症」ではない「おねしょ」についてを記載している。病気のおねしょは「夜尿症」を参照のこと。
語源 |
おねしょの語源は「寝小便」の「寝小」に「お」を付けたところからである。
頭に「お」が付く理由は明瞭ではないが、しっこ→おしっこ、もらし→おもらし、などと同様の理由で「お」が付けられたものと考えられる。
おねしょは多くの場合子供がするので、その行為を可愛らしく表現するという理由もあると考えられる。大人がすれば、おねしょと言うよりは、寝小便であろう。
夢精 |
男性の場合、小学校高学年から中学生くらいに掛け、少しねばねばした液で下着を濡らす朝を経験する。
尿ほど多くないため布団を濡らすことは殆どないが、下着やパジャマを汚してしまう。
これはおねしょではなく、夢精である。
原因 |
原因は不明 |
病気ではないおねしょ(夜尿症ではないおねしょ)には様々な原因が考えられていながらも、明確な原因は明らかとなっていない。
概ね次のようなことにより起こると言われる。各々、後述する。
このほか、精通前の一時的な事象や、催眠鎮静剤(睡眠薬)の副作用で、おねしょをするという報告もある。
幼児期(抗利尿ホルモン、膀胱容量) |
幼児期におねしょが多いのは、就寝中に利尿作用を弱める抗利尿ホルモンの分泌量が少なく、尿量が多いためである。また膀胱容量も少ないため、あまり多くの尿を蓄えることができない。
そして、子供は睡眠が深く、尿意だけでは目覚めない。夜中にトイレに行きたくなっても、全ては夢の中で行なわれてしまう。つまり布団の中でしてしまう「おねしょ」となる。
成長に応じてホルモンが働くようになり、自然におねしょは癒る。一般には3歳程度で排泄の制御が可能になるとされるが個人差もある。
膀胱容量や泌尿系に問題がなくても、不安や緊張など精神的な理由が原因となることもある。
精神的ストレス |
精神的ストレスと夜尿症は関連が深いとする説がある。
ストレスにともなう「神経性頻尿」や「心因性頻尿」などが夜尿症の原因になるとする説もあり、これは大人でも起こりうるとされる。
ビタミン不足 |
ある仮説によると、おねしょをする子供は、おねしょをしない子供と比べ、葉酸とビタミンB12の摂取量が少ないという結果が出たとしている。いずれもビタミンB群であり重要な栄養素である。摂り過ぎてはよくないが、ビタミンなので必要量を毎日欠かさず取ることは健康にもよい。
葉酸は緑黄色野菜に多い。枝豆、ブロッコリー、ほうれん草、菜の花といったものや、紫蘇(しそ)などにも含まれる。
ビタミンB12は、レバーなどの肉類、はまぐり、牡蛎、浅蜊などの貝類に多い。
精通前 |
精通する年齢に近付くと急におねしょをする(又は以前のおねしょをぶり返す)ようになり、精通して夢精あるいはオナニーで解消できるようになると治る、という現象が報告されている。
精通していない場合は夢精で性欲を解消できないため、射精する代わりにおねしょをすることでこれを発散するとする仮説が存在する。
睡眠薬の副作用 |
催眠鎮静剤(睡眠薬)の副作用も、機序は上と同様と考えられている。
夜中にトイレに行きたくなっても、睡眠薬により眠りが深くなり過ぎると子供の頃のように尿意では目が覚めなくなる。このため、幼少の頃と同様に、トイレが夢の中で行なわれてしまう。
これは病気ではなく薬の副作用なので、睡眠前に用便を済ませる、睡眠前の水分摂取を控える等で改善が見込める。
特徴 |
自発性 |
おねしょが、我慢しきれずにする昼間のおもらしと違うのは、無意識とは言えども一応は大脳などの指示で自発的に放尿していると考えられる点である。
このため、同時にトイレなどの夢を見ることが多い。
寝ながら |
人間は、基本的には体を寝かせた状態ではおしっこが出来ないように作られている。幼児は幼いゆえの例外で、成長により寝ながらでは尿が出来ないようになる。
例えば大怪我等をして入院した場合、歩けない患者は病院のベッドで寝ながら溲瓶にすることになるが、実際には容易なことではない。どんなに尿意があっても、寝ながらでは簡単には出ないからである。
つまり、ある程度成長を遂げて以降、仮に睡眠中であっても尿を出してしまうと言うことは、それなりに通常とは異なる状況に至っていると言うことである。日常的に、そのような癖を付けてしまっている可能性がある。
大人のおねしょ |
最近では現代病として、大人のおねしょも増えていると言われている。
原因はストレスによるものと一般には言われているが、その原因として一つ説がある。それは、次に述べる「風呂場でのおしっこ」である。
