IEEE 802.16e
読み:アイトリプルイーはちゼロにーてんいちろく-イー
外語:IEEE 802.16e

 IEEE 802.16の作業部会の一つで、携帯電話のような移動端末向けの無線通信規格の作成を目的とする。および、この作業部会で作られた規格のこと。「モバイルWiMAX」。
目次

概要
 2005(平成17)年12月7日にIEEE-SAによって正式に承認された規格。
 IEEE 802.16a/IEEE 802.16-2004(WiMAX)の移動版規格ともいえる。
 この規格では小型化と低消費電力化を実現し、かつ移動中でもWiMAXの利用が可能なように120km/h(288km/hBeat)でのハンドオーバーにも対応する。
 WiMAXとの顕著な差に、次のようなものがある。
 WiMAX Forumも、この規格を「WiMAX Release 1.0」として採用した。日本ではUQ WiMAXが採用しており、日本では一定の普及を見た。

技術

周波数
 周波数は、Initial Profileとして次の三つが示されている。
 このうち2.3GHzは南鮮向け、他の2.5GHz/5.8GHzは世界各国で利用可能ということで選ばれた。
 また、次の周波数も後の拡張で追加予定とされる。

変調方式
 WiMAXのOFDMAに対し、Scalable OFDMA(SOFDMA)という変調方式を採用している。
 これによって、多少の効率は犠牲にしても移動中の帯域幅変更が可能となった。

ハンドオーバー
 移動中でも利用可能とするため、携帯電話やPHSのような、複数の基地局間でのシームレスな切り換え機能に対応した。
 IEEE 802.16eでは、次の三種類の方式が仕様に含まれている。
 標準はHHO、日本で言うところのハードハンドオーバーで、残る二つはオプション扱いである。
 技術水準的にはPDC、第二世代携帯電話並みであるが、公式にはこれでも50ms以内に切り換えが可能とされている。

将来性
 日本の都市圏のようにFTTHやADSLなどの有線インフラが整った地域での需要が不明なこと、またNTTドコモなど携帯電話会社各社が高速な通信サービスを開始したことから、IEEE 802.16eがどの程度普及するかは未知数とされる中でUQのサービスが始まった。
 やがてLTEと競合しながらも2012(平成24)年までには一定の普及を見たものの、その次の高速化技術で圧倒的にLTEに遅れをとってしまった。
 技術的には、IEEE 802.16eの後継はIEEE 802.16m(WiMAX Release 2.0)だが、実際にはこの802.16m(2.0)は普及しないことが確定しており、後継は対抗となるTD-LTEを吸収した「WiMAX Release 2.1」である。

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