PHS
読み:ピーエイチエス
外語:PHS: Personal Handy-phone System

 基地局を各所に用意する事で、外でも使えるように拡張されたコードレス電話のこと。
 
目次

PHSの技術

PHSの電波
 音声コーデックはADPCMで、転送速度は32kbpsである。
 使用周波数は1893.65〜1919.45MHzの1.8GHz帯〜1.9GHz帯で、1chが300kHzステップである。
 各チャンネルごとに、自営用、屋外公衆用、その他で用途が決められている。

PHSの名
 携帯電話と比べると送受信する電波の特性上、電波が狭い範囲にしか届かないために多数のアンテナを設置する必要がある。
 従ってポータビリティや技術的高度さという観点では携帯電話の方が上だといえるため、かつてPHSは郵政省から簡易型携帯電話と呼ばれていた。
 だが、もともと「コードレス電話の子機を街の要所で使えるようにする」という開発コンセプトから、原理自体が一般の携帯電話とは異なっており、「簡易型」携帯電話という表現も、イメージを伝える分には良いが、必ずしも適切なものではないので注意が必要である。

PHSのモード
 PHSには公衆・家庭・トランシーバーの三通りのモードがある。
 PHS端末(子機)とPHS対応のディジタルコードレス電話機(親機)を組み合わせると、一つの端末で家の中ではNTT回線等を使ったコードレス電話(家庭モード)として、外出時はPHS会社の回線を使った携帯電話もどき(公衆モード)として利用できる。
 更に、同じ親機に登録したPHS同士間では、見通し100m程度の距離なら直接通話する事も可能(トランシーバーモード)。

PHSの正体
 PHSは、電話機自体は単なる端末でしかなく、本体は実は各所の基地局なのである。
 基地局が電波を出し、電話機は「位置登録」ということを常に行なう事で、基地局に管理してもらっている。
 これが、PHSの端末が、小型、軽量、安価となった最大の理由であった。
 PHSの基地局はアンテナではあるが、どちらかと言えば受信アンテナではなく送信アンテナなのだと言える。
 かくして、PHSは常に位置登録を繰り返すため、持ち歩くだけで電池を消費する。

PHSの基地局切り替え

技術
 PHSが高速移動中に利用できないと言われるのは、PHS端末が移動した際、基地局を切り替えるのに5〜6秒必要なためである。
 この切り替え中に切り替え前の基地局のエリアから出てしまうと、通話が切れてしまうのである。高速移動中でも、同じ基地局内なら利用できる。

基地局の高速切り替え
 DDIポケットアステルは1999(平成11)年、通話中も随時良い電波状態の基地局を探し、もってハンドオーバー時間を短縮して高速移動中の切断を少なくしたPHS端末の投入を開始した。
 DDIポケットはH"、アステルはスーパースムーズという商品名を付けていた。
 NTTドコモも同様に2000(平成12)年から、機能名「クイックリンク」、商標tera」としたPHS端末を投入した。

PHSで行なう通信
 初期のPHSでパソコン通信をする場合には、セルラーケーブルなどを用いアナログ音声を流す、みなし音声で行なわれていた。
 しかしこれでは不効率なうえ不安定なので、PIAFSα-DATAなどのデータ通信規格も実用化された。

PHSに参入する電話会社
 PHSに参入する電話会社は総務省(当時の郵政省)により三社に限定されたため、三社を超えることはない。むしろ減っている。
 該当するのは次の三社である。
 アステルは全国的に音声通話サービスは終了しており、一部地域で、データ通信でのみ用いられている。
 NTTパーソナルは親会社のNTTドコモへ営業譲渡し、またNTTドコモも2008(平成20)年1月7日にサービスを終了した。

PHSの電話番号
 基本的に、PHSの電話番号(PSN)のうち、局番を除く最上位1桁で電話会社が分かる。
 また電話番号の上2桁で、どの地方の会社かまで分かる事もある。NTTドコモとアステルは地方によりPSN(電話番号)が変わるが、WILLCOM(旧DDIポケット)は変わらないようで、地方による区別はないと推測されている。
 なお、PHSの局番は、現在070が定義されている。かつては050060が使われていた。
 070-5XYでは、次の通り。
00
アステル
01〜09
WILLCOM(旧DDIポケット)
10〜39
NTTドコモ(旧NTTパーソナル)
40〜69
WILLCOM(旧DDIポケット)
70〜99
アステル
 070-6XYでは、次の通り。
10〜39
NTTドコモ(旧NTTパーソナル)
40〜69
WILLCOM(旧DDIポケット)
70〜79
アステル
90〜99
WILLCOM(旧DDIポケット)

PHSの名前
 札幌での試験サービス中はPHP(Personal Handy Phone)としていた。
 しかし、この事業に参加した松下電器産業(現・パナソニック)系の法人PHP(PEACE and HAPPINESS through PROSPERITY)研究所と紛らわしいとクレームが付いたため、1994(平成6)年4月に改称し、現在の名前になった。

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