入浴時、体の洗い場あるいは浴槽の湯内でする放尿が、おねしょ体質となる原因の一つであるとする仮説がある。これは子供でも大人でも当てはまる説である。
これは恐らく寝ている時の体温と、風呂場で体を洗っている時あるいは浴槽の湯内の温度が酷似しているため前頭葉が覚醒していない時にはその違いを理性的に判断できず、体が同じ状況だと思い込み、習慣からトイレの夢とともに実際にしてしまうのだと考えられている。
思い当たる節があるならば、まず風呂でおしっこをする習慣を止めると、改善する可能性がある。
診察・治療 |
診察科 |
診察、治療は一般に泌尿器科で行なわれる。子供の場合は小児科で行なわれることもある。
但し、病気ではないおねしょは原因が定かでないことが多く、このため診察してもすぐに治療が行なえるとは限らない。
特に、年に数回、あるいは数年に一度といった頻度の場合、まず治療は不可能である。それは病気ではなく、単なる事故と考えるべきであろう。
学童期を過ぎても毎日続くようなおねしょは「夜尿症」(やにょうしょう)という病気で、この場合は薬物療法などを併用することになる。
検査や日々の検査 |
検査については、夜尿症の場合と大差はない。次のようなことを調べるのが常道である。
朝の尿が薄い場合は、抗利尿ホルモンなど尿生成に何らかの問題があると判断できる。さもなくば、心因性含め、他の要因を探す必要がある。
実態 |
ネットによる匿名調査を2回実施した。
1回目 |
1回目は土曜の昼間の時間帯に実施し、300回答中次の結果となった。この調査では母集団の年齢性別は確認していない。
2回目 |
2回目は平日の夜に実施し、1000回答中次の結果となった。
2回目については、別途母集団の年齢と性別も調査した。男女比は男65%、女35%となっている。
結論 |
概ね、5〜10%程度のネットワーカーは、年齢不相応なおねしょをしていることが読み取れる。
一般的な説に当てはめると7歳児程度の率に相当する。但し、ほぼ毎日と、ごくたまにを区別していないので、対等に比較することはできない。
たまに失敗してしまう成人は、通説より多いことは確実と見られる。
対策、対応 |
おむつ |
赤ん坊にはおむつを着けるのは、古今東西、同じである。
古くからは布おむつ、最近では紙おむつがあるが、どちらを用いても、赤ん坊にしてみれば同じである。最近は紙おむつが主流だが、布おむつもまだ人気がある。
サイズは様々があるが、近年は紙おむつも大型のものが増えた。老人介護用というだけではなく、大きな子供向けの製品も増えている。
防水シーツ |
最近は、「防水シーツ(おねしょシーツ)」が普及し、便利になった。
表地は一見、吸湿マット(汗とりマット)と何ら変わらないが、裏地にはプラスチックのフィルムが貼られていて、尿を通さないようになっている。
その他 |
防水シーツでは掛け布団が濡れてしまうという場合はレインコート(カッパ)のズボンを着せるという生活の知恵もあるようだが、もう少しパジャマなビジュアルの商品として「おねしょズボン」などと呼ばれる内側に吸水層と防水層を持つパジャマズボンも市販されている。
布団の処理 |
布団の後始末は、頭を悩ませる問題である。
可能な最も良い方法は、天日干しである。日本では大昔からこの方法が取られており、長い実績がある。「地図」が目立って気になる場合は、シーツなどを被せておけば目立たない。
ただ、そのまま干すだけや乾燥機を使って乾かすだけだと、尿が濃縮され染みや臭いが酷く残りやすい。ファブリーズなどを使って消臭する方法もないことはないが、しかし付いた染みや臭いは、洗わないと完全には無くならない。
最も理想的なのは布団の丸洗いであるが、とは言え通常の綿の布団を家庭で丸洗いすることは難しい。布団洗濯に対応したコインランドリーを使うか、クリーニング業者に頼むくらいしか丸洗いの方法はない。キルティングされていない布団の場合、麻ヒモなどを使って縛らないと、中の綿が偏り、使い物にならなくなるので注意。
家庭での洗い方としては、風呂場などで、湧かしたぬるま湯かシャワーのぬるま湯をおねしょの部分に掛けて踏み、尿を流す。これを数回、臭いが消えるまで繰り返し、タオルなどで水を吸わせた後、天日干しをする。裏表を1時間おきくらいでひっくり返しながら、乾くまで干す。天気が悪いときは当て布をしながらドライヤーを掛ける。なお、熱湯を掛けると、しみこんだ尿や汗の中に含まれる蛋白質が固まってしまい良くないとされている。
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