APIPA |
辞書:通信用語の基礎知識 通信手順上編 (CPINFO) |
読み:エイピーアイピーエイ |
外語:APIPA: Automatic Private IP Addressing |
品詞:名詞 |
IPネットワークにおいて、ネットワーク機器のIPアドレスを自動的に割り振る機能の一つ。AutoIPとも呼ばれる。
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概要 |
定義 |
一般的には、手動でIPアドレスを設定するか、またはDHCPによってIPアドレスを割り振る。
しかし、利用者がそういった設定をするスキルがない場合のための方法として、このAPIPAが考案された。
この機能を定義したRFCは無いが、使用される特殊なIPアドレスの範囲についてはRFC 6890などで触れられており、またRFC 3927でIPv4リンクローカルアドレスの動的なコンフィギュレーションについて述べられている。
環境 |
Microsoft Windowsにおいては、Windows 98以降の全てのバージョンで対応している。
Macintoshでは、Mac OS 9.1以降、およびMac OS X 10.2.4以降で対応している。
技術的特徴 |
APIPAでは、リンクローカルアドレスと呼ばれる169.254.0.0/16の範囲内のアドレス、つまり169.254.0.0〜169.254.255.255の範囲内で、アドレスを割り振る。
ネットマスクは255.255.0.0であり、クラスBである。
手順 |
ネットワーク機器(以下、単に機器)は、乱数によりリンクローカルアドレス範囲内のアドレスを一つ選び、このアドレスに対するARP要求をブロードキャストで送信する。
もしこの要求に返信があれば、そのアドレスは既に使われているため別のアドレスを同様に作り、再びARP要求をブロードキャストで送信する。
こうしてARPが返らなくなるまで続け、未使用と判断されたものを機器のIPアドレスとして用いる。
制限 |
APIPAを用いると、利用者には何の知識がなくとも自動的にIPアドレスが設定され、他の機器と通信ができる。
APIPAは単一ネットワーク内での通信のみを目的として設計されている。ルーターはリンクローカルアドレスをルーティングしてはならない。
尤も同一ネットワーク内にあるプリンターを利用したり、他のパソコンとのファイル共有をするくらいであれば、これでも充分である。
この機能は、LANで使われることが前提となっている。
但し、APIPAでIPアドレスが振られたノードは、同一ネットワークにあるAPIPAでIPアドレスが振られたノードとしか通信できない。つまり、IPアドレスがDHCPや手動で設定されたノードとは、普通は通信ができない。
欠点 |
アドレスの割り当てにルーター等の管理を要さないため、途中の経路が断線したりHUB故障等が起きた場合でも、機器にアドレスが付けられてしまう。そしてネットワークが復旧したときに同じアドレスを別のノードが持っている可能性がある。
Windowsの場合は、まずDHCPを試み、失敗した時にAPIPAによる割り当てを行なう。このため、APIPAが有効の場合、DHCPによるIPアドレスの割り当てに失敗してもAPIPAによって一見、IPアドレスが正しく割り当てられているように見えることから、通信障害の問題の切り分けが厄介になることも少なくない。
またARPの返信を待つため、これに数十秒の時間を要し、アドレスが決まるまで時間が掛かることも欠点である。
リンク |
